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この記事でわかること

  • 不登校の子が朝起きられない理由がわかる
  • 子どもが朝起きられない場合に保護者がどう対応すべきかがわかる

不登校の子供が朝起きられない理由はいろいろあります。。睡眠不足、起立性調節障害、心理的ストレス、親子関係の悪化、発達障害などそれぞれの原因と保護者の対応方法について解説します。

無理やり起こすのは逆効果になります。具体的にどのような対応をすればいいか、一緒に考えましょう。

この記事を書いた人

不登校なんでも相談室管理人の似顔絵

吉田 克彦(公認心理師・精神保健福祉士)

スクールカウンセリング歴25年超、小学校・中学校・高校(全日制・定時制・通信制)でのスクールカウンセラーとしての活動経験あり。東日本大震災の被災地心理支援、業界最大手の化学製品会社の常勤カウンセラーなどを経て、現在は合同会社ぜんと代表。
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1. 朝起きられないのは怠けではない!

不登校の子どもが朝に起きられない理由は、単に怠けているからではありません。睡眠不足や生活リズムの乱れ、起立性調節障害(OD)、心理的な要因など、多様な背景が考えられます。また、学校への不安や恐怖が原因で朝起きられないケースもあります。文部科学省の調査によると、不登校の子どもたちの多くが睡眠に問題を抱えていることが指摘されています。これは、学校に行きたくないというよりも、身体的または心理的な要因によるものです。

2. 朝起きられない原因を理解する

原因①:睡眠不足(睡眠の質と量の問題)

睡眠不足は、子どもの朝の目覚めに直接的な影響を及ぼします。規則正しい睡眠習慣がないと、十分な休息を取ることができず、朝起きることが困難になります。

原因②:起立性調節障害の症状の疑いがある

起立性調節障害(OD)は、自律神経の失調により起こる症状で、朝起きられない以外にも、頭痛、腹痛、めまい、立ちくらみなど様々な症状が現れます。原因はまだ完全には解明されていませんが、思春期の子どもに多く見られる症状です。診断は、症状の問診や検査によって行われ、治療には、生活習慣の改善、薬物療法、心理療法などがあります。

起立性調節障害の症状として朝起きることができず、結果として不登校になるお子さんもいらっしゃいます。

起立性調節性障害については、こちらの記事もご覧ください。
不登校と起立性調節障害 特徴から改善方法やカウンセリングまで徹底解説

原因③:心理的な要因が関わっている

学校に対する不安、ストレス、うつ病など、心理的な要因も朝起きられない大きな原因です。心の問題は睡眠の質を下げ、起床時の体調不良につながることがあります。

原因④:親子関係がうまくいっていない

親子関係が悪化することで、睡眠不足や心理的なストレスが生じ、それが朝起きられない原因となる可能性があります。具体的には、以下のような親子関係が問題となる可能性があります。

子どもの睡眠に影響を与える親子関係

  • 親が過度に干渉し、子どもの自立を妨げる
  • 親が子どもの気持ちを理解しようとせず、一方的に自分の意見を押し付ける
  • 親が忙しく、子どもと過ごす時間が少ない
  • 親が子どもに対して暴力や暴言を振るう

これらの問題を抱える家庭では、子どもは安心感を得ることができず、学校に行きたくないと感じることもあります。
また、保護者が共働きの場合は「みんなが仕事に行ってしまえば、何も言われなくなる」と考え、家族が仕事に行くまで寝たフリをして過ごす子もいます。

親子関係については、以下の記事が参考になります。
親子の会話がなくて子どもの気持ちがわからない|解決のコツをカウンセラーが徹底解説
不登校経験者110名から保護者へのメッセージ!子どもが不登校になった時に心掛けること

原因⑤:発達障害

発達障害は、脳の機能の発達が障害されることで、様々な困難を抱えることになります。朝起きられない原因となる発達障害としては、ADHD自閉スペクトラム症などが挙げられますが、これら以外にも、学習障害なども考えられます。

