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保育士の離職を防ぐ人間関係と外部相談先づくりの職員支援策

職員が辞めてしまう、退職を考えている職員がいる、園の雰囲気がぎくしゃくしている。
保育園や幼稚園、こども園を運営していると、離職や職員の疲弊は、園長や施設長にとって避けて通れない悩みになります。

採用や待遇の改善、ICT化による業務軽減も大切な取り組みです。
ただ、それだけでは扱いにくい課題として、職員同士の人間関係や、安心して相談できる先があるかどうかという問題が残ります。

ここで前置きしておくと、保育士の離職原因が人間関係だと言い切るつもりはありません。
離職の背景は園ごとに異なり、複数の要因が重なります。そのうえで、保育士経験者55名への自社アンケートの自由記述には、人間関係や相談先のなさに関する声が一定数見られました。

人間関係・メンタル起点の離職防止や職員支援に、外部心理支援を入れるべきか。
園長・運営者・主任がその判断を進められるよう、園内で扱いにくい心理的・関係的な課題と、外部心理支援でできること・できないことを整理します。

この記事は以下の専門家によって執筆・監修されています。

執筆・編集責任:吉田克彦(合同会社ぜんと代表 公認心理師、精神保健福祉士)

  • 不登校の家族支援25年以上、3000家庭以上の支援実績
  • スクールカウンセラー歴20年以上。小学校、中学校、高校(全日制、定時制、通信制)全ての校種で勤務経験あり。
    →詳しいプロフィールはこちら

医学監修:友常祐介(社会医学・産業衛生指導医、労働衛生コンサルタント、医学博士)

目次

離職対策はICT化や待遇だけでは届きにくい、人間関係と相談先の課題が残る

離職・定着の課題には、待遇やICT化の改善だけでは届きにくい領域があります。
職員同士の人間関係、保育観のズレ、園内で相談しにくいという感覚は、制度の整備だけでは解消しにくい心理的・関係的な課題です。
離職対策を考えるとき、この領域を切り分けて見ることが出発点になります。

自社アンケートでは、人間関係や相談先の悩みが見られた

保育士経験者55名への自社アンケート(うち引用許諾53名)の自由記述を簡易的に整理すると、人間関係への言及が21名、相談先・第三者・外部窓口・心理的安全性への言及が14名に見られました。
園内だけでは扱いにくい心理的・関係的な課題が一定数見られることがうかがえます。

自由記述に見られたテーマ言及数
人間関係21名
相談先・第三者・外部窓口・心理的安全性14名
業務量・書類13名
人手不足・配置9名
待遇・給与6名

これは自由記述の簡易コード化であり、業界全体の離職原因を示すものではありません。
園ごとの背景や運営状況とあわせて見る必要があります。

自由記述からは、人間関係の負担や、園内では本音を話しにくいという悩みが読み取れます。待遇や業務量の改善とあわせて、安心して相談できる第三者的な窓口を持つことも、職員支援の重要な視点です。

業務量や人手不足、待遇に関する声も見られており、離職の背景が一つの要因に集約されるものではないことがうかがえます。
そのうえで、人間関係や相談先に関する声が一定数あることは、心理的・関係的な課題への目配りが必要だということを示しています。

心理的・関係的な課題は、園内だけで抱え込みにくい

人間関係や相談先の課題は、園内だけで抱え込みにくい性質があります。
立場や人間関係が近いほど、職員は本音を話しにくく、管理職もどこまで踏み込むか判断に迷います。

職員の人間関係や相談先の課題は、個人の我慢だけで扱うものではありません。
園として相談の仕組みをどう持つかという視点で考えると、対応の幅が広がります。

人間関係や相談先の課題を、職員個人の我慢で解決しようとすると限界があります。
園として相談できる仕組みを持つことは、職員を守るだけでなく、組織として安定して保育を続ける土台になります。

人間関係や保育観の対立は、相談できる第三者がいると整理しやすくなる

職員同士の人間関係や保育観の違いは、なくすことが目的ではありません。
違いがあること自体は自然で、問題はそれを安心して相談し、整理できる場があるかどうかです。
相談できる第三者がいると、対立を抱えたままにせず、整理しやすくなります。

心理的安全性は、相談できる仕組みから考える

心理的安全性は、職員一人ひとりの心がけだけで生まれるものではありません。
困ったときに相談できる先があり、相談したことで不利益を受けない、という仕組みがあって初めて成り立ちます。
園として相談の仕組みを用意することが、土台になります。

外部相談先は、園内では話しにくい悩みを整理しやすい

園内で相談すると、立場や人間関係が近いために話しにくいことがあります。
外部の相談先は、契約内容や共有範囲の確認が必要になる一方で、園内では話しにくい悩みを整理しやすいという特徴があります。

相談先起こりやすい課題補えること
園内相談立場や人間関係が近く、話しにくい場合がある園として状況を把握しやすい
外部相談契約内容や共有範囲の確認が必要園内では話しにくい悩みを整理しやすい

園内相談と外部相談は、どちらかだけが正しいものではありません。
両方を組み合わせ、職員が状況に応じて相談先を選べるようにすることが、相談しやすい状態を作る助けになります。

職員が園内だけでは相談しにくい状況がある場合は、外部の相談先を含めて支援の形を確認できます。

職員支援について相談する

抱え込むのは現場だけでなく、主任や園長にも相談先が必要

相談先を必要としているのは、現場の職員だけではありません。
職員間の調整や保護者対応、園全体の運営を担う主任や園長も、相談先がないまま一人で抱え込みやすい立場にあります。

