お子さんが不登校になることで、生活にはさまざまな影響が出てきます。
そこで、当サイトでは独自のアンケートを実施し、保護者の負担について、精神面・経済面・時間の面から保護者の負担感について調査を行いました。
経済的負担については、保護者のおよそ4割が「重くなった」と回答しています。
実際に、どのような負担が増えたのか、また軽くなったと考える人はどんな状況なのか。
独自のデータから読み解きます。
不登校の子を持つ保護者の38.9%が経済的負担を感じている
このアンケート結果では4割近くの人が経済的負担を感じています。
精神的負担や時間的負担ほどではありませんが、お子さんの不登校が経済的な影響を与えていることがわかります。
それぞれの家庭の事情が深く関係しているので、ご自身の状況を踏まえつつご覧ください。
保護者はどんなことに経済的負担を感じているか
アンケートでは、「とても重くなった」「重くなった」「変わらない」「軽くなった」と答えた理由を具体的に答えていただきました。
その結果、お子さんが不登校になった時の経済的負担がなぜ増えるのか、理由が見えてきました。
詳しく見ていきましょう。
経済的負担が「とても重くなった」
経済的負担「とても重くなった」回答一覧
当サイト実施:2023年6月実施「子どもの不登校を経験した保護者へのアンケート」より
- 家にいる間に食べる食料が増えたので
- 不登校になった事で中学進学の節目で本州外の主人の実家近くへ引っ越したから経済的負担が一時的の増加した
- 一番は 都立の 不登校者を受け入れる 高校に行かせるつもりでした。 その高校が 普通の生徒も受け入れていて倍率が高くなり当然私の子どもは 不合格。通信制の高校に3つも行かせて結果卒業はできませんでした。それ以前に私が子どもに付きっ切りになってしまい仕事ができなくなってしまったのでそれも経済的に大きな負担でした。
- 定期的な通院代、交通費、学校変更後の費用等々の出費が増えました。
- 光熱費や食費の負担がとても増えた
- 学校の給食費・修学旅行費積立・PTA会員費・学習プリントやワーク代(学校で一括購入)などの支払いと不登校で自宅にいる為、毎日の昼食代・電気や水道代・オンラインでの学習の為の教材費・ネット回線費などの支払いがあり、経済的負担が増えた。
- 仕事を辞めなければならなくなり、さらにフリースクールに通う事で数万円の月謝が必要になったため。
仕事を続けられず収入が減った上に、さらに学費や交通や食費などの出費が増えたことで経済的な負担が「とても重くなった」ご家族の回答が目立ちます。確かに、仕事を辞めて子どもの出費も増えるのはダブルパンチですね。
不登校になって子どもが学校に行かず家にいることで食費や光熱費の増加が挙げられます。
また、仕事を辞めなければならないので収入が減るというご家庭もありました。
経済的負担が「重くなった」
経済的負担「重くなった」回答一覧
収入が減った
- 家で一緒にいてあげる必要が生じたため仕事を休まなければならないことも多くなり収入が減ったからです。
- 外で仕事しづらくなり、在宅に変えたから
- 保育園に行ってくれないので、働けなくなった。保育園に行かなくても、高額(7万〜8万)の保育料がかかる。保育園に行っていれば昼食が出るが、家で作らないといけない。冷暖房費、お出かけ費用などの増加。
- パートの欠勤が増えました。
- 休みを取ることが増えたから。
食費・光熱費の増加
- 家で一緒にいてあげる必要が生じたため仕事を休まなければならないことも多くなり収入が減ったからです。
- 外で仕事しづらくなり、在宅に変えたから
- パートの欠勤が増えました。
- 休みを取ることが増えたから。
- 家にずっといるので、電気代や食費がかさみました
- 給食ではなく家で昼食をとる、また好き勝手に冷暖房やテレビを付けるためその費用の負担がかかった。
- 1日中家にいるので光熱費はかなり高くなった。
- 家に居る時間が単純に長くなるので、公共料金や食費が増す為。
教育費・医療費の増加
当サイト実施:2023年6月実施「子どもの不登校を経験した保護者へのアンケート」より
- 本人も体調不良を訴えていたのであちこちの病院へ通院したため。
- フリースクールに所属するようになったため。
- 家での学習の為にパソコンを購入したからです
- 少しだけのことなのですが、給食費を払いながら、お昼は別にいるし、一日に一時間程学校へ行くのに送り迎え、カウンセリングに通い…こまかなところの出費が出てきました。
- 学校の授業を受けられる状態ではなくなったので、市販の問題集を購入したり、映像授業のサービスを受けるようになったため、追加で教育費がかかるようになったのと、週に1日、スクールカウンセラーの先生のカウンセリングを受けに登校する際や、定期テストの受験で登校する際などは親も付き添っていたので、親の分の交通費もかかるようになったから。(私立中だったので電車通学でした)
