「学校行きたくない…」
小学校低学年のお子さんが、ある朝突然そう言い出したら、親としてどうすればいいのでしょうか。
朝になると「お腹が痛い」「頭が痛い」と訴えたり、何も言わずに泣き出したり。そんなお子さんの姿を見て、途方に暮れる保護者の方は少なくありません。
この時期のお子さんは、自分の気持ちをうまく言葉にできません。「どうして行きたくないの?」と聞いても、本人にも説明できないことがほとんどです。
だからといって、無理に学校に行かせたり、原因を問い詰めたりすると、お子さんを追い詰めてしまいます。
この記事では、25年以上にわたり不登校の家族支援に携わってきた公認心理師が、小学校低学年の不登校について、原因から具体的な対応、よくある疑問への回答まで徹底解説します。
この記事でお伝えしたいこと
※当サイトでは小学1年生・2年生・3年生を「低学年」、4〜6年生を「高学年」として解説しています。
お子さんの年齢別の詳細は以下の記事をご覧ください。
▶【小学校高学年の不登校】原因・対応・進路準備を専門家が徹底解説
▶【中学生】学校に行きたくない!原因がわからない理由と解決策
▶【高校生】「学校に行きたくないけど、特に理由がない」要因と対応策を解説
執筆・編集責任:吉田克彦(合同会社ぜんと代表 公認心理師、精神保健福祉士)
- 不登校の家族支援25年以上、3000家庭以上の支援実績
- スクールカウンセラー歴20年以上。小学校、中学校、高校(全日制、定時制、通信制)全ての校種で勤務経験あり。
→詳しいプロフィールはこちら
小学校低学年の不登校の現状
低学年(1〜3年生)の不登校児童数の推移
小学校低学年の不登校は、この数年で急増しています。

文部科学省の調査によると、小学校低学年の不登校児童数は2年間で約2倍に増加しています。子どもの人数は減っているにもかかわらず、不登校の数は増え続けているのです。
「まさかうちの子が」は誰にでも起こりうる
「まさか、うちの子が不登校になるなんて」
多くの保護者の方が、そう感じています。しかし、データが示す通り、不登校は誰にでも起こりうることです。
不登校になることは「甘え」ではありません。「育て方が悪かった」わけでもありません。さまざまな要因が重なり合って起こるものであり、どの家庭にも起こりうることなのです。
低学年の不登校が難しい理由
小学校低学年の不登校には、高学年や中学生とは異なる難しさがあります。まずは、その特徴を理解しておきましょう。
自分の気持ちを言葉にできない
6〜9歳頃の子どもは、自分の気持ちを言葉で表現する力がまだ発達途上です。
「なんとなくイヤ」「モヤモヤする」という感覚はあっても、それを「友達に〇〇と言われて悲しかった」「授業がわからなくて不安」といった具体的な言葉にすることができません。
そのため、「どうして学校に行きたくないの?」と聞いても、「わからない」としか答えられないことがほとんどです。
理由がわからない・本人にもわからない
低学年の不登校では、「理由がわからない」ケースがとても多いです。
これは本人が隠しているのではなく、本当にわからないのです。複数の小さなストレスが積み重なって限界を超えた場合、本人にも「これが原因」と特定することはできません。
また、この年齢の子どもは大人の言葉に誘導されやすく、「〇〇くんに何かされた?」と聞くと、実際にはなかったことでも「うん」と答えてしまうことがあります。
理由がわからない不登校への対応については、以下の記事でくわしく解説しています。
保護者の影響を強く受ける年齢
低学年の子どもは、保護者の感情や態度に強く影響を受けます。
中学生や高校生であれば、親がイライラしていても「自分とは関係ない」と距離を取ることができます。しかし、低学年の子どもは、親の不安や焦りをそのまま受け取ってしまいます。
保護者の方が動揺していると、子どもはさらに不安になります。逆に、保護者の方が落ち着いていると、子どもも安心できます。
一人で留守番ができない
低学年の子どもは、学校を休んでも一人で留守番させるわけにはいきません。
共働き家庭やひとり親家庭では、仕事を休んで付き添う必要が出てきます。これは、保護者にとって大きな負担となります。
仕事との両立については、この記事の後半で詳しく解説します。
小学校低学年の不登校の原因
低学年の不登校は、一つの原因だけでなく、複数の要因が絡み合って起こることがほとんどです。ここでは、主な原因を解説します。