海外の研究ですが、ADHDの子ども239人を調査したところ、74%が何らかの睡眠の問題を抱えていることがわかりました。

睡眠の問題の例

  • 就寝困難:子どもたちが寝る時間になってもなかなか眠りにつけない。
  • ベッドに入るのを拒む:寝る時間になってもベッドに行くことを嫌がる。
  • ベッドの中で身体を動かし続ける:眠ろうとするが、じっとしていられずにベッドの中で体を動かし続ける。
  • いびきや呼吸困難:睡眠中にいびきをかいたり、呼吸が困難になったりする。
  • 夜中に何度も目を覚ます:深夜に何度も目が覚めてしまう。
  • 朝、起き上がるのが難しい:朝になってもなかなかベッドから起き上がれない。
  • 目覚めても疲れが取れない:十分に睡眠を取ったはずなのに、起きたときに疲れが残っている。

【関連記事】
【不登校と発達障害】ASDについて特徴や改善法
不登校と学習障害(LD)の関連について徹底解説
【スクールカウンセラーが解説】ADHD(注意欠陥多動症)と不登校の関係

原因⑥:家庭環境の変化

家庭内の環境変化は、子どもの心に大きな影響を与え、不登校や朝起きられない問題につながることがあります。具体的には、以下のような変化が問題となる可能性があります。

3. 無理やり起こすのは逆効果

子どもを朝無理やり起こすことは、かえって逆効果です。厳しい声かけや怒鳴りつけるような行動は、子どもに不安やストレスを与え、朝の目覚めをさらに困難にする可能性があります。心理学の研究では、安心感を提供する穏やかな声かけが、子どもの自立心を育むことにつながることが示されています。子どもが安心して朝を迎えられるよう、親は寄り添う姿勢で支援することが大切です。

4. 子どもに寄り添い、解決策を探る

子どもが朝起きられない問題に対しては、まずは子どもをよく観察し、寄り添うことから始めましょう。睡眠不足や起立性調節障害、心理的な要因など、原因は様々です。

必要に応じて医療機関やカウンセラーに相談し、専門的なサポートを求めることも一つの手段です。また、生活リズムを整えるためには、早寝早起きの習慣づけ、朝の光を浴びること、適度な運動、栄養バランスの取れた朝食などが効果的です。家庭内での穏やかな声かけや、安心感を提供することで、子どもの自尊心を高め、より良い親子関係を築くことができます。

5. よくある質問

子どもが朝起きられない時はどうすればいいですか?

焦らず、子どもの状態を観察し、穏やかに声をかけてみましょう。 起立性調節障害については、医療機関での診断が必要です。朝食をしっかりと摂ること、適度な運動を取り入れることも重要です。病院選びに迷った場合は、まずはかかりつけの医師に相談してみることをおすすめします。

子どもが朝起きないと、イライラしてしまいます

学校に行く時間になっても起きてこないお子さんの様子を見て保護者の方がイライラしてしまうことは、自然な感情だと思います。
問題は、そのイライラを子どもに直接ぶつけることです。直接ぶつけて改善できるならよいですが、多くの場合は直接子供にイライラをぶつけることはプラスに働きません。イライラをぶつけることが目的になるのではなく、子どもがより良い生活をすることを目標にして方法を考えていきましょう。もし、ご家族だけで考えられないのであれば、専門家に相談することが大事です。

【関連記事】
【不登校対応のコツ】「わかること」より「できること」が重要 心理師が解説

6. まとめ

朝起きられない原因は多様であり、それには様々な背景があります。
無理やり起こすことは逆効果であり、子どもに寄り添い、専門家のアドバイスを参考に解決策を探ることが大切です。

子どもが朝スムーズに起きられるようサポートすることで、不登校の問題にも前向きに取り組むことができます。

引用文献

Sleep Problems in Children With Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder Prevalence and the Effect on the Child and Family
Valerie Sung, MBBS; Harriet Hiscock, MD, FRACP, MBBS; Emma Sciberras, BA; et al

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投稿者プロフィール

吉田 克彦
吉田 克彦公認心理師・精神保健福祉士
不登校・引きこもりの家族相談を行って20年超。
スクールカウンセリングから、東日本大震災の被災地心理支援、企業内カウンセラーなどを経て、現在は合同会社ぜんと の代表。