「学校に行きたくない」と言う子どもの心の中に、何が隠れているのでしょうか?
不登校の背景には、身体的な不調や精神的ストレス、発達障害や起立性調節障害(OD)などが関係する可能性があります。
子どもは自分の不調をうまく言葉にできないことが多く、「学校が嫌だ」という言葉が、実は身体や心からのSOSである場合も少なくありません。
こんなサインに要注意です:
- 2週間以上続く頭痛や腹痛、食欲不振
- 無気力や気分の落ち込みが続く
- 自傷行為や希死念慮が見られる
このような場合、病院での受診が必要かもしれません。
この記事では、
不登校の子どもが病院に行くべきサイン
受診先の選び方
医療機関で確認できること
を詳しく解説します。
早期に適切な診断と対応を行うことで、子ども自身が元気を取り戻し、安心して未来に向かって歩み出すための第一歩をサポートしましょう。
この記事は以下の専門家によって書かれています。
執筆・編集責任:吉田克彦(合同会社ぜんと代表 公認心理師、精神保健福祉士)
医学監修:友常祐介(社会医学・産業衛生指導医、労働衛生コンサルタント、医学博士)
なぜ不登校と病院が関係するのか?
不登校の背景には、身体的な不調や精神的ストレス、さらには特定の疾患が隠れていることがあります。子どもは自分の不調を言葉で伝えきれないことが多く、「学校に行きたくない」という理由が、実は身体や心のSOSである場合も少なくありません。
特に、頭痛・腹痛・食欲不振・不眠などの身体的症状や、気分の落ち込み・無気力が続く場合、病院受診で状況を確認することが重要です。
また、不登校の原因として、朝起きられない(起立性調節障害)や発達障害(ADHD・ASDなど)が関与しているケースもあります。これらは専門的な診断と支援が必要です。
不登校の子どもが病院に行くべきサイン

身体の症状が続いている場合
2週間以上、以下の身体症状が続く場合は受診を検討しましょう。
- 頭痛・腹痛・吐き気
- 食欲不振・体重減少
- 不眠・昼夜逆転
- 身体のだるさ・無気力
特に、朝起きられない、立ちくらみやめまいなどがある場合は、起立性調節障害(OD)が疑われます。
この疾患は自律神経系の問題であり、不登校につながることがあります。
気分の落ち込み・無気力の継続
「以前は好きだったことに興味を示さなくなった」「笑顔が減った」と感じた場合、要注意です。
趣味や友だちとの交流を避けるようになった場合、うつ症状や発達障害による二次障害(例:ADHDによる自信喪失)が関与している可能性があります。
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自傷行為・希死念慮が見られる場合
リストカットや命に関わる発言が見られる場合は、すぐに医療機関に相談してください。
これは本人から発せられる重要なSOSであり、早期対応が不可欠です。
どんな病院に行けばよいのか?

まずは小児科・かかりつけ医に相談
身体症状がある場合、かかりつけの小児科で相談することが基本です。
小児科医は成長過程を把握しており、身体的な異常だけでなく心理的問題にも気づきやすいです。
必要に応じて心療内科や精神科への紹介をしてくれます。
中学生以上の場合は心療内科・精神科も選択肢
気分の落ち込みや情緒不安定が続く場合、中学生以上では心療内科・精神科への相談も視野に入れましょう。
ただし予約待ち期間が長いこともあるため、早めに相談することが重要です。
起立性調節障害の場合の対応
起立性調節障害(OD)が疑われる場合、小児科で以下の検査や治療を受けられる可能性があります:
- 血液検査(貧血や甲状腺疾患)
- 睡眠検査
- 血圧を上げる薬物療法
医療機関で確認できること・できないこと
医療機関でできること
- 身体的症状の診断・治療
- 精神疾患(うつ病など)の診断と薬物療法
- 起立性調節障害や発達障害への対応
医療機関でできないこと
- 学校との調整(スクールカウンセラーなどとの連携が必要)
- 家庭環境改善(心理カウンセリングなど外部支援機関を利用)
家族支援と地域資源との連携
家族支援の重要性
不登校児童生徒への支援には家族全体へのアプローチも欠かせません。
親自身がストレスを抱えすぎず、専門家から助言を得ることで子どもの回復を促進できます。

地域資源との連携
教育支援センターや相談窓口では、不登校児童生徒への個別指導やカウンセリングを提供しています。
これらを活用しながら学校復帰を目指すことも有効です。
病院受診時の準備とフォローアップ
受診時に準備すべき情報
不登校の受診の場合は、聴診器やレントゲンなどの情報よりも、説明の内容が重要になります。
診察時間は限られています。
また緊張しているために「あぁ、もっとちゃんと説明すればよかった」と後悔することもあります。
後悔しないように、受診する際には事前に以下の情報を準備しておきましょう。
- 症状の経過(発症時期・頻度)
- 学校での様子(友だち関係など)
- 母子手帳・健康診断結果
診断結果後の対応とフォローアップ
医師から処方された治療計画を理解しつつ、必要なら心理療法やスクールカウンセラーとの併用も検討しましょう。
家族間で情報共有しながら進めることが大切です。
まとめ:病院受診を最大限に生かす
病院受診はゴールではなく、不登校解決への第一歩です。
家庭内で親子間コミュニケーションを活発化させながら地域資源とも連携し、子どもの状況改善へとつなげましょう。