不登校のお子さんを持つ保護者さんにとって、「家庭での勉強をどう進めればいいのか」は大きな悩みの一つです。

学校に行かない分、家庭学習で遅れを取り戻さなければと焦ってしまい、お子さんに無理やり勉強をさせようとして親子関係がこじれてしまうケースも少なくありません。

吉田克彦
(管理人)

私は、お子さんの不登校に関する相談を行って25年以上になります。
その中で「家で子どもが勉強しない」という悩みが本当に多くあります。
この記事では、カウンセラーの視点で普段の相談でお伝えしている内容を中心に、家庭学習のとらえ方について、ご紹介します。

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家庭学習をするメリットは「頭が良くなること」ではない

不登校のお子さんが家庭で勉強しないと「頭が悪くなってしまう」「高校に行けない」などと考えがちです。
「ちゃんと進学できるために」と家庭学習を無理やりやらせようと必死になるのは仕方がありません。
しかし、その考え方がお子さんを勉強から遠ざけてしまいます。

勉強の究極の目的は「人生を楽しく豊かに過ごすこと」だと考えます。

勉強をすることでお子さんが自信を失ったり、勉強ができないことで「自分は生きている価値がない」などと考えることは本来あってはなりません。
勉強を強制することで、自信を失ったり、生きている価値を見失うようならば、勉強しない方がマシです。

勉強だけがすべての問題を解決するわけではありません。
むしろ、勉強にこだわらないことで見えてくることもあります。
勉強を強制しないことで、勉強が楽しくなることもあります。

勉強によって不幸になるのであれば、勉強をしない方がいいです。

カウンセラーが重視する、家庭学習のメリット5つ

勉強は本来「本人が幸せになるためにするべき」です。
勉強をすることで不幸になるのであれば、それは意味がありません。

家庭学習をすることで、どんなメリットがあるでしょうか。
私は25年以上、カウンセラーとして不登校のお子さんの勉強に関する相談に応じてきました。
その中で、家庭学習を行うことで得られるメリットは大きく5つに分けられると考えます。

メリットその1:自分も家族も安心する

一番のメリットは自分も家族も「勉強ができている」と安心できることです。

心理学研究では、学習による達成感が自己効力感(「自分にもできる」という感覚)を高めることが証明されています。勉強をしていることで自信が持てるようになり、再登校や進路選択の際にも選択肢が広がります。

<家庭学習継続による保護者とお子さんの心理状態の変化を示す事例を挿入>

メリットその2:嫌なことを考えなくて済む

勉強をすることで嫌なことを考えなくて済むのもメリットです。

認知行動療法の研究では、空いた時間に反すう思考(同じ悩みを繰り返し考えること)が続くと、うつ症状が悪化することが知られています。勉強に集中している時間は、不登校への不安や将来への心配から一時的に解放され、心の負担を軽くできます。

メリットその3:結果が目に見えて残る

結果がしっかり残ることもメリットです。
例えば、「どこまでやったのか」「何がわかって何がわからないのか」などがはっきりとわかります。

行動分析学では、目標の可視化と進捗の記録が学習継続のモチベーション維持に重要とされています。「現時点では何ができているのか」「これから何をすればいいか」が明確になることで、具体的な対策が取れ、小さな進歩も実感できます。

メリットその4:頭を使うことで心地よく疲れる

勉強をすると疲れます。この疲労も実はメリットの一つといえます。

睡眠研究では、適度な認知的負荷(頭を使う活動)が良質な睡眠を促進することが示されています。
頭をしっかり使って疲れることで、ぐっすり眠れるようになり、翌日の目覚めも良くなります。
不登校のお子さんに多い昼夜逆転の改善にも効果的です。

メリットその5:(それなりに)正しい答えが必ずある

学校の勉強は基本的に「正しい答え」があります。正しい答えのある問いを考えることはとても重要です。

不登校になると
「なぜ自分は××できないのか」
「なぜ生きているのか」
「自分は将来どうなるのだろう」
・・・など、答えが見つかりにくい悩みばかり考えてしまいがちです。

一方で、教科学習は問題がわからなくても、回答を見れば「正しい答え」が必ず出てきます。
パズルのように「論理的に考えれば答えが導き出せる」のはとても重要です。。

とはいえ、勉強の答えも実は変わってしまうことがあります。
たとえば、鎌倉幕府の成立は私が子どもの頃は1192年(イイクニ作ろう鎌倉幕府)と教科書には載っていました。
現在では、1192年ではなく1185年と教えられるようです。

メリットよりデメリットの方が大きければ、勉強はしてはいけない

5つのメリットを紹介しましたが、このメリットが得られない場合もあります。
また、無理やり勉強をさせようとして負担ばかりが増えてしまうこともあります。
そういう場合は、勉強はしてはいけません。