母子分離不安
低学年の不登校で最も多い原因の一つが「母子分離不安」です。
母子分離不安とは
母子分離不安とは、お母さん(主な養育者)と離れることに強い不安を感じる状態です。
「お母さんがいないと不安」「お母さんと離れたくない」という気持ちが強く、学校に行くこと=お母さんと離れることが怖くなってしまいます。
母子分離不安について、以下の記事でくわしく解説しています。
低学年に多い理由
母子分離不安は、特に小学校入学前後の子どもに多く見られます。
幼稚園や保育園では、先生が手厚くフォローしてくれました。しかし、小学校では「自分でやる」ことが求められます。この環境の変化に適応できず、不安が高まることがあります。
また、弟や妹が生まれた、引っ越しをした、家族が病気になったなど、家庭環境の変化がきっかけになることもあります。
母子分離不安のサイン
お子さんに以下のようなサインがあれば、母子分離不安の可能性があります。
- お母さんが出かけようとすると泣いて止める
- 学校に行く時間になると「お腹が痛い」と訴える
- 「お母さんに何かあったらどうしよう」と心配する
- 一人で寝られない、お母さんのそばにいたがる
母子分離不安のセルフチェックについては、以下の記事をご覧ください。
学校生活への適応の難しさ
小学校に入学すると、幼稚園・保育園とは大きく環境が変わります。この変化に適応することが難しい子どももいます。
集団行動が苦手
小学校では、みんなで同じことを同じペースでやることが求められます。
「みんなと一緒に行動する」「先生の指示に従う」「順番を待つ」といったことが苦手な子どもにとって、学校生活はストレスの連続です。
45分間座っていられない
小学校の授業は1コマ45分。低学年の子どもにとって、45分間じっと座っていることは簡単ではありません。
体を動かしたい、立ち歩きたいという衝動を抑えることができず、先生に注意される。それが繰り返されると、学校が嫌になってしまうことがあります。
給食が食べられない
給食が苦手で学校に行きたくなくなる子どもも少なくありません。
「嫌いなものを食べなければならない」「時間内に食べ終わらなければならない」「残すと先生に注意される」といったプレッシャーが、給食の時間を苦痛にしています。
小学校入学時の適応の難しさについては、以下の記事でくわしく解説しています。
学業面の要因
授業についていけない
小学校に入ると、ひらがな、カタカナ、計算など、少しずつ勉強が始まります。
塾や幼児教室に通っていた子は、すでに学習内容を理解しています。一方、小学校で初めて勉強する子は、「みんなができるのに自分だけできない」と感じてショックを受けることがあります。
「みんなできるのに自分だけできない」という劣等感
「周りの子はできているのに、自分だけできない」
この劣等感は、低学年の子どもにとって大きなストレスです。
自信を失い、授業を受けること自体が苦痛になり、学校に行きたくなくなることがあります。
人間関係の要因
友達とのトラブル
低学年の子どもは、自分の気持ちに正直です。
相手の気持ちを考えて発言を控える、ということがまだできません。
そのため、思ったことをストレートに言ってしまったり、「貸して」と言わずにおもちゃを取ってしまったりして、トラブルになることがあります。
いじめ・仲間外れ
実は、いじめの認知件数は小学校低学年が最も多いというデータがあります。

中学生になると、苦手な人とは距離を取るといった対処ができるようになります。しかし、低学年ではそうした対処が難しく、トラブルがいじめに発展しやすいのです。
いじめと不登校の関係については、以下の記事でくわしく解説しています。
先生が怖い
低学年の子どもにとって、先生はとても大きな存在です。
先生に大きな声で叱られた経験がトラウマになり、「また怒られるかもしれない」という恐怖から学校に行けなくなることがあります。
担任との関係が原因の不登校については、以下の記事で解説しています。
家庭環境の要因
家庭内の変化(転居・離婚・きょうだいの誕生など)
引っ越しによる転校、両親の離婚、弟や妹の誕生、祖父母との同居や死別など、家庭環境の変化は子どもに大きな影響を与えます。
特に低学年の子どもは、変化に対する適応力がまだ十分ではありません。大人にとっては「些細なこと」でも、子どもにとっては大きなストレスになることがあります。
保護者の不安やストレスの影響