保護者対応の負担が職員の疲弊につながっている場合は、難しい保護者対応を園体制で受ける方法もあわせて確認してください。

難しい保護者対応を園体制で受ける方法を確認する

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管理職が職員間の調整を一人で抱えない

職員同士の人間関係の調整は、主任や園長に集中しがちです。
誰にも相談できないまま調整役を担い続けると、管理職自身が消耗していきます。
管理職が抱える調整の負担も、園として支える対象です。

園長・主任の相談先を用意することも職員支援になる

職員支援は、現場の職員を支えることだけを指すのではありません。園長や主任が、職員のことや園運営の悩みを相談できる先を持つことも、職員支援の一部です。支える側にも相談先があることで、園全体の支え合いが続きやすくなります。

主任や園長は、職員を支える側である一方、自身も悩みを抱える当事者です。調整役が孤立すると園全体の疲弊につながるため、管理職にも安心して相談できる外部の支えが必要になる場面があります。

不調や休職が起きた後の復職を支える仕組みも、離職対策の一部になる

職員の不調や休職が起きた後、どう復職を支えるかも、離職・定着を考えるうえで欠かせません。
復職の支え方を園として準備しておくことは、職員が安心して働き続けられる環境につながります。

復職支援は、本人だけでなく受け入れる園側の準備も必要

復職は、本人の回復だけで進むものではありません。
受け入れる園側が、業務量や配置、周囲の関わり方をどう整えるかという準備も必要になります。
本人と園の双方の準備があって、復職は無理のない形になります。

医療的判断や復職可否の判断は、専門機関と連携して考える

ここで心理士の役割の範囲を明記します。心理士は、職員の病状や復職可否を診断・判断する役ではありません。

心理士の役割は、職員や管理職が抱えている困りごとを整理し、園としてどのような相談先や支援体制を用意するかを一緒に考えることです。医療的な判断が必要な場合は、医療機関や産業保健・関係機関との連携を前提に考えます。

復職の可否や治療方針は医療の領域であり、園と心理士はその判断に代わるものではありません。
園としては、医療機関や関係機関と連携しながら、職場として整えられる部分を考えることになります。

外部心理支援でできることと、別に整えるべきことがある

外部心理支援は、職員支援のすべてを担えるものではありません。
心理支援で相談できることと、園の運営課題として別に整えるべきことを分けて考えると、過度な期待を避けながら判断できます。

職員カウンセリングや研修で相談しやすい土台を作る

外部心理支援では、職員カウンセリングや職員研修を通じて、職員が相談しやすい土台づくりを相談できる可能性があります。
保育士経験者55名への自社アンケート(うち引用許諾53名)でも、職員カウンセリングを心理士に頼みたいと答えた人は32名、職員研修を挙げた人は29名いました。
職員自身の支えや学びの場を求める声は、現場にあります。

職員カウンセリングの具体的な範囲や、相談内容を園にどこまで共有するかは、サービスや契約内容によって異なります。相談しやすい仕組みを作ることと、園として把握すべき範囲をそろえることは、分けて整理する必要があります。

職員カウンセリングでは、相談内容の守秘と園への共有範囲を事前に確認することが重要です。
休職・復職に関する支援も、心理士が担える整理の範囲と、医療・産業保健が判断する範囲を分けて考えます。

職員相談の守秘や共有範囲も含め、具体的にどこまで相談できるかは、サービス内容・料金のページで確認してください。

配置・待遇・業務量の課題は、園の運営課題として別に整える

一方で、業務量や書類の負担、人手不足や配置、待遇や給与といった課題は、心理支援だけで扱えるものではありません。

外部心理支援で相談できること園の運営課題として別に整えること
職員や管理職の困りごとの整理業務量や書類の負担
相談しやすい仕組みづくり人手不足や配置の課題
職員カウンセリングや研修の検討待遇や給与の見直し

外部心理支援は、配置や待遇の改善の代わりになるものではありません。
運営課題は運営課題として別に整えながら、心理的・関係的な課題に相談先を用意するという役割分担で考えると、無理がありません。

心理支援は、配置や待遇の改善の代わりにはなりません。
それでも、職員が悩みを一人で抱え込まない相談体制を作ることは、疲弊を早めに整理し、園内の支え合いを保つ助けになります。

職員のメンタル不調や離職が気になり、園内だけでは相談先が足りないと感じる場合は、職員支援の形を相談できます。

職員支援について相談する

まとめ:職員が一人で抱え込まない相談先を、園として用意する

保育士の離職・定着には複数の要因が重なり、その原因を人間関係だけに集約することはできません。
その上で、保育士経験者55名への自社アンケート(うち引用許諾53名)の自由記述には、人間関係や相談先のなさに関する声が一定数見られました。
これは簡易コード化であり、業界全体の離職原因を断定するものではありませんが、園内だけでは扱いにくい心理的・関係的な課題があることを示しています。

人間関係や保育観の違いは、なくすことではなく、安心して相談し整理できる場があるかが要点です。
相談を必要としているのは現場の職員だけでなく、調整役を担う主任や園長も同じです。

心理士は、職員の病状や復職可否を診断・判断する役ではなく、職員や管理職の困りごとを整理し、園としての支援体制を一緒に考える存在です。
配置や待遇の課題は運営課題として別に整えながら、心理的・関係的な課題に相談先を用意するという役割分担で考えられます。

園として職員の相談先や共有体制を見直すか、外部心理支援を検討するか。
迷う場合は、まず園が職員支援の何に困っているのかを整理するところから始められます。
心理士に何を頼めるかの全体像を確認したい場合は、導入判断ハブの記事もあわせて確認できます。

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