登校するかどうかよりも大切なこと

お子さんが、学校を休み家で過ごすようになると、保護者さんは気が気ではないでしょう。学校に行くように声をかけた方がいいのか。ずっと動画を見たりスマホを触っている姿などを見て、「厳しい声掛けをした方がいいのでは?」と思いつつ、「見守らなければいけない」と自分に言い聞かせて、見て見ぬふりをしている保護者さんも多いのではないでしょうか。

しかし、ひどいいじめを経験して学校を避けている場合や、所属するクラスが学級崩壊状態のために登校できない場合もあるでしょう。そういう時に無理に学校へ登校を促すことでお子さんをさらに苦しめたり、学校にも家にも居場所がなくなり死にたくなるかもしれません。

ここで重要なことは、「お子さんにとって大事なことは何か?」ということです。

ゴールは「素敵な大人になること」「将来自立すること」

お子さんが不登校になると、「今日はやっぱり学校に行けないのか」「明日は学校に行ってほしいな」などと、毎日一喜一憂する保護者さんも多いと思います。確かに、学校に行くかどうかでお昼ご飯の準備をしたり、場合によっては仕事を休んでそばにいる必要があるかもしれないため、気になってしまうのは仕方がないことです。

しかし、お子さんにとって重要なことは「素敵な大人になる」「将来自立する」ことではないでしょうか。もちろん、ここでの「素敵な大人」のイメージは、それぞれのお子さんによって違うはずです。仕事をバリバリする姿かもしれませんし、病気などをせずに健康な毎日を送ることかもしれません。子育てを夢見たり、一人気ままな生活を謳歌したいかもしれませんね。
そして、素敵だなぁと考えるイメージは、今日と数日後では全く違うかもしれません。それでいいのです。

素敵な大人になり、自立するために、いま何ができるのかを考える必要があります。明日学校に行くかどうかは、途中経過の一つに過ぎないのです。

キーワードはG・T・N

私は多くの不登校のお子さん自身やその保護者と面接をしてきました。
目標は学校復帰や登校することではなく、お子さんが「素敵な大人になること」「将来自立すること」の2つです。
「素敵な大人になること」「将来自立すること」という2つの目標を達成するために、いま何ができるかを考える必要があります。

目標達成のキーワードはG(学力)、T(体力)、N(人間関係)だと考えています。

G:学力

いわゆる、読み・書き・計算といったものです。別に高度な学力をつける必要はありませんが、日常生活が出来て買い物をしたり、自分に合った仕事が出来るだけの学力は必要でしょう。苦手なものを無理する必要はありませんし、いまは便利なツールがたくさんあるので、それらを使いこなすことも大事な学力だと考えます。

T:体力

自分らしく生きるためには、まずは健康が第一です。仕事や買い物、お出かけなどの活動ができる元気があり、あまり病気にならずに毎日過ごせることはとても幸せです。そのためには、運動・睡眠・食事などがとても重要になってくるでしょう。

N:人間関係

掃除や洗濯などの基本的な家事をお子さんに任せるなど、家庭内での役割を持たせてみましょう。
「朝9時までに洗濯を干す」、「夕食を一人で作る」など毎日行う役割ができると、自然と生活リズムも作ることができます。

さいごに

今回は、学校を休んだ際の過ごし方について解説しました。全く口出しをせずに本人に丸投げするのではなく、逆にこまごまと口出しをして全て鑑賞するわけでもなく、本人の表情や反応などを確認しながら調整していくことが大事です。

非常に手間がかかりますが、ここで緩すぎもせず、厳しすぎでもないある程度の枠組みを作ることで、その後の展開が大きく変わります。

具体的な対応について困った場合は、誰かに相談して客観的な意見を聞くこともいいでしょう。