保護者の方が強い不安やストレスを抱えていると、それが子どもに伝わります。
仕事のストレス、夫婦関係の問題、経済的な不安など、保護者自身が抱える問題が、知らず知らずのうちに子どもに影響を与えていることがあります。
発達特性が背景にある場合
発達特性と不登校の関係
ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如・多動症)、LD(学習障害)などの発達特性がある子どもは、学校生活で困難を感じやすい傾向があります。
- 集団行動が苦手
- 感覚過敏で教室の音や光がつらい
- じっと座っていることが難しい
- 読み書きや計算につまずく
こうした困難が積み重なり、学校に行くことがつらくなることがあります。
低学年で気づかれにくい理由
発達特性は、低学年のうちは「少し個性的な子」として見過ごされることがあります。
学年が上がり、学習内容や人間関係が複雑になるにつれて、困難さが目立つようになります。「なんとなく学校がつらい」と感じていた子どもが、実は発達特性を持っていたというケースは少なくありません。
発達特性と不登校の関係については、以下の記事で詳しく解説しています。
▶【スクールカウンセラーが解説】ADHD(注意欠陥多動症)と不登校の関係
▶【不登校と発達障害】ASD(自閉スペクトラム症)について特徴や改善法などを徹底解説
不登校のサイン、見逃さないで
お子さんが不登校になりかけているとき、いくつかのサインを見せることがあります。早めに気づいて対応することが大切です。
体の症状(腹痛・頭痛・発熱など)
「お腹が痛い」「頭が痛い」「気持ち悪い」
朝になると体の不調を訴える場合、それは心のSOSかもしれません。学校に行かなくてよい日(休日や長期休み)には症状が出ないことが多いのが特徴です。
ただし、本当に体の病気が隠れている可能性もあります。まずは小児科を受診し、体に問題がないか確認しましょう。
行動の変化(イライラ・泣く・甘える)
- 些細なことでイライラしたり、怒りっぽくなる
- 急に泣き出す、情緒が不安定になる
- 以前より甘えてくる、そばにいたがる
- 赤ちゃん返りのような行動が見られる
これらは、子どもが何らかのストレスを抱えているサインです。
生活リズムの乱れ(食欲・睡眠)
- 食欲がなくなる、好きなものも食べない
- 夜なかなか眠れない、朝起きられない
- 夜中に目が覚める、悪夢を見る
生活リズムの乱れは、心身の不調のサインです。早めに気づいて対応しましょう。
不登校になったときに保護者がまずやるべきこと
お子さんが「学校に行きたくない」と言い始めたとき、保護者の方は戸惑いを感じることでしょう。しかし、この時期の対応が、その後の回復に大きく影響します。
子どもの安心・安全を最優先にする
不登校の初期に最も大切なのは、子どもが「安心・安全」だと感じられる環境を作ることです。
学校に行けないことで、子どもは「自分はダメだ」「お母さんに申し訳ない」と自分を責めています。まずは、その苦しさを受け止め、「あなたは大切な存在だ」と伝えてください。
「学校に行かなくても大丈夫」と伝える
「学校に行かなくても、あなたのことが大好きだよ」 「今は休んでいいんだよ」
こうした言葉は、子どもの心を軽くします。「学校に行くこと」よりも「子どもの心と体の健康」を優先する姿勢を見せることで、子どもは安心できます。
原因を無理に聞き出そうとしない
「なぜ学校に行きたくないの?」「何かあったの?」と繰り返し聞くことは避けましょう。
低学年の子どもは、理由を言葉で説明することができません。問い詰められると、子どもは追い詰められた気持ちになり、かえって心を閉ざしてしまいます。
スキンシップを増やし、安心感を与える
低学年の子どもには、言葉よりもスキンシップが効果的です。
抱きしめる、手をつなぐ、頭をなでる、膝の上に座らせる。こうしたスキンシップは、子どもに「守られている」という安心感を与えます。
家庭を安心できる居場所にする
学校に行けなくなった子どもにとって、家庭が唯一の居場所になります。
家の中では、学校のことを話題にしすぎず、子どもがリラックスできる雰囲気を作りましょう。一緒にテレビを見たり、ゲームをしたり、何気ない時間を過ごすことが、子どもの心の回復につながります。
初期対応についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
