「ストレスチェック、調べておいて」と言われたはいいけれど、何からやればいいのか分からない。マニュアルを読んでも順番がよく分からない──そんな状態ではないでしょうか。

この記事では、50人未満の会社がストレスチェックを初めて実施するときの手順を、あなたが実際に動く順番どおりに並べました。マニュアルの順番ではなく、「担当者として何をどの順でやれば終わるか」の順番です。

この記事でお伝えしたいこと

吉田 克彦

吉田 克彦

公認心理師
不登校の家族支援25年超

ストレスチェックの実施は外部の業者に委託するのが基本です。
委託先さえ決まれば、会社がやることは意外と少なく済みます。
この記事を読めば、初めてでも迷わず進められます。

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この記事は以下の専門家によって執筆・監修されています。

執筆・編集責任:吉田克彦(合同会社ぜんと代表 公認心理師、精神保健福祉士)

  • 不登校の家族支援25年以上、3000家庭以上の支援実績
  • スクールカウンセラー歴20年以上。小学校、中学校、高校(全日制、定時制、通信制)全ての校種で勤務経験あり。
    →詳しいプロフィールはこちら

医学監修:友常祐介(社会医学・産業衛生指導医、労働衛生コンサルタント、医学博士)

外部の委託先を探して、見積もりをとる

最初にやるのは、ストレスチェックを委託できる業者を探すことです。厚生労働省の50人未満向け実施マニュアルでも、小さな会社は外部に委託することが推奨されています。社長に話を持っていくにも、業者の見積もりがなければ「いくらかかるのか」「何をどこまでやってくれるのか」が説明できません。まず材料を揃えるところからです。

委託先は「50人未満に対応しているか」で絞る

「ストレスチェック 外部委託」「ストレスチェック 比較」で検索すると、15社比較・20社比較といった記事がたくさん出てきます。ただ、ああいった比較記事で紹介されているのは、従業員数百人〜数千人規模の会社をメインターゲットにしたサービスがほとんどです。

50人未満の会社は、産業医がいない、衛生委員会がない、労基署への報告も不要と、前提がまるで違います。大規模向けのサービスに申し込んでも、使わない機能にお金を払うことになりかねません。

探すときは「50人未満対応」「小規模事業場」を条件に入れてください。もう一つ手っ取り早い方法があって、毎年の健康診断を委託している健診機関に「ストレスチェックもやってますか?」と聞いてみることです。すでに取引のある健診機関がストレスチェックも扱っていれば、契約の手間が減りますし、健康診断とセットで実施できる場合もあります。

見積もりでは「料金に何が含まれているか」を確認する

業者から見積もりや提案をもらったら、以下の点を確認してください。

まず、実施者(医師や保健師)は業者側にいるかどうか。ストレスチェックは医師か保健師が「実施者」として関わる必要がありますが、外部委託すれば業者側の医師・保健師がその役割を担うので、自分で探す必要はありません。

次に、受検方法。ウェブで回答するのか、紙の調査票を配るのか。従業員一人ひとりにメールアドレスやPCがない会社なら、紙の選択肢があるかどうかは大事です。

それから、高ストレス者が出たときの面接指導はどうなるか。面接指導まで料金に含まれているのか、別料金なのか。ここは業者によって差が大きいです。

最後に、料金は全部込みなのか、オプション別なのか。「1人○円」と書いてあっても、集団分析や面接指導は別料金という業者もあります。最終的にいくらかかるのかを、オプション込みの総額で確認してください。

厚生労働省のマニュアルには「サービス内容事前説明書」という書式が載っています。業者に「この書式に記入して出してください」と依頼すれば、確認すべき項目を漏れなくチェックできます。マニュアルは厚生労働省のサイトからダウンロードできます。

なお、高ストレス者の面接指導には「地域産業保健センター」を使うという選択肢もあります。全国に約350か所あり、50人未満の会社なら医師の面接指導を無料で受けられます。業者のオプション料金と比べて、どちらを使うか決める材料になります。

見積もりを持って社長の了解をもらう

業者の見積もりと提案が手元に揃ったら、社長に持っていきます。
社長が「よし、やろう」と言ってくれれば、ストレスチェックの実施はほぼ軌道に乗ります。

実は、社長がこの決定をして従業員に伝えること自体が、法律が求めている手続き(マニュアルでは、事業者による方針の表明とよびます)になるのです。

社長に伝えるのは「予算」「会社がすること」「個人情報の扱い方」の3点

費用は見積もりをそのまま見せれば済みます。

「会社がすること」は3つだけです。

社内で担当者を1人決めること。
従業員に「ストレスチェックをやります」と案内すること。
受検する時間を業務中に確保すること。

調査票の配布や回収、結果の通知、高ストレス者への対応は基本的に業者が進めます。
(提供会社やサービスによっては配布や回収などを会社でやる場合もあります)

「従業員の結果が社長に伝わるのか」は、小さい会社ほど気になりますよね。
個人の結果は業者から本人に直接届きます。

本人が「会社に見せてもいい」と同意しない限り、社長や上司に伝わることはありません。
この仕組みは法律で定められています。

社内ルールと従業員への意見聴取は、テンプレートとミーティングで片づく

「社内ルールの作成」と聞くと面倒そうですが、ゼロから作る必要はありません。
厚生労働省のマニュアルに社内ルールのモデル例と実施規程のテンプレートが載っています。
自社の名前と担当者名を書き換えれば、そのまま使えます。
業者側がテンプレートを用意してくれることもあります。

