当サイトが実施した、不登校の子どもを持つ保護者を対象のアンケートでも、当サイトで知りたい情報として「保護者が相談できる場所」という意見をとても多くいただきました。そこで、不登校に関する相談機関についてそれぞれの特徴と選び方について紹介いたします。

五つの相談機関を比較

ここでは、スクールカウンセリング、自治体の相談機関、民間の相談機関、病院の心理室、大学付属の相談センターの5つに分けて比較します。

この他にも、児童相談所、親の会、児童委員や民生委員、ヤングテレホンやいのちの電話といった電話相談など、さまざまな相談先があります。

それぞれの組織により、違います。ここには有料と書いてあっても無料で相談ができたり、逆に無料と書いてあっても有料だったり、土日祝日や夜間の相談が可能なスクールカウンセリングや自治体の相談機関など、それぞれの相談機関によって条件が変わります。実際に利用される場合には必ずご確認の上、ご自身の判断でお申し込みください。

スクールカウンセリング自治体の相談機関民間の相談機関病院の心理室大学付属の相談センター
適している人平日の昼間に時間がある
学校に対して意見が言いにくい
適応指導教室への通級や特別支援級への在籍変更を検討している。
学校に行きたくないが平日の昼間に時間がある。
仕事などの関係で、土日や夜間に相談したい。
自分に合ったカウンセラーを探したい。
オンラインやメールで相談したい。
薬の服用とカウンセリングを併用したい。
医師とカウンセラーが連携してほしい。
有名な大学教員に相談したい。
有料でいいがなるべく安価に済ませたい。
適していない人学校に相談に行くときに生徒など人の目が気になる。
平日の昼間に時間が取れない。
卒業後もカウンセリングを続けたい。
平日の昼間に時間が取れない。無料で相談したい。病院に行きたくない。
平日の昼間に時間が取れない。
すぐに相談したい。
身近で相談したい。
論文や学会発表などに自分の相談を利用してほしくない。
料金無料無料有料有料有料
土日祝や夜間の相談不可不可多くが可能多くが不可多くが不可
通いやすさ通いやすい通いやすい施設による施設による施設による
オンライン不可不可多くが可能多くが不可多くが不可
電話相談・メール相談施設による施設による多くが可能多くが不可多くが不可
予約の取りやすさ施設による取りにくい取りやすい取りにくい取りにくい
カウンセラー間の連携ほとんどないある施設による施設によるある
他職種との連携あるある施設によるある多くが不可
卒業後も継続可能か不可制約あり可能可能制約あり
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相談機関の特徴まとめ

スクールカウンセリング

まず、不登校の相談であれば学校のスクールカウンセラーに相談することをおすすめします。
カウンセリングだけでなく担任や管理職などと連携を出来ることが強みです。

スクールカウンセラーのメリット

学校の様子を把握している

「登校した日の子どもの様子を見てほしい」「友達から嫌がらせを受けているようだ。いじめかもしれない」といった、お子さんの学校内での様子や友人との関係、教員との関係などの情報も得やすくなります。

教職員とも連携できる

「毎日、欠席連絡の電話をするのが憂鬱」とか「給食費の支払いを止めたいけれど自分からは伝えにくい」などという時に、スクールカウンセラーに協力してもらうこともできます。これらは、学校にいるスクールカウンセラーだからできることです。

スクールカウンセラーのデメリット

相談可能な時間帯が限られる

公立学校のスクールカウンセラーは、基本的に平日の日中しか相談を受け付けません。また、毎日いるわけではないので週に1回あるいは数週間に一回しか勤務していないこともあります。したがって、「フルタイムで仕事をしていて平日の昼間に休めない」あるいは「スクールカウンセラーの勤務する曜日は、どうしても時間を作ることが難しい」という場合には、オススメしません。

学校に行かなければならない

スクールカウンセリングなので、メールや電話での相談も可能な場合もありますが、基本的には学校内の相談室へ行くことになります。子どもの同級生や教職員などに会いたくない場合は、難しいかもしれません。学校によっては、誰にも会わずに相談できるように配慮されている場合もあります。

卒業などで強制的に終結となる

カウンセラーが年度ごとに替わることがあり、子どもが学校を卒業したり、スクールカウンセラーの異動や退職があると相談が継続できないこともデメリットと言えます。

スクールカウンセリングについて、より詳しい内容はこちらのページをご覧ください。
【不登校の相談先①】スクールカウンセリング

自治体の相談機関

自治体の相談機関については、都道府県や政令指定都市が運営する児童相談所や教育総合相談センターなどの相談機関と、市区町村が運営する家庭児童相談室や教育相談センターなどの相談機関があります。名称は自治体によって異なり、愛称がついている場合もあります。ここでは、一般的な内容を取り扱います。詳細についてはお住まいの自治体のホームページや広報などをご確認ください。