保護者がやってはいけないNG対応
良かれと思ってした対応が、逆効果になることがあります。避けたい対応を知っておきましょう。
無理に登校させようとする
「とりあえず行ってみよう」「行けば何とかなる」と無理に登校させることは、子どもをさらに追い詰めます。
泣いている子どもを引きずって学校に連れて行く、玄関で先生に引き渡す、といった対応は、子どもの心に深い傷を残します。
原因を問い詰める
「何があったの?」「誰かに何かされたの?」と繰り返し聞くことは、子どもにとって尋問のように感じられます。
子ども自身も理由がわからないことが多く、「答えられない自分はダメだ」とさらに自分を責めてしまいます。
他の子どもやきょうだいと比較する
「〇〇ちゃんは毎日学校に行っているのに」「お兄ちゃんは大丈夫だったのに」といった比較は、子どもの自己肯定感を大きく傷つけます。
きょうだい間の比較は特に避けましょう。「自分は劣っている」という思いが、回復を遅らせる原因になります。
「甘えている」「怠けている」と決めつける
「本当は行けるのに甘えているだけ」「怠けているだけでしょ」という言葉は、子どもの心を深く傷つけます。
不登校の子どもは、「行きたいのに行けない」という苦しみを抱えています。怠けではなく、心や体がSOSを出している状態だと理解してください。
先回りして解決しようとする
「先生に言ってあげる」「相手の親に話をつける」と、子どもの了解を得ずに動くことは避けましょう。
親が先回りして解決しようとすると、子どもは「自分の気持ちを無視された」と感じたり、状況がさらに悪化したりすることがあります。
思い込みで原因を決めつける
子どもが理由を話さないと、保護者は自分で原因を推測してしまいがちです。しかし、その推測が正しいとは限りません。
例えば、「以前トラブルがあったBさんが何かしたに違いない」と決めつけ、学校に訴えたところ、実際にはBさんは何もしていなかった、というケースがあります。
思い込みで行動すると、問題が解決するどころか、新たな問題を作ってしまうことがあります。
学校との連携の進め方
不登校が続く場合、学校との連携は欠かせません。ただし、子どもの状態を最優先に考えながら進めましょう。
担任への連絡と情報共有
まずは担任の先生に現状を伝え、情報を共有しましょう。
毎朝の欠席連絡が負担になる場合は、「しばらく休みます。状況が変わったらこちらから連絡します」と伝えて、毎日の連絡を省略させてもらうこともできます。
欠席連絡の負担軽減については、以下の記事で解説しています。
スクールカウンセラーの活用
学校に配置されているスクールカウンセラー(SC)は、不登校の相談に対応できる専門家です。
保護者だけで相談することも可能です。子どもの状況を伝え、家庭での対応についてアドバイスをもらいましょう。
スクールカウンセラーの活用法については、以下の記事で詳しく解説しています。
出席扱いになる条件の確認
学校に行けなくても、一定の条件を満たせば「出席扱い」になる場合があります。
出席扱いの条件は学校や自治体によって異なります。担任や教頭先生に確認しておきましょう。
無理な登校刺激を控えてもらう
「明日は来られる?」「みんな待ってるよ」といった声かけは、善意からのものですが、子どもにとってはプレッシャーになることがあります。
学校側と「今は無理に登校を促さない」という方針を共有しておくことが大切です。
専門家への相談先と選び方
不登校の対応は、保護者だけで抱え込む必要はありません。専門家の力を借りましょう。
学校内の相談先(担任・SC・SSW)
まずは学校内の相談先を活用しましょう。
担任の先生、スクールカウンセラー(SC)、スクールソーシャルワーカー(SSW)は、学校の状況を把握しているため、具体的な対応を一緒に考えてくれます。
公的な相談機関(教育支援センターなど)
教育支援センター(適応指導教室)は、不登校の子どもが学校以外で過ごせる場所です。
そのほか、教育委員会の相談窓口、児童相談所、子ども家庭支援センターなども相談先として活用できます。
相談先の選び方については、以下の記事で詳しく解説しています。
医療機関を受診する目安
以下のような場合は、小児科や児童精神科の受診を検討しましょう。
- 腹痛や頭痛など、体の症状が続いている
- 食欲がない、眠れないなどの状態が2週間以上続く
- 「死にたい」「消えてしまいたい」といった言葉がある
- 日常生活に大きな支障が出ている
