「連載:家族療法家の臨床ノート連載―事例で学ぶブリーフセラピー」執筆こぼれ話、【第1回】ブリーフセラピーは誰でもできる

いつもご覧いただきありがとうございます。
先日のコラムでも少し紹介しましたが、金子書房さんのNoteで連載をさせていただくことになりました「家族療法家の臨床ノート連載―事例で学ぶブリーフセラピー」というタイトルで、月二回(第2・第4水曜日)更新で1年間を予定しております。
これから、連載の更新に合わせてこちらのコラムで執筆後記のようなものを書いて行ければと思います。

連載のきっかけ:もう一度書きたい

私自身、大学在学中にNPO法人を立ち上げてから、NPO法人の事務局だけでなくスクールカウンセリングなどを掛け持ちいわゆるフリーランスでずっと活動してきました。その間に、書籍の分担執筆をさせていただいたり、自分が編著での「小学校スクールカウンセリング入門」などもおかげさまで出せるようになりました。毎年、日本家族心理学会で自主シンポジウムを行うのも恒例としており、自主シンポジウムの発表のネタを1年考えては発表し、また翌日から来年のシンポジウムのネタを考え始めるというサイクルで動いていました。
そんな中、2015年に縁があり、一般企業の研究所の常勤カウンセラーとして活動しておりました。この仕事は非常にやりがいがあり、研究所以外の本社や工場や関連会社にもよばれるようになり充実していました。

しかし、自分の中で一つ問題だったのが、「学会発表や執筆ができないこと」でした。研究所所属なので、研究所に倫理委員会が設けられているので(相談者の承諾を得た上で)倫理委員会の承認を得られれば学会発表はできるでしょう。
ですが、事例に関する内容の場合は、倫理委員会は社内のメンバーを中心に構成されているので、「これ、あの人のことだな」と気づかれる可能性があります。場合によっては、事例と全く関係ない研究所員のことだと誤解されるかもしれません。このように、類推されたり誤解されることは絶対に避けるべきだと考えました。これがメンタルヘルスなどに関連した研究所であればまた全然違うのでしょうが、化学原料の研究所でしたので、私がカウンセリングやメンタルヘルスに関する研究を発表するのはもちろん、倫理委員会に承認を受けることも「場違い」な状態でした。他にもいろいろ事情があり、それまでのような活動が出来なくなっていました。

そこで、組織に縛られず自由に活動したいと考え、2019年に弊社を法人として立ち上げました。自由な活動の一つにはもちろん自分の活動のアウトプットもあります。

弊社を立ち上げて1年が経った2020年春に、「小学校スクールカウンセリング入門」の編集でお世話になった金子書房の加藤さんとご一緒する機会があり、「アウトプットしたい」と相談しました。すると、出版の話を頂きました。うれしい反面、少し躊躇してしまい当初イメージしていた「まずはNoteで連載をしたい」という無理なお願いをしました。そして、実現したのが今回のNote「家族療法家の臨床ノート連載―事例で学ぶブリーフセラピー」となります。

最初からつまづく

2020年春にこの話が出て、今日のスタートまで2年近くかかってしまいました。これは私の中で、第1回目の原稿を書くのに1年半近くかかってしまったからです。タイトルに「家族療法」と「ブリーフセラピー」をあえて書いているので、第1回目の原稿ではこの2つを説明するところからスタートしようとしたのですが、いろいろとややこしくなってしまいました。
ブリーフセラピーと家族療法の関係性や自分の立ち位置などを最初に説明する必要があるだろうと、まどろっこしい文章を書いては削除、書いては削除を繰り返していました。

誰でもわかるように簡単に分かりやすく

完全に沼にはまってしまったある日、ふと「第1回から書かずに、第2回の原稿から書いてみよう」と思い、第2回を書いたところで第1回目の原稿もすんなりと書き進めることが出来ました。当初、第一回原稿のタイトルは「ブリーフセラピーの面白さと難しさ」としていましたが、「まどろっこしいこと書いてもわかりにくいだけだし、難しく説明するのはやめよう」と考え「ブリーフセラピーは誰でもできる」としました。
難しく説明するのはやめるものの、ブリーフセラピーの土台や骨格となっている社会構成主義・システム論・コミュニケーション論・論理階梯などはしっかりと触れていきます。

心理師の方へ向けて

第1回では、ブリーフセラピーは誰にでもできることを日常の事例を通して紹介しました。「何がブリーフセラピー的なのか」「なぜうまくいくのか」といった解説は第2回以降を読んでいただけるとわかると思います。

もしブリーフセラピーに興味をもって、少しでも実践したいと考えていらっしゃる方は、ぜひともお付き合いいただければ幸いです。絶対に、期待に応えます。

公認心理師が出来て、特にGルートという受験資格があるため他職種で公認心理師の資格を取得される方が多くいらっしゃいます。その方たちは、すでに心理支援を行っているはずですが、どういうアプローチを実践すればよいか悩んでいるという話も耳にします。そのように、公認心理師になったけれど、心理療法について自信がない、「これだ」というバックグラウンドがない方にとって、ブリーフセラピーは非常に分かりやすく実践的で奥が深く、おすすめです。一方で、「一生懸命ブリーフセラピーを勉強しているが、上達しない」という悩みも持たれる方も多いようです。そういう方々にとって、基本からおさらいをして学びなおすきっかけになればとてもうれしいです。

もちろん、この連載だけでブリーフセラピーのすべてを伝えられるとは思っていませんが、今までとは違った刺激や学びになることはお約束いたします。

心理職以外の一般の方に向けて

このように心理師の皆さんに読んでもらいたいですが、それ以外の会社で働く方や子育てや家族の問題で悩んでいる方にも「こんな考え方があるんだ」と思っていただけると幸いです。

これまで、学校で教員や養護教諭向け研修、企業で管理職や一般社員対象の研修などをたくさん行ってきました。私は臨床の事例として紹介した話を職場や家庭で実践した結果「うまくいきました」という報告をたくさんいただきました。つまり心理職だけでなく、本当に誰でも実践できるところがブリーフセラピーの良さだと考えます。

この連載を通して紹介するエピソードが参考になり、一つでも多くの問題が改善することが出来ればありがたいです。

ご質問でもご批判でも結構です。何かお気づきのことがありましたら、遠慮なくご連絡ください。相互作用を重視してよいものを作っていければと考えております。

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