- 給食を食べず家で食べるようになったし、教科書だけではわからないので追加の教材を買ったため
- 心療内科への通院にかかる医療費やガソリン代がかかるため
- 塾に行くことになったから
- カウンセリングや通院費用がかさんだから
- フリースクールに登校させています。その費用がかさんでいます。
- 家にいる期間が長くなり、自分達で学校に追いつくために教材を購入したりしたから。
- お昼ご飯や、課題の購入、病院や放課後等デイなのに通うで少し重たくなりました。
- 不登校でありながらも学校にいつでも戻れるように給食も停めずはらい続けたうえフリースクールの費用も払い学校において二重の費用がいった
「とても重くなった」と比べると、収入が減るか出費が増えるかのどちらかの場合が多いようです。しかし、基本的には「重くなった」と「とても重くなった」はほぼ同じ内容ですが、回答者の判断で分かれているだけのようです。
例えば、「高額(7万〜8万)の保育料がかかる」という状態は「経済的負担がとても重くなった」と判断されるご家庭も多いでしょう。
平日も家にいることによる、食費(昼食費・おやつ代)、フリースクールや塾の費用が必要になったという回答もありました。
仕事を休まざるを得なくなったことによる収入の減少などもあるようです。
経済的負担が「変わらない」
経済的負担が「変わらない」と判断した要因について、「家庭環境」「新たな支出」「トータルコスト」「負担感」の4つに見ていきましょう。
なお、全部の回答は以下の通りです。
経済的負担「変わらない」回答一覧
変わらない
- 特に変わらなかったから
- 自宅で過ごしていたが、それまでとさほど変わらない生活だった。
- 特に何も変わる事はなかった。
- 元々私は専業主婦だった為、仕事も休む事なく、家自体は通常であったため
- その頃は仕事はしていなかったので何も変わりはなかった。
- 不登校だからと言って出費は増えなかったから。
- 経済的負担はありませんが時間的に重くなりました。
- 小学校の学費は今まで通り支払っており、以前と変わらない経済状況となっております。
- 何も変わらなかった。
- 特に変わりませんでした。
- 子どもが家にいるだけで、その他の生活は変わらないので。
- 不登校になりましたが、特に生活費などは変わらなかったです。
- 引きこもっただけで負担はない
- 子供が学校に行かなくても親は仕事に行っていたので、経済的な負担は変わらなかった。
- とくになにもしていないから
- 特に変わらない
- 特に変わらなかった
- それでお金がかかることはなかったから
- なし
- 特に変わらなかったから。
- 特に家にいるからとお金がかかるわけではないので
- 家にずっといたから
- 経済的に特に大きな負担を感じなかったからです。
- 特にフリースクールに行かせたりしていないため経済的負担は変わりませんでした。
- 特に家にいただけなので変わりなかったです
- 不登校になったからと言って、特別経済的には変わりませんでした
- 特に自分の収入には影響はなかった
- 特に支出で困ることはなかった
- 経済的な変動はありませんでした。
- 普段と出費は変わらなかったから。
- 小学校低学年だったし、義務教育だから負担はなかったです。
- お弁当だったので家にいても一緒だった
- 特に何か買え与えるなどはしませんでした。
- 特に出費が増えたものはなかった。
- 学校に復活できるようにしているので、経済的負担は変わらない。
- 学校に行っていなくても特にお金がかかるような事は発生しなかった
- 特に変化はなかったです。
- 学校に行かなくても、学校に席があるので支払いの請求は来るのでしないといけなかったのと、家に居ても食費などは通学している時にはお弁当を作っていたのと比べてさほどかわらなかった。
- 仕事には支障はなかったから
- もともとそんなに食べる方じゃなかったから
- 不登校になったことにより、出る出費はなかったから
出費が増えたが「重い」ほどではない
- 簡単なお昼代が少し増えてもわずかなものだから
- 文句は言わずに言われたことはやるし出されたものは食べるし変わることはなかったです
- 高校生なので医療費はかからないこと。ただ、病院の引率などで時間はかかるかな
- 昼食代が多少増えたかも知れないが、他はあまり変わらない。
- 重くはなっていないが病院代は増えました
- 給食を食べないのでお昼ご飯代がかかるようになっただけで特に負担を感じませんでした。
- 多少変化はあったかもしれませんが、原因が不登校ではなく転学や留年だと思うので。それも含めれば、少し重くなった、です。
- 食の細い子なのでそこまで食費にかからないからです
差し引きで考えれば、ほとんど変わらない
- 通信制の学校に転校しましたが、授業料がもとの所とほとんど変わらなかった
- 学校にかかる費用は払わなかったので自宅にいても出費はさほど無かったからです。
- 給食を止めたり、教材費の返金等で変わらない
家庭の事情で負担が増えなかった