まずはかかりつけの小児科に相談し、必要に応じて専門医を紹介してもらいましょう。
医療機関の受診については、以下の記事で詳しく解説しています。
民間の支援機関・カウンセリング
民間のカウンセリングルームや不登校支援団体も選択肢の一つです。
公的な機関は予約が取りにくいことがありますが、民間の機関は比較的柔軟に対応してもらえることが多いです。
<ここにぜんとカウンセリングへの誘導を挿入>
回復段階に応じた対応
不登校からの回復には、いくつかの段階があります。それぞれの段階に合った対応をすることで、子どもの回復をサポートできます。
初期(不登校直後):とにかく休息と安心を
不登校になった直後は、心身ともに疲弊している状態です。
この時期は、とにかく休息を優先しましょう。「何もしなくていい」「ゆっくり休んでいい」と伝え、スキンシップを増やし、安心感を与えてください。
中期(安定期):親子の時間を大切に
十分に休息が取れると、子どもは少しずつ落ち着きを取り戻します。
この時期は、親子で過ごす時間を大切にしましょう。一緒に料理をする、公園に行く、ゲームをするなど、楽しい体験を共有することで、子どもの心のエネルギーが蓄えられていきます。
後期(回復期):少しずつ外の世界へ
エネルギーが蓄えられてくると、子どもは自分から「外に出てみたい」「友達に会いたい」と言い始めることがあります。
この時期は、子どもの「やりたい」を大切にしましょう。無理のない範囲で、少しずつ活動の幅を広げていきます。
仕事と子どもの付き添いの両立
低学年の子どもは、一人で留守番ができません。
不登校になると、保護者の仕事との両立が大きな課題になります。
子の看護休暇制度の活用
育児・介護休業法に基づく「子の看護休暇」を活用できる場合があります。
子どもが病気やケガの場合に取得できる休暇ですが、不登校で体調を崩している場合にも適用されることがあります。医師の診断書があると申請しやすくなります。
職場の就業規則や人事部門に確認してみましょう。
在宅勤務・時短勤務の相談
可能であれば、在宅勤務や時短勤務を職場に相談してみましょう。
「子どもが不登校で…」と言いにくい場合は、「家庭の事情で」と伝えるだけでも構いません。
祖父母やファミリーサポートの活用
祖父母が近くに住んでいる場合は、協力をお願いすることも選択肢です。
また、自治体のファミリーサポート制度を利用すれば、地域の協力者に子どもの見守りをお願いすることもできます。
一人で抱え込まないために
仕事と子どもの付き添いの両立は、本当に大変です。完璧にこなそうとせず、使える制度やサポートは遠慮なく活用しましょう。
仕事との両立については、以下の記事で詳しく解説しています。
学習の遅れへの対応
「学校に行っていないと勉強が遅れてしまう」と心配になる保護者の方は多いでしょう。学習への対応について解説します。
低学年のうちは焦らなくて大丈夫
低学年で学ぶ内容は、後からいくらでも取り戻せます。
小学1〜3年生の学習内容は基礎的なものが中心です。
心が安定してから学習を再開すれば、十分に追いつくことができます。
今は、勉強よりも心の安定を優先しましょう。
遊びの中で学ぶ
低学年の子どもにとって、遊びは学びです。
お買い物ごっこで計算する、料理のお手伝いで分量を量る、絵本を読む、工作をする。日常の遊びの中に、学びの要素はたくさんあります。
「勉強しなさい」と言わなくても、遊びを通して自然に学ぶ機会を作りましょう。
家庭学習を始めるタイミング
子どもが落ち着きを取り戻し、「何かやってみたい」と自分から言い始めたら、少しずつ学習を再開してもよいでしょう。
最初は短い時間から始め、「できた!」という達成感を大切にしましょう。
家庭学習については、以下の記事で詳しく解説しています。
低学年の自己肯定感を育てる関わり方
不登校になると、子どもは「自分はダメだ」と自己肯定感が低くなりがちです。日々の関わり方で、自己肯定感を育てましょう。
「できた」を一緒に喜ぶ
小さなことでも「できた!」を一緒に喜びましょう。
着替えができた、ご飯を食べられた、お手伝いをした。当たり前のことでも、「できたね!」「ありがとう!」と声をかけることで、子どもは「自分はできる」という自信を持てます。
スキンシップと言葉で愛情を伝える
低学年の子どもには、スキンシップと言葉の両方で愛情を伝えましょう。