無理やり勉強をするデメリット①:家族関係の悪化

無理やり勉強しても効率が悪く、家族関係がギスギスしてしまいます。

家族と顔を合わせるたびに「勉強しなさい」と言われ続けたら、家族を避けるようになるでしょう。
家族を避けることで、さまざまな問題が生じてしまいます。

家族関係が悪化することで生じる問題
  • 閉じこもり:家族が近づかないように自分の部屋にこもってしまう
  • 昼夜逆転:家族が外出中や就寝中に行動するようになる
  • 暴言:「うるせえな」「クソ××」などの暴言
  • 暴力:家族を黙らせるための暴力や威嚇や、イライラして物を壊す
  • 自傷行為:消えてしまいたいと考え、自分を傷つけてしまう

部屋にこもってゲームばかりしているお子さんの相談をよく受けます。
「勉強しなさい」「学校に行きなさい」と家族に言われ続けるため、部屋に閉じこもりついついゲームをしてしまうなど。家族が勉強にこだわりすぎるのがきっかけの場合も多くあります。

無理やり勉強をするデメリット②:さらに勉強が嫌いになる

嫌いなことを強制されると、好きになるどころかますます嫌いになります。
「嫌でもいいからやってごらん。やっているうちに好きになるから」というのは、勘違いです。

食べ物を想像してみてください。いくら体に食材であっても、嫌いな食べ物を無理やり口に詰め込まれたら、吐き出すでしょう。
味わうどころか、二度と見たくないと思うはずです。
勉強も無理やり詰め込むのは、勉強嫌いになり逆効果です。


家庭勉強を成功させるマインドは「3つのこだわりを捨てる」こと

不登校のお子さんを持つ保護者にとっての大きな悩み「子どもが勉強をしない」ことです。
私も25年以上のカウンセリングの中で「学校に行けない状況で、どのように勉強をさせればよいか」という相談を受けて、問題解消の支援をしてきました。

保護者の「子どもが勉強をしない」という悩みを解消し、
子ども自身が勉強を通して人生をより良く生きるため、大事なことがあります。
保護者さんの3つのこだわりを捨てることです。

その1:他の人との遅れへのこだわりを捨て、本人のペースを重視する

「同じ学年の子より勉強が遅れている」などと他の子との比較はやめましょう。

人生は競争ではありません。
他の人と比較をするのではなく、本人が幸せならそれが最高です。

人と比べて「遅れているからだめ」とか、「他の人より進んでいるから安心」と考えるのは、お子さんを見ているとはいえません。

また、子どもの頃の1年の遅れは大きく感じますが、40代50代になった時に、他の人よりどのくらい遅れているか進んでいるかを気にする人はいるでしょうか?
出世や結婚出産の時期などで「あの人は早かったのに、自分まだだ」などと考えることはあるかもしれません。それも比較するのは自由ですが、幸福度には関係ありません。

人との比較ではなく、子ども自身に合ったスピードやタイミングが大事です。

その2:勉強の形へのこだわりを捨て、いつでもどこでもOK

「勉強とは、きれいに整頓された机の上で集中して取り組むものだ」などの考えを一旦捨てて、「どんな形であれ、勉強すればOK」と考えましょう。

形にこだわると、「△△しているからダメ」「~~できていないからダメ」と出来ていないところばかりが目に付いて、勉強に対するハードルが増えてしまいます。
「とりあえず勉強っぽいものをしていればいい」というスタンスなら、お子さんが勉強に向かう姿勢を認めることができます。
お子さんも自信がつき、さらに勉強をしたくなるという好循環になります。生活全体が勉強につながることも大事です。

多様な学習スタイルの例
  • ベッドの上で寝っ転がりながら教科書を読む
  • テレビのクイズ番組で考えながら、答えを検索
  • ゲームをしながらYouTubeの学習動画を視聴
  • 散歩しながら昆虫や植物などを観察する
  • 音楽を聴きながら数学の問題を解く

「せっかく、教科書をパラパラ読んでたのに、『寝ながら教科書みないで、ちゃんと机に座って勉強しなさい』と言われてやる気をなくした」というお子さんの声、結構多いですよ。
勉強のやる気をつぶしたくないですね。

その3:一つの方法へのこだわりを捨て、いろいろ試す

「せっかく問題集を用意したのに使ってないのだから、まずはそれをやりなさい」
などと考えてしまう保護者さんが多いようです。

もちろんムダは避けたいという気持ちはわかりますが、「子どもに勉強をさせる」という目的からははずれています。

一つの方法にこだわりすぎると新しい挑戦ができなくなります。
保護者さんが厳しいとお子さんが「今度こそ頑張ろう」と思っても「どうせできない」「親に反対される」「迷惑をかけたくない」などと考えて我慢してしまうことがあります。
その結果、勉強をしない日が続いてしまうのです。