- 母子家庭でしたので、精神科の治療代はかかりませんでした。
- 専業主婦だったから
- 祖父母が家で面倒を見てくれるため
- 自営業なのでいっしょに自宅にいれた
- もともと私は専業主婦であり、特に変化はありませんでした。
不登校期間が短期間だったので
当サイト実施:2023年6月実施「子どもの不登校を経験した保護者へのアンケート」より
- 学校に行かない期間、会社を休んでもまだ有給が使えたため負担にはならなかったです。
- 長期に渡っての不登校ではないので、特に経済的な変化は有りませんでした。
- 留年するかどうか判らないため
- ほとんど引きこもっていたので特に変わりはありませんでした。
- 転校などはしなかったから
それぞれのご家庭の状況によって経済的負担が変わらない場合もあるようです。
特に自営業だったり専業主婦などで、自宅に日中誰かがもともといる場合は、経済的な負担も少なくて済むようです。一方で、共働きだったり祖父母が近くに住んでいない場合などは、保護者の誰かが仕事を休んだり、場合によっては辞めざるを得ないご家庭もあります。
不登校が短期間だったので、負担がなかったという意見もありました。裏を返せば、不登校が長期化すると、有給休暇を使い切ってしまい、収入面にも影響が出てくることがあります。
「経済的負担が変わらない」との理由には、大きく分けると以下の3つの意見もありました。
- 食費などがあまり増えなかった
- 新たな出費はあるけれど負担が重くなったというほどではない
- 出費は増えたが、定期代や給食費などが減ってのでプラスマイナスでは変わらない
専業主婦だったから対応ができたという意見もあり、家庭の事情によっても大きく変わることがわかります。
不登校を短期間で克服させるためにも、早めに病院を受診したりカウンセラーに相談するなど専門家の力を借りることが経済的な負担を最小限に抑えるためにも有効なようです。
また、出費を見直したり将来の進学などを考えて、学費を準備することを考えることも大事です。教育費に関するシミュレーションや授業料無償化に関する情報などを学資保険アドバイザーに無料相談ができるサービスもあります。
経済的負担が「軽くなった」
経済的負担「軽くなった」回答一覧
当サイト実施:2023年6月実施「子どもの不登校を経験した保護者へのアンケート」より
- 幼稚園にいけなくなったことで幼稚園をやめて、NPO法人が運営している施設に行くようになりました。幼稚園より安いです。
- 通信制高校に進学したので経済的には軽くなりました。
- 給食費代を払わなくなったから
- 洋服代が節約になりました。
- 給食費等学費が減った
給食費を止めたり、通う先を変えるなど積極的に動くことで、経済的な負担が抑えられていますね。
不登校になった場合に、悪いことばかりではありません。
給食費を止めることも有効なようです。
いずれにせよ、子どもが不登校になった時にすぐに家族の中で方針を決めて、どのような対応をするか決めることがとても重要です。
2つの経済的な負担を軽減するために
自由記述で経済的負担の理由を確認しました。
経済的負担は、大きく2つに分かれることがはっきりしました。
1つ目は、正社員の仕事を辞めざるを得なかった、パートの時間を減らしたなどの収入の減少
2つ目は、転校による学費や制服の準備、新しい習い事、カウンセリングなどへの出費の増加
経済的負担をできるだけ軽減するには、次の2つが重要です。
仕事への影響を極力減らすこと
子どもが学校を休む場合、子ども一人で自宅で過ごさせることができません。
保護者が付き添うことになります。
休み始めの頃は有給休暇を使ったり、シフトを調整してもらうことで対応できます。
しかし、完全に不登校になってしまうと今までのように仕事を続けることは難しくなります。
仕事に関しては、先手先手で考える必要があります。
状況によっては、退職や在宅勤務やフレックスが可能な仕事に転職することも選択肢となります。
仕事への影響について、くわしくはこちらの記事をご覧ください
▶ 子どもが不登校になって仕事を続けられるか?【カウンセラーが徹底解説】
何かを始める時は慎重に判断すること
「子どもが『塾なら行ける』と言ったから入塾させたのに一日も通えていない。最近は『家庭教師を頼んで』と言い出したが、そんなお金はない」
「高校を転校した。学費を払い直し、制服もすべて揃えた。結局、その高校にも通えずまた転校した。」
このような話を聞くことがたびたびあります。
お子さんの「○○ならできそう」という言葉を、保護者が真正面から受け止めることはとても良いこと。
しかし、その言葉に振り回されるのはよくありません。
経済的な負担はもちろん、お子さんにとっても「またダメだった」「どうせできない」という挫折経験が増えてしまいます。
せっかく話してくれたこと、やっと出てきたやる気をどのように生かせばよいか。
いろいろなコツがありますので、もし気になる場合は、初回無料のカウンセリングをご利用ください。