「大好きだよ」「あなたがいてくれて嬉しい」と言葉にして伝えること。抱きしめたり、手をつないだりすること。両方が子どもの心を満たします。
得意なこと・好きなことを大切にする
絵を描くこと、ブロック遊び、虫の観察、歌を歌うこと。子どもが好きなこと、得意なことを応援しましょう。
「すごいね!」「上手だね!」という言葉が、子どもの自己肯定感を高めます。
自己肯定感を高める方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
保護者自身の心のケア
子どもが不登校になると、保護者の方も大きなストレスを抱えます。子どもを支えるためにも、保護者自身の心のケアが大切です。
自分を責めすぎない
「私の育て方が悪かったのでは」「もっと早く気づいていれば」と自分を責める保護者の方は少なくありません。
しかし、不登校は保護者のせいではありません。自分を責め続けることは、心身の健康を損なうだけでなく、子どもにもその不安が伝わってしまいます。
相談できる人・場所を持つ
一人で抱え込まず、話を聞いてくれる人を持ちましょう。
配偶者、家族、友人、職場の同僚など、信頼できる人に気持ちを話すだけでも、心が軽くなります。身近に相談できる人がいない場合は、専門家やカウンセラーに相談することも選択肢です。
保護者同士のつながり
同じ経験をしている保護者同士のつながりは、大きな支えになります。
「親の会」や「保護者の集まり」など、不登校の子どもを持つ保護者が集まる場に参加してみるのもよいでしょう。「自分だけじゃない」と感じられることで、気持ちが楽になります。
保護者の孤独感については、以下の記事で詳しく解説しています。
よくある質問
Q理由を聞いても「わからない」と言います。どうすればいいですか?
低学年の子どもが「わからない」と言うのは、本当にわからないからです。嘘をついているわけではありません。
この年齢の子どもは、自分の気持ちを言葉にする力がまだ発達途上です。「わからないんだね」と受け止め、原因探しは一旦やめましょう。原因がわからなくても、適切な対応を取ることで改善に向かうことは十分にあります。
Q毎朝「お腹が痛い」と言います。仮病でしょうか?
ストレスや不安は、本当に体の症状を引き起こします。これを「心身症」と言います。子どもは嘘をついているわけではなく、本当にお腹が痛いのです。
まずは小児科を受診し、体に異常がないか確認しましょう。その上で、心のケアを進めていくことが大切です。
Qいつになったら学校に行けるようになりますか?
回復にかかる時間は、子どもによって異なります。数週間で回復する子もいれば、年単位でかかる子もいます。
大切なのは、「いつ行けるようになるか」よりも「今、子どもが安心して過ごせているか」です。焦らず、子どものペースを尊重しましょう。
Q母子分離不安の場合、一緒にいてあげた方がいいですか?
初期は、子どもが求めるだけ一緒にいてあげて大丈夫です。
「甘やかしすぎでは」と心配になるかもしれませんが、この時期に十分な安心感を与えることで、子どもは徐々に自立していく力を蓄えます。無理に離そうとすると、かえって不安が強まることがあります。
母子分離不安への対応については、以下の記事で詳しく解説しています。
▶ 母子分離不安は母親のせい?「愛情不足」の誤解と本当の原因3選
Qきょうだいへの影響が心配です
不登校の子どもに手がかかると、きょうだいが寂しい思いをすることがあります。
きょうだいにも個別に関わる時間を作り、「あなたのことも大切に思っている」と伝えましょう。また、「お兄ちゃん(弟・妹)は今、心が疲れて休んでいるんだよ」と、年齢に合わせた説明をすることも大切です。
Q共働きで昼間子供に付き添えません。どうすればいいですか?
使える制度やサポートを最大限活用しましょう。
子の看護休暇、在宅勤務、時短勤務などの制度を職場に相談してみてください。祖父母の協力が得られるなら、お願いすることも選択肢です。ファミリーサポート制度など、地域のサポートを活用することもできます。
一人で抱え込まないことが大切です。
まとめ:低学年の不登校は「心のSOS」
小学校低学年の不登校は、子どもからの「心のSOS」です。
言葉でうまく説明できない分、体の症状や行動の変化で「助けて」と訴えています。そのサインを受け止め、まずは安心できる環境を作ってあげてください。
低学年のうちは、勉強の遅れを心配するよりも、心の安定を優先しましょう。愛情をたっぷり受けて心が