不登校のお子さんにとっては、「やりたい」と思った時の気持ちを大切にすることが何より重要です。
失敗しても「次は違う方法を試してみよう」という雰囲気を作ることで、お子さんの学習意欲を支えることができます。

もし、買った問題集をまったく使わなかったとしても、順番が違うだけかもしれません。勉強が軌道に乗ってきたら、あとで「そういえば、あの問題集残ってたな。やってみよ」と思うこともあります。

家庭学習を成功させる対応方法

こちらの思い込みや押しつけで勉強をさせようとするとうまくいきません。
家族との関係も悪くなるなど、「勉強にこだわること」でいろいろな問題が増えてきます。

場合によっては、自分の部屋から出てこなくなったり、家族に対して暴力をふるったり、「自分なんて生きてても意味がない」などと考えてしまいます。
このような状況では、勉強からはどんどん遠ざかってしまい、問題が深刻化してしまいます。

家族が何も言わなくても、家庭学習をきちんとこなしているお子さんもいるでしょう。
一方で、いくらどんなに「勉強しなさい」と言っても、お子さんが勉強をしないから、この記事にたどり着いた方も多いでしょう。

「急がば回れ」という言葉がありますが、
家庭学習を成功させるキーワードは「家庭学習を焦らない」ことです。

具体的な方法を紹介します。

無理やり学習をさせない

本人が勉強したくない時に無理やり勉強をさせる必要はありません。

そんな状況で勉強してもあまり身につかないうえ、家族関係が悪くなってしまうなどマイナスの方が大きいからです。
「今日はやりたくない」という日があってもいいのです。
むしろ、お子さんの気持ちを尊重することで、後日「やってみようかな」という気持ちが自然に湧いてくることがあります。

大切なのは、勉強をしない日があっても責めずに見守ることです。
保護者さんが焦る気持ちはよくわかりますが、お子さんなりのペースを信じて待つことが、長期的には良い結果につながります。

やる気がない時の対応例
  • 「今日は休む日だね。また明日やる気が出たらやってみよう」
  • 「無理しなくていいよ。体調はどう?」
  • 「勉強以外で何か楽しいことはある?」

1か月に5分ずつ勉強時間を増やしていけば、1年で1時間の勉強習慣が身につきます。
簡単な計算問題を1日1問ずつ増やしていけば、1ヶ月後にはで30問解けるようになります。
もちろん、こんなに順調には進みませんが、最初からたくさん勉強をさせようとするよりは、お互いに負担がなく取り組めます。

本人の強みを生かす

家庭学習を進めるためには、本人の好きなものなどを活かすことが大事です。

勉強することに前向きになり、成功体験が増えるのでモチベーションが上がりやすくなります。また、具体的に自分の役立つことと勉強の内容がリンクすることで「勉強をする意味」を理解できるからです。

興味関心を活かした学習例
  • ゲーム好き:ゲーム制作に必要な数学やプログラミング
  • アニメ好き:アニメの舞台となった地域の地理や歴史を調べる。好きなアニメの英語版を観る
  • 料理好き:レシピの分量計算を暗算で計算する。栄養について理科・保健・家庭科の内容にリンクさせる
  • 音楽好き:楽器の仕組みで物理、音楽史で社会、洋楽を聞いたり、海外の音楽サイトを読む
  • スポーツ好き:記録の統計で分析し理論的に考える、海外チームの情報を英語で調べる

最近は、ゲーミフィケーション(ゲーム要素)を重視した教材も増えてきました。単調な勉強は苦手だけれど、ゲーム感覚だと取り組みやすい場合もあります。

例えば、ゲーム要素を取り入れて好評な教材が、”すらら”です。
多くの教育委員会でも採用され、塾やフリースクールでも導入されています。
お手持ちのパソコンやタブレットで無料体験ができますから、まずは資料請求をしてみませんか?

