幼稚園にもカウンセラー 「小1プロブレム」解消へ―文科省

幼稚園へのカウンセラー派遣

このような記事を見つけました。

幼稚園にもカウンセラー 「小1プロブレム」解消へ―文科省 2021年08月11日14時54分

文部科学省は、小中学校の「スクールカウンセラー」など子どもを心理面からサポートする相談員を幼稚園にも積極的に配置していく方針を固めた。主に養育の悩みを抱える保護者からの相談を受け付け、子どもが小学校に進学してから問題行動を起こす「小1プロブレム」の解消につなげたい考えだ。

 現在もカウンセラーやソーシャルワーカーが派遣されている幼稚園はある。ただ、小中学校に比べて数が圧倒的に少なく、複数の園や小中学校と兼任している相談員が多いのが現状だ。文科省は近く学校教育法施行規則を改正し、小中学校を対象とした「スクールカウンセラー」「スクールソーシャルワーカー」の配置に関する規定を幼稚園にも準用する。
 都道府県の中には、相談員の配置に向けて独自の体制を構築しているケースもある。例えば広島県教育委員会は2020年度、社会福祉士や精神保健福祉士の資格を持つ相談員を非常勤の「保育ソーシャルワーカー」として県内の幼稚園や保育所に計7人派遣し、発育の遅れや貧困などの悩みを抱える家庭に支援を行った。
 文科省は、自治体が相談員を通じて、悩みを抱える家庭の実態を把握したり、必要な支援を進めたりすることで、幼稚園から小学校に進んだ子どもが学校生活に順応しやすい環境づくりを進めていく計画だ。

とても良いことだと思います。

弊社は、以前から保育園・幼稚園・認定子ども園向けにカウンセラー派遣を含めた包括的なメンタルヘルスサービスを提供しております。小中学校と幼稚園(保育園)の大きな差は、いくつもあります。ここでは、メンタルヘルスやコミュニケーションに関する内容を取り上げます。上述の記事ではカウンセラー派遣が「幼稚園」だけに限定されていますが、ここでは幼稚園独自の内容については「幼稚園」と表記し、基本的には幼稚園だけでなく保育園や認定こども園も含めて、「幼稚園・保育園など」とまとめて扱います。

1.子どもの言語発達が未熟

学童期に比べて、幼児期は言語発達や認識力が低いので、子ども自らが自分の意見や状況を正確に伝えることが難しいと言えます。そのため、子どもに何か問題が発生した場合に、子ども本人から聞き取るだけでは状況が正しく理解できないことが多く、周囲の大人(保護者やスタッフ)の説明や実際の状況を確認することが大事になります。
子どものメンタルヘルスに関する問題の場合、学童期以降でである程度話せるようになれば本人とのカウンセリングだけでも効果はあります。しかし、幼児期の場合は本人との言葉によるカウンセリングだけではなく、遊戯を媒介として面接をしたり、本人ではなく保護者やスタッフへコンサルテーションをすることが重要となります。

2.小中学校に比べて、比較的小規模

小(中)学校の場合、全校児童(生徒)が一学年10人以下の小規模校がありますが、1学年40人以上(6学年で合わせると少なくとも200人以上)の学校が多いでしょう。中には、1学年5クラス以上の大規模校もあります。また、学年ごとに階が分かれていたり、場合によっては校舎も違う学校も少なくありません。したがって、他学年の教師と児童(生徒)が顔も名前もわからないということは珍しくありません。
幼稚園でも、マンモス幼稚園はあるようですが、多くの幼稚園保育園は園児100人程度が主流です。子どもが100人程度なら、スタッフは少なくとも顔を見ればフルネームは思い出せなくても「何歳児のクラスの子だ」と覚えています。保護者を見ただけで他クラスの子でも「○○ちゃん、お迎えが来たよ」と声をかけるぐらいの面識があります。それだけ、子ども・スタッフ・保護者の関係が近いのです。

3.毎日、保護者とスタッフが顔を合わせる

基本的には毎朝、保護者がスタッフ(幼稚園教諭・保育士など)に子どもを直接預けて、夕方以降に保護者がスタッフから子どもを引き取ることになります。送迎バスを利用する場合でも基本的には変わりません。一方で、小学校以降は基本的には子どもが家を出て学校に登校します。悪天候や遠距離などで送迎をする場合でも、学校の外までで、先生に毎日引き渡すことはありません。これは、保護者にとってもスタッフにとっても、双方の様子がわかるとても良い機会です。例えば、親子関係がわかったり、スタッフに対して子どもがポジティブな感情を持っているかネガティブな感情を持っているかなど、いろいろなことがわかります。また、引き渡し(引き受け)時に保護者とスタッフが情報交換をすることもできます。それによって、例えば、けがをした場合に、自分一人で転んだのか、誰かと不意にぶつかったのか、誰かに殴られたのか、ある程度の事実確認ができるでしょう。子どもは、悪意があるわけでなくても間違ったことをいう場合があります。そのような時に保護者とスタッフが毎日顔を合わせて何気ない会話を交わすことで状況を正しく理解して、適切な対応をとることが出来ます。このように、保護者とスタッフの関係が近いことは基本的には良いことです。

しかしながら、人間ですのでどうしても相性の悪い人というのはいます。また虐待が疑われる保護者や無理な要求をする保護者(いわゆるモンスターペアレント)、幼児教育の専門家としての資質が疑わしいスタッフ、などがいるのも事実です。そういう信頼関係の構築が難しい場合、毎日顔を合わせることが苦痛になることも出てきます。

保護者とスタッフの関係が悪くなった場合に、当事者同士でその状況を解決するのは難しいものがあります。通常であれば、別のスタッフや場合によっては別の保護者が間に入ることで、関係が改善しなくても卒園まで関係を保つことはできます。しかし、仲介者が入ってもうまくいかない、あるいは仲介者とも関係が悪くなってしまう場合もあります。そういったトラブルを防ぐためにも、あらかじめコミュニケーションについても詳しい心理士(師)がコンサルテーションをすることが役に立ちます。
※心理士の中には、個人への洞察的なカウンセリングが得意で、複数の関係者のコミュニケーショントラブルへのコンサルテーションが苦手な方も少なくないので注意が必要です。

子どもに対する観察力と大人へのコンサルテーション力が重要

小中学校と幼稚園・保育園などのメンタルヘルス面の違いについて、ご紹介しました。もちろん、細かい違いはもっとありますが、今回は特に大きな部分について、「子どもの言語発達の未熟さ→周囲の大人の役割の大きさ」「小規模→スタッフの目が届く」「保護者とスタッフが毎日顔を合わせる→普段のコミュニケーションの重要性(難しさ)」という3つを取り上げました。

幼稚園や保育園などで活動するカウンセラーには、子どもの発達段階について十分に理解した上で、大人のコミュニケーションについても理解し、「スタッフと保護者」「スタッフとスタッフ」「保護者と保護者」「スタッフと地域住民」など、さまざまな大人同士のコミュニケーションに積極的に関わり、支援をしていくことが大事です。

幼稚園のカウンセリングについては、まだまだ試行錯誤が続いております。文科省の幼稚園へのカウンセラー派遣という動きを歓迎し、保育園へのカウンセラー派遣につながるように期待しております。カウンセラーを派遣することで、子どもたちはもちろん子育てに悩む保護者やよりよい支援を目指すスタッフの力になれるよう、私たちも精進してまいります。

吉田@ぜんと