<最終更新日 2か月 執筆者 吉田克彦(公認心理師)

「うちの子、学校に行かない間、勉強は大丈夫なの?」

「勉強したい気持ちはあるみたいだけど、どうサポートすればいいの?」

不登校中のお子さんの勉強について、悩んでいる保護者の方も多いのではないでしょうか。

この記事では、不登校中でも安心して勉強に取り組めるよう、お子さんのタイプに合わせた勉強方法や、保護者の方ができるサポートについて解説します。

不登校中の勉強、保護者と子どもの悩みは?

不登校になると、保護者の方は「勉強の遅れ」や「進学への影響」を心配する一方で、子どもは「勉強についていけない」「どう勉強すればいいかわからない」といった不安を抱えることが多いです。

まずは、お子さんの気持ちを理解し、焦らずゆっくりと向き合うことが大切です。
そして、お子さんのタイプや状況に合わせた勉強方法を見つけていきましょう。

状況・悩み別!不登校中の勉強スタイルの考え方

お子さんの性格や状況によって、最適な勉強方法は異なります。
ここでは、3つのタイプ別に、おすすめの勉強スタイルを紹介します。

集団生活や対人関係に自信が持てない場合

自宅でのドリルやワークブックを使った自習やオンライン教材がおすすめです。自分のペースで進められ、周りの目を気にせず集中できます。

適度に人から刺激を受けたいけれど、集団には抵抗がある場合

個別指導塾や家庭教師がおすすめです。先生との1対1のやり取りで、安心して質問や相談ができます。

学校復帰したい気持ちは強いけれど、生活リズムが乱れている場合

適応指導教室やフリースクールがおすすめです。学校のような環境で学習習慣を取り戻し、規則正しい生活リズムを取り戻すことができます。

生活リズムについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
不登校と昼夜逆転:子どもの生活リズムを整えるためのヒント

不登校でも学べる!勉強の遅れを取り戻す7つの方法

不登校中でも、様々な方法で勉強を進めることができます。ここでは、7つの勉強方法とその特徴を紹介します。

自宅での自主学習

教科書や参考書、問題集を使って、自分のペースで勉強できます。費用を抑えられるメリットがありますが、わからないところを質問できない、モチベーションを維持するのが難しいといったデメリットもあります。

オンライン教材

教材が自宅に送られてくるので、自分のペースで学習を進められます。添削指導や質問サポートがある場合もあります。

オンライン教材について、くわしくはこちらの記事で解説しています。
現役スクールカウンセラーが不登校の子どもにはオンライン教材が最適と考える11の理由

インターネット学習塾

 インターネットを通じて、動画授業を受けたり、オンラインで先生に質問したりできます。時間や場所を選ばず学習できるのがメリットです。

家庭教師・オンライン家庭教師

先生が自宅に来て、またはオンラインで、マンツーマンで教えてくれます。きめ細かい指導を受けられるのがメリットですが、費用が高めになる場合があります。

オンライン家庭教師について、くわしくはこちらの記事で解説しています。
不登校の子どもとオンライン家庭教師:教育支援の新たな選択

個別指導塾

少人数制の塾で、先生にじっくり教えてもらえます。わからないところをすぐに質問できるのがメリットです。

集団学習塾

 他の生徒と一緒に授業を受けます。競争意識が芽生え、モチベーションアップにつながる場合があります。

適応指導教室・教育支援センター

学校復帰を目指す不登校の生徒を対象とした公的な教育施設です。学習支援だけでなく、心のケアも行っています。

お子さんの状況(学力、一人でできるか、外出可能か、など)や、
保護者の状況(付き添うことが可能か、仕事で不在か、ご予算)など、
それぞれのご家庭の事情に合わせて決めましょう。
いずれにしても資料請求などをして情報収集をすることが大事です。

【体験談】不登校の今、勉強はどうしている?

<不登校経験者やその保護者の体験談を近日公開!!>

不登校でも勉強はできる!勉強を始める前にやるべきこと3選

部屋や机の片付けをする

整理整頓された環境は、集中力を高めます。

生活リズムを整える

決まった時間に起き、食事をとり、寝るという基本的な生活習慣を整えることは、学習習慣を身につける第一歩です。
不登校の日々を支える、簡単・健康的な昼食メニュー

体力をつける

適度な運動は、ストレス解消や集中力アップにつながります。

不登校中の勉強を続けるためのコツ

目標を立てる

目標があると、モチベーションを維持しやすくなります。

計画を立てる

いつ、何を、どのくらい勉強するか、具体的な計画を立てましょう。

休憩をとる

集中力が続かないときは、無理せず休憩しましょう。

誰かに相談する

 悩みや不安があれば、一人で抱え込まず、信頼できる人に相談しましょう。

不登校の子が勉強しない原因

不登校のお子さんが勉強しない理由は様々です。

心身ともに疲弊している

不登校の原因となったストレスや不安から、心も身体も疲れてしまい、勉強に集中できないことがあります。

勉強する意味を見いだせない

学校に行っていないため、勉強する必要性を感じられないことがあります。
また、中学生以降になると「こんなこと覚えて何の意味があるのか」と勉強内容そのものに疑問を持つこともあります。

勉強の仕方がわからない

授業を受けていないため、どこから手をつければいいかわからないことがあります。

発達障害や学習障害などで勉強に集中できない

発達障害のある子どもが勉強に困難を感じる理由は、主に以下のようなものがあります:

  1. 注意力や集中力が持続しない
    ADHDなどの特性により、長時間集中することが難しく、授業に集中できない場合があります。
  2. 学んだ内容を整理することが難しい
    ASDなどの特性により、複数の情報を同時に処理することが苦手で、授業の内容を理解しにくいことがあります。
  3. いろいろな刺激が気になってしまう
    音や光、触覚などに過敏な反応を示し、学習環境に適応しづらいことがあります。
  4. コミュニケーションが苦手
    質問や助けを求めることが苦手で、理解できないことをそのままにしてしまう傾向があります。
  5. 自分なりのこだわりが強すぎる
    従来の教育方法が、発達障害のある子どもの学習スタイルに合わないことがあります。
  6. 勉強ができず、苦手意識がある
    学習の困難さから自信を失い、勉強に対する意欲が低下することがあります。
  7. 順序だてて勉強するのが不得意
    計画を立てる、時間を管理する、課題を完了するなどの能力に困難を感じることがあります。

これらの要因は個々の子どもによって異なり、複合的に作用することがあります。重要なのは、子どもの特性を理解し、個別のニーズに合わせた支援を行うことです。適切な環境調整や学習方法の工夫により、多くの発達障害のある子どもたちが学習能力を伸ばすことができます。
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このような場合は、無理に勉強をさせては、さらに勉強嫌いになってしまい逆効果です。家庭内の雰囲気も悪くなってしまうでしょう。そのような時は、無理をせず、まずはお子さんがゆっくり休める環境を作りましょう。そして、お子さんの興味や関心に合わせた勉強方法を探してみましょう。

不登校中の子どもの心理と親の対応

子どもの心理状態を理解し、適切に対応することが重要です。

子どもの心理状態の理解

不登校の子どもは、不安、自己否定感、無力感などを抱えていることが多いです。これらの感情に寄り添うことが大切です。

親が取るべき基本的な態度

子どもの回復を支援するために、以下のような態度を心がけましょう。
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焦らず寄り添う姿勢

回復には時間がかかります。焦らず、子どものペースを尊重しましょう。小さな変化や努力を認め、励ましていくことが大切です。
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「勉強しなさい」を封印する

「勉強しなさい」という言葉は、子どもにプレッシャーを与え、逆効果になります。
代わりに、子どもの興味や関心に寄り添い、自然と学びにつながるような環境づくりを心がけましょう。
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子どもの気持ちを尊重する重要性

子どもの言葉に耳を傾け、気持ちを理解しようとする姿勢が大切です。批判や否定を避け、子どもの考えや感情を受け止めることで、信頼関係が深まります。

不登校中の生活と学習環境の整え方

生活リズムと学習環境を整えることは、子どもの回復と学習再開の基盤となります。

生活リズムの整え方

規則正しい生活は、心身の健康を保つ上で重要です。

部屋や机の片付け

整理整頓された環境は、心の整理にもつながります。子どもと一緒に、少しずつ部屋や勉強スペースを整えていきましょう。

体力づくりと生活習慣の改善

適度な運動や外出、バランスの取れた食事、十分な睡眠など、基本的な生活習慣を整えることが大切です。これらは学習の土台となります。

学習環境の整備

子どもが勉強しやすい環境を整えることで、自然と学習に向かいやすくなります。

勉強ができる環境を用意する

静かで集中できる場所、適切な照明、快適な椅子と机など、勉強に適した環境を整えましょう。

勉強の意味や目標を見出す支援

子どもが勉強の意味や目標を見出せるよう、将来の夢や興味について一緒に考える時間を持ちましょう。

保護者向けQ&A:不登校と勉強に関する疑問

よくある質問とその回答をまとめました。

Q
不登校の子どもはどのくらい勉強すればいいですか?
A

個々の状況によって異なりますが、最初は短い時間(5-10分程度)から始め、徐々に伸ばしていくのがおすすめです。無理せず、子どものペースを大切にしましょう。

Q
子どもの学習意欲が上がらないのですが、どうしたらいいでしょうか?
A

勉強以外の活動(趣味や運動など)を通じて自己肯定感を高めたり、子どもの興味関心に合わせた教材を選んだりすることで、徐々に学習意欲が高まることがあります。
重要なことは、焦らないこと。無理に勉強を押し付けたり、勉強ができていない状況を否定的にとらえすぎることは避けましょう。
家族が否定的にみることで子どもの自己肯定感が下がり、さらに意欲を失っていくという悪循環になります。

子どもの自己肯定感を高めるための親のアプローチ

Q
子どもがゲームばかりやって勉強をしません。ゲームをやめさせるため取り上げようとすると暴れたり暴言を吐いたりします。
A

ゲームを取り上げるのは適切ではありません。
ほとんどの場合が状態が良くなるどころか悪くなっていきます。
一つの例としては、ゲームを制限せず「ゲームをやっていいから、ゲームの前にこの問題をやってみよう」といった提案でうまくいくことがあります。あるいは、ゲームの内容から勉強や運動を導入していくこともできます。
いずれにしても、ゲームを禁止するより前に家族のコミュニケーションを増やしていくことが大事です。顔を合わせるたびに「いつまでゲームしているんだ」「勉強しなさい」ばかりでは、どんどん関係が悪くなっていきます。

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