もう一つ、「従業員の意見を聴く」というステップがあります。
マニュアルに従えば普段の朝礼やミーティングの場で「ストレスチェックをこういう形で始めます。何か意見はありますか」と声をかけて質問などがあれば応えれば大丈夫です。

編集長:吉田

その場では質問が出ない場合がほとんどです。
その際には「いつでも質問してください。納得してから受検すればいいですよ」などと伝えると、従業員も安心します。
また、質問に答えられない場合は、業者に確認して後で応えるようにしましょう。

契約して、従業員に案内する

社長の承認が下りたら、業者と契約を結んで、従業員にストレスチェックの実施を案内します。

担当者を1人決めて、業者と契約する

社内の実務担当者は、業者との連絡窓口になる人です。
従業員10人以上の事業場で衛生推進者(または安全衛生推進者)がいれば、その人が適任です。
10人未満の場合は社長自身が担当することもあります。

担当者が個人のストレスチェック結果を見ることはありません。
結果は業者側で完結します。

担当者の役割は、業者との日程調整や社内への連絡といった事務的なやりとりだけです。

従業員への案内は「いつ・どう受けるか・結果は会社に伝わらないこと」を伝える

従業員に伝えるのは、いつ実施するか、受検の方法(ウェブか紙か)、結果は業者から本人に直接届くので会社には伝わらないこと、この3点です。

「受けたくない」という従業員がいた場合、受検を強制する必要はありません。
業務命令のように強制する形はNGです。

実施から結果通知まで──会社側の作業はほぼゼロ

外部委託の場合、ストレスチェックの実施まで進めば、あとは業者が進めてくれます。
会社側がやることはほとんどありません。

業者が調査票を配って、回収して、結果を本人に届ける

ストレスチェックの受検は業務時間中に行うのが基本です。
管理者は、従業員が業務時間中に受検できるよう配慮してください。

受検していない人への勧奨(声掛け)も、業者が対応します。

結果は、業者から本人に直接届きます。
メールで届く場合もあれば、封書で届く場合もあります。

いずれにしても、他の人に中身が分からない形で届きます。会社は個人の結果を受け取りません。

高ストレス者が出たら、面接指導の申出を待つ

ストレスチェックの判定基準は、全体の約1割が「高ストレス」に該当します。
単純計算であれば、10人受検すれば1人は高ストレスになる計算です。
高ストレスの結果が出ること自体は、想定内のことです。

高ストレスと判定された従業員には、医師の面接指導の案内が届きます。
面接指導を受けるかどうかは本人が決めます。

本人が「医師の面接指導を受けたい」と申出があった時点で、会社に情報が共有されます。
医師の面接指導を希望しない限り、高ストレス者であっても会社は把握できません。

本人から「面接指導を受けたい」と申出があった場合、会社はあらかじめ決めておいた依頼先(業者のオプション、または地域産業保健センター)に連絡して、日程を調整します。
面接指導は業務時間中に受けられるようにしてください。

面接指導が終わると、医師から会社に意見書が届きます。
必要があれば、その意見をもとに労働時間の調整などの対応をとります。

面接指導を受けなかった高ストレス者が放置されないように、相談窓口を案内しておくことも大事です。
厚生労働省が運営する「こころの耳」では、電話・メール・SNSで無料相談ができます。業者が相談サービスを提供していれば、それも案内してください。

編集長:吉田

弊社のストレスチェックサービスでは、高ストレス者の方に公認心理師との面接をすすめています。
医師の面接指導と違い、公認心理師との面接は会社への報告義務がありません。そのため、会社に知られずに相談することができます。
公認心理師との面談の上で、「やっぱり医師との面談をしたい」と希望される方もいらっしゃいます。

保管するものと、翌年以降のこと

ストレスチェックが終わったあとに会社がやることについて紹介しましょう。

個人結果の保管は業者に任せる。会社が保管するのは2つだけ

個人のストレスチェック結果は、本人の同意なく会社が受け取ることはできません。
保管も業者側で行われます。
会社が保管するのは、集団分析の結果と、面接指導を実施した場合の医師の意見書の2つです。
保管期間はどちらも5年間です。

集団分析は受検者が10人以上いないとできない

集団分析とは、個人が特定されない形で、職場全体のストレスの傾向を見るものです。
「うちの会社は仕事の量的な負担が高め」「周囲のサポートが少ないと感じている人が多い」といった、職場単位の特徴が分かります。

ただし、受検者が10人を下回る場合は、個人が特定されるおそれがあるため、原則として集団分析の結果を会社が受け取ることはできません。8人の事業場で全員が受検しても、集団分析はできないということです。

集団分析ができた場合は、その結果をもとに職場環境の改善への活用が求められます(努力義務)。
具体的な活用法は、業者からアドバイスがもらえますし、マニュアルにも取組事例が載っています。

翌年以降は同じサイクルを回すだけ

初年度がいちばん手間がかかります。
業者を探して、社長に承認をもらって、社内ルールをつくって、従業員に案内して、と一つずつ進めなければなりません。

でも2年目以降は、特に問題がなければ、同じ業者と同じ流れで回すだけです。
従業員への案内も、前年の文面を使い回せます。
初年度さえ乗り切れば、あとは定期健康診断と同じ年間行事の一つになります。

まとめ

50人未満の会社がストレスチェックを初めて実施するときの流れはを紹介しました。

会社側がやることは、担当者を決めること、従業員に案内すること、受検の時間を確保することです。
あとは外部委託すれば業者が進めます。
初年度は準備に少し手間がかかりますが、早めに動き出せば安心です。

わからないことがあれば、まずはぜんとの無料相談にお申し込みください。
御社に合ったストレスチェックの方法をご提案します(押し売りはしません)。

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