すらら公式サイトはこちら→https://surala.jp/

家族も何か挑戦する

家族も勉強をするなど何かを始めることが重要です。
家族が何かに挑戦している姿は、子どもにも刺激を与えますし、

大人がやりたくないことは子どもがやるはずがない

当たり前ですが、大人がやりたくないことは子どももやりたくありません。
大人がずっとスマホを観たりゲームばかりしている状況で「お前は勉強しろ」と言われても説得力がありません。

学ぶことの喜びや大変さを共有できる

家族も何かに挑戦することで、勉強の大変さとか、できた時の喜びなどに共感できます。

「いやぁ、こういう日はサボりたくなるよね」
「暗記するのは、ストーリー仕立てにすると覚えやすいよ。例えば、お父さんが最近覚えたのは・・・」
などと話題を増やすことができます。

保護者さんも一緒に何かを学ぶことで、お子さんに「学ぶって楽しいね」「新しいことがわかるって面白いね」という気持ちを伝えることができます。

保護者さんが挑戦できること
  • 資格取得の勉強(簿記、英検、漢検など)
  • 語学学習(英語、中国語、韓国語など)
  • 趣味の深掘り(ガーデニング、料理、写真など)
  • オンライン講座の受講
  • 読書習慣の開始

苦手科目の克服よりも得意科目の強化

勉強をやる順番は特に決まっていません。
苦手科目は誰でもやりたくないので、やりやすい得意科目から始めていきましょう。

苦手科目をやると自信を失って「全然わからない」「どうせやってもダメだ」と勉強への意欲をそいでしまいます。
得意科目をやれば「もう少し難しいことが知りたい」「これはどういうことなのだろう」と自分から興味関心がわいてきます。

以前は、遅れている部分を補うことが重視されていました。特別支援教育の考えが浸透しており、現在は「苦手を克服するより、得意をドンドン伸ばす」ことが推奨されています。

得意科目で自信をつけてから、少しずつ他の科目にも挑戦していけば良いのです。「勉強って楽しい」「自分にもできる」という気持ちを育てることが、長期的な学習継続につながります。

学習の進め方の例
  1. 最も得意・好きな科目から始める
  2. その科目で自信をつける
  3. 関連する分野に少しずつ範囲を広げる
  4. 十分に自信がついてから苦手科目にも挑戦

よくある質問(FAQ)

Q
家庭学習はいつから始めればいいですか?
A

お子さんが「やってみたい」と思った時が始め時です。無理に時期を決める必要はありません。

Q
学校の進度に追いつけるか心配です
A

学校の教えるスピードよりも、お子さんのペースの方が重要です。授業に追いつくことより、お子さんが安心して学習できることを優先しましょう。
必要に応じて学年を戻って復習することも大切です。

Q
どの学習方法が一番効果的ですか?
A

お子さんの性格や学習スタイルによって異なります。複数の方法を試して、お子さんに合うものを見つけることが重要です。

Q
子どもの勉強について、誰に相談すればいいですか?
A

学校の担任の先生や特別支援コーディネーター、スクールカウンセラーなどに相談することができます。ただし、どうしても学校の勉強が基準になってしまいますので、お子さんのペースに合わないことがあります。
そのような場合は、私たちにご相談ください。初回無料なので、1回だけの相談も大歓迎です。

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Q
進路への影響が心配です。全く勉強していない状況で高校に進学できるでしょうか?また、進学できたとしても卒業できるでしょうか?
A

大丈夫です。もちろん、合格できない高校もありますが、それは勉強をしていたとしても同じこと。重要なのは、「どこの高校に行くかではなく、お子さんがどんな人生を歩むか」です。
通信制高校、定時制高校、高卒認定試験など、現在は多様な進路選択肢があります。いろいろ調べておくと、不安も軽減できますよ。

勉強にこだわりすぎて、人生を犠牲にしてはいけない

家庭学習成功のチェックポイント
  • お子さんが安心して学習できる環境作りができている
  • 他の子と比較せず、その子なりの成長を認められている
  • 勉強の形や方法にこだわりすぎていない
  • お子さんの「やりたい」気持ちを尊重している
  • 家族も一緒に学習や挑戦をしている
  • 得意なことから始めて自信をつけさせている
  • 必要に応じて専門機関に相談できている

不登校のお子さんの家庭学習で最も大切なことは、「お子さんの幸せを最優先にする」ことです。

勉強は本来、人生を豊かにするためのツールです。勉強によって親子関係が悪化したり、お子さんが自分を責めるようになったりするなら、一旦勉強から離れることも必要です。

大人になって仕事は大事ですが、仕事で人生がめちゃくちゃになってはいけないように、
子どもにとって勉強することはとても大事ですが、勉強することがすべてではありません。

多くのこだわりを捨てて、お子さんと家族の幸せだけを考えることが大事です。
そして、幸せを考えていけば、必要な勉強は自発的にするようになります。

人生は長いです。短期的な成果を追い求めすぎると、多くのものを犠牲にします。
また、家族の関係も悪化して新たな問題が起きてしまいます。

お子さんはもちろん、ご家族も、たくさん回り道して、人生を楽しんでください!
もし、悲観的に考えてしまったり、どうすればいいかわからない時は遠慮なく相談してください。

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