自治体の相談機関のメリット

無料で相談できる

無料で相談ができます。また、発達検査などを実施できる機関がほとんどです。

他機関連携をしてもらいやすい

関係機関とのネットワークが充実しています。例えば、教育委員会や自治体の福祉部署などとの連携が可能です。適応指導教室への入室や特別支援級への転籍などを検討する場合は、まず市区町村が運営する相談機関に問い合わせると良いでしょう。

カウンセラーの人数が多く、引継ぎをしてもらいやすい

相談内容やお子さんの状況などによって最適なカウンセラーが担当になります。もし、相性が悪い場合やカウンセラーが退職をする場合でも複数のカウンセラーがいるのできちんと引継ぎが行われることが多いです。
子ども担当・親担当でそれぞれカウンセラーを充てる機関も多いです。その場合は、子どもを連れて相談に行く場合には子どものカウンセリングと親のカウンセリングを同時に行うことができます。

自治体の相談機関のデメリット

原則として平日の昼間しか相談できない

自治体が運営している相談機関なので、役所と同じく基本的には平日の日中のみ相談可能なため、フルタイムで仕事をされている場合などは利用しにくいでしょう(自治体によっては、土曜や夜間の相談も受け付ける場合がありますが、希望者が多く長く待たされることがあります)。

心理の専門家じゃない相談員が対応する場合もある

相談機関によっては公認心理師や臨床心理士といった心理の資格を持ったカウンセラーではなく、定年退職後の校長先生などが相談にあたることもあります。そのため、場合によっては「子どもの不登校について相談に行ったら、『甘やかしているだけだから、もっと厳しく子どもに接した方がいい』と説教されて帰ってきた」などという話も聞きます。電話などで申し込む段階で「カウンセラーさんは心理の資格のある人ですか?」と確認してみてもいいかもしれません。

民間の相談機関

個人や法人が開設している相談室のことを指します。私立なので、有料となります。

民間の相談機関のメリット

民間のメリットは、多様な相談機関があることです。

時間や場所、カウンセラーを自由に選べる

民間の相談機関は、多様なので自分に合った相談機関を選ぶことができます。

  • 平日は仕事だから土日に相談したい
  • 昼間は仕事だし、土日は家族で出かけるから夜間に相談したい
  • 読んだ本で紹介されていた○○というアプローチのカウンセリングを受けたい
  • 地方で近くに相談機関がないし、誰かに相談に行くのを見られるのもイヤなのでオンラインで相談したい
  • 同性のカウンセラーに相談したい
  • 子どもが卒業するので、卒業後も継続的に相談に乗ってほしい
  • 必要があれば子どもの発達検査もしてほしい       など

これらの希望にこたえる相談機関が必ずあります。お子さんの状況やご家庭の事情などを踏まえて、適切な相談室を見つけることができます。

民間の相談機関のデメリット

民間の相談機関のデメリットとしては、大きく2つあります。

①有料である

一番のデメリットは有料であることです。民間で安価あるいは無料という場合もありますが、おすすめしません。民間の相談機関としては何らかの収入が必要なので「安かろう悪かろう」になってしまいます。あるいは、無料で相談をさせておいて、新興宗教の勧誘などにつながることもあります。

例えば、都道府県の教育委員会が募集するスクールカウンセリングは、時給が5000円程度で募集しています。当然ながらカウンセリングの面接があってもなくても時給は発生します。同じだけの収入を民間の相談機関で可能にするなら、当然1時間の相談で最低でも5000円はかかります。他にも申し込みの対応や税金、空き時間があることも考えると、カウンセリング料金が2~3倍になる場合もあります。

大手のカウンセリング企業では、5000円以下で面接を行っているところもあります。しかし、カウンセラーと会社が半々で受け取ると考えるとカウンセラーの報酬は2000~3000円となります。その上、多くのカウンセラーが業務委託なので、相談室勤務の場合は通勤の交通費、オンラインの場合はパソコン機材やZoomの年会費なども自分で支払うことになります。質の良いカウンセラーが安価なサービスをすることは無理があります。

したがって、あまり安い相談機関はおすすめしません。
お子さんと家族の人生がかかる相談ですので、安さだけで飛びつくのは危険です。

②カウンセラーの力がまちまち

自治体の相談機関などの場合は、採用試験があるので資格や経験などの採用基準があります。そのため、採用された人は、基本的には何らかの資格か経験があることが大前提となります。

一方で、民間の相談機関の場合は、採用基準が緩い場合があります。そもそも採用基準などなく、無資格無経験の人が「カウンセラー」を名乗ってサービスを提供している場合があります。また、資格があると言っても実際には、カウンセリングのスキルがなくても通信教育などを受ければ取得できるペーパー資格の場合もあります。

デメリットの回避方法

まず申し込みの段階で、料金とプロフィールをしっかり確認しましょう。疑問があれば、申し込みの際に質問をしましょう。事前に質問をしても回答がない相談機関は避けるべきです。資格については、国家資格である公認心理師か、民間資格でも信頼性の高い臨床心理士のどちらかあるいは両方を持っているカウンセラーをおすすめします。

より詳しい内容はこちらの記事にまとめました。ご確認ください。

【不登校の相談先③】民間のカウンセリングルーム

病院の心理相談

病院にも心理相談室が設けられているところがあります。

病院の心理相談のメリット

病院の心理相談のメリットは何と言っても、医師との連携ができることでしょう。薬物療法の状況を見ながら、心理療法をすすめるため、それぞれのより良い効果が期待できます。

病院の心理相談のデメリット

病院の心理相談は少なく人気も高いため、申し込みから実際の相談までかなりの時間がかかることがあります。多くの場合は、医師の受診をしてから相談が開始されます。児童精神科などは申込から初診までにかなり時間がかかり、1年以上待つ場合もあります。そのため、申込までに時間がかかってしまいます。

大学のカウンセリングセンター

公認心理士や臨床心理士を養成する大学院では、大学院生が実習を行うためのカウンセリングセンターがあります。
多くの場合、大学教員が指導して、大学院生が実習として面接を行います。病気の時に大学病院を選ぶイメージが一番わかりやすいように思います。

大学のカウンセリングセンターのメリット

プロのカウンセラーを養成するための施設ですので、大学教員が指導します。また、ケースカンファなども繰り返し実施するので、難しい事例でも劇的に改善することがあります。また他の民間の相談機関よりも安価に利用できます。

不登校問題について研究し関する本や論文を執筆している著名なカウンセラーが、安価でカウンセリングをしてくれることもあります。
(そのために飛行機や新幹線でカウンセリングを受けに来るご家族もいるほどです)

なお、ここで紹介するのは一般の方の相談も受け付けるカウンセリングセンターに関する紹介です。健康管理室や学生相談室などで大学・大学院の在学生や職員向けに行っているカウンセリングとは異なります。

大学のカウンセリングセンターのデメリット

①数が少ない

公認心理師・臨床心理士を養成する大学院に設置されていますので、全国で約200ほどになります。さらに、当然のことながら関東・関西を中心とした大都市に集中しています。そのため、お住まいの地域によっては近くに大学の相談機関がない場合があります。

②見習いカウンセラーが担当することが多い

大学のカウンセリングセンターは公認心理師や臨床心理士になるための実習施設としての役割が大きいです。そのため、公認心理師や臨床心理士を目指している大学院生がカウンセリングを担当する場合が多いため、経験不足・知識不足のことがあります。また、心理系の大学院がある大学にしかないので、全国的にも少ないです。大学教員が指導しますが、人気の教員の場合は申込から初回面接までかなり待たされることもあります。

ご家庭の状況と相談機関の特徴を踏まえて自由に選ぶ

以上、スクールカウンセリング、自治体の相談機関、民間の相談機関、病院の相談室、大学のカウンセリングセンターについて、それぞれの特徴を見てきました。

「忙しいから夜、相談したい」
「なるべく近場で安く相談したい」
「ある程度お金がかかってもいいから有名なカウンセラーに相談したい」
「今週中には相談したい」
・・・など、それぞれの事情があるでしょう。すべての条件がクリアーできないかもしれませんが、優先順位を決めてふさわしいところを選んでください。

また、もし一度選んだところでも、実際に相談して合わない場合は、遠慮せずに他の相談機関に行くことをおすすめします。

あなた自身とお子さん、そしてご家族の人生がかかっている相談です。安易に妥協をせずにより良い相談機関・相談相手を見つけてください。
わからないことや迷うことがありましたら、遠慮なくご質問ください。できる限りご回答をいたします。