「ストレスチェック、うちもやらなきゃいけないらしい。調べておいて」──社長や上司にそう言われて、このページにたどり着いた方は多いのではないでしょうか。

令和7年(2025年)5月の法改正で、従業員50人未満の会社にもストレスチェックの実施が義務化されました。施行の期限は、令和10年(2028年)5月までです。

「でも、産業医とか衛生委員会とか必要なの?」「何をどこまでやればいいの?」と不安になるかもしれませんが、50人未満の会社は50人以上の会社に比べて、やらなくていいことがかなり多いです。

この記事でお伝えしたいこと

吉田 克彦

吉田 克彦

公認心理師
不登校の家族支援25年超

ストレスチェック制度は2015年に従業員50人以上の事業場での実施が義務化されました。
そして、2028年までには50人未満の事業場でも義務化されます。
しかし、すでに義務化されている50人以上の事業場に比べ、今回義務化される50人未満の事業場はさまざまな違いがあり、取り組みやすいように工夫されています。
この記事では、具体的に50人未満の事業場のストレスチェックについてみていきます

▶ 50人未満の事業場へのストレスチェックはぜんとにおまかせ!(近日公開)

この記事は以下の専門家によって執筆・監修されています。

執筆・編集責任:吉田克彦(合同会社ぜんと代表 公認心理師、精神保健福祉士)

  • 不登校の家族支援25年以上、3000家庭以上の支援実績
  • スクールカウンセラー歴20年以上。小学校、中学校、高校(全日制、定時制、通信制)全ての校種で勤務経験あり。
    →詳しいプロフィールはこちら

医学監修:友常祐介(社会医学・産業衛生指導医、労働衛生コンサルタント、医学博士)

義務化の期限は令和10年(2028年)5月まで

令和7年の法改正で50人未満も「努力義務」から「義務」へ

令和7年(2025年)5月14日に改正労働安全衛生法が公布されました。
これにより、50人未満の事業場にもストレスチェックの実施が義務づけられています。

施行日は「公布の日から3年以内に政令で定める日」とされています。
遅くとも令和10年(2028年)5月までにはスタートします。
政令の内容次第では、前倒しになる可能性もあります。

予算などを準備したり、外部委託への手続きなどである程度の時間がかかります。
会社ごとの繁忙期もあるため、余裕のある時に早めの対応することをお勧めします。

50人以上の事業場では10年前から義務化されている

ストレスチェック制度は、平成27年(2015年)から従業員50人以上の事業場ですでに義務化されていました。まったく新しい制度ではなく、全国の会社で10年間使われてきた仕組みです。

厚生労働省は今回の義務化にあわせて、50人未満の会社向けの実施マニュアルを公表しています。やり方はこのマニュアルにまとまっているので、手探りで進める必要はありません。

厚生労働省の小規模事業者用実施マニュアルはこちらからダウンロードできます。

ちなみに「こんな小さい会社でやっても意味あるの?」と感じている方もいると思います。その疑問については別の記事で解説しています。

健康診断の対象者と同じ従業員がストレスチェックの対象になる

「対象って全員?パートさんは?」と迷うかもしれません。
50人未満の会社ではそこまで複雑に考えなくて大丈夫です。

判定は「会社全体」ではなく「事業場(働く場所)」単位で考える

「50人未満」のカウントは、会社全体の従業員数ではなく「事業場」ごとに数えます。
事業場というのは、工場、事務所、店舗など、同じ場所で働いている人のまとまりのことです。

たとえば、本社に30人、支店に10人いる会社なら、本社と支店はそれぞれ別の事業場として扱います。

対象者は健康診断と同じ考え方

ストレスチェックの対象になる従業員は、毎年の定期健康診断の対象者と同じです。
正社員や、期間の定めなく雇用されている方はまず対象になります。

50人未満の事業場の場合は、深く考える必要はありません。
正社員とフルタイムに近いパートさんが対象、短時間のアルバイトは対象外と考えて、まず困ることはありません。
判断に迷うケースが出てきたら、委託先の業者に相談すれば教えてもらえます。

なお、派遣社員のストレスチェックは派遣元の会社に義務があるので、派遣先が対応する必要はありません。

50人未満の会社は産業医も衛生委員会も労基署への報告も不要

ネットで「ストレスチェック やり方」と調べると、「産業医」「衛生委員会」「労働基準監督署への報告」といった言葉がたくさん出てきます。
「そんなの、うちにはないけど…」と不安になった方もいるかもしれません。
50人未満の会社には、この3つとも不要です。

産業医の選任は不要──実施者は外部の医師・保健師が務める

50人未満の事業場には、そもそも産業医を選任する義務がありません。
ストレスチェックを実施するには「実施者」として医師や保健師が必要ですが、外部の業者に委託すれば、業者側の医師・保健師がその役割を担います。

社内で医師や保健師を探す必要はありません。

衛生委員会の設置は不要──朝礼やミーティングで従業員の意見を聴けばOK

50人以上の事業場では「衛生委員会」を設置して、ストレスチェックの実施方法などを話し合う必要があります。でも、50人未満ではこの義務がありません。

代わりに求められるのは、「従業員の意見を聴く機会を設けること」です。
普段の朝礼や業務ミーティングの場で「ストレスチェックをこういう形で始めます。
何か意見はありますか?」と聴く程度で大丈夫です。
わざわざ新しい会議体をつくる必要はありません。

労基署への報告は不要──報告書をつくる手間もかからない

ストレスチェックの実施結果を労働基準監督署に報告する義務は、50人以上の事業場にだけ課されています。50人未満の会社は報告不要です。
50人以上の会社が毎年やっている報告書の作成や提出の手間がありません。

産業医なし、衛生委員会なし、労基署への報告なし。
50人未満の会社がやることは、50人以上の会社よりずっと少ないです。

50人未満の会社はまず外部委託を検討するのがおすすめ

厚生労働省が出している50人未満向けの実施マニュアルには、「労働者数50人未満の事業場においては、原則として、ストレスチェックの実施を外部機関に委託することが推奨されます」と書かれています。

外部業者に委託すれば、従業員の回答や結果といった個人情報を社内で扱わなくて済みます。
小さな会社では「あの人、高ストレスだったらしいよ」みたいな話が漏れるリスクが高まります。
それを防ぐには外部に任せるのが一番確実です。

外部委託した場合、会社側がやることは意外と限られています。
社内で実務の担当者を1人決めて、委託先と契約する。
従業員にストレスチェックの実施を案内して、受検する時間を確保する。
あとは委託先が調査票の配布から結果の通知、高ストレス者への対応まで進めてくれます。

「具体的に何をどの順番でやるのか」を知りたい方はこちらの記事で全体の流れをまとめています。
外部に委託する場合と自分でやる場合の違い」を比較したい方はこちらの記事をご覧ください。

まとめ

50人未満の会社にもストレスチェックが義務化されました。施行の期限は、令和10年(2028年)5月まで。対象になる従業員は、定期健康診断の対象者と同じ考え方で判定します。

そして、50人未満の会社は産業医の選任も、衛生委員会の設置も、労基署への報告も不要です。50人以上の会社に比べて、やることはずっと少ないです。

まだ時間はありますが、施行直前に慌てるよりも、早めに動き出したほうが落ち着いて準備できます。10人前後の会社でも使える外部委託サービスがありますので、まずは情報収集から始めてみてください。

▶ 50人未満の事業場へのストレスチェックはぜんとにおまかせ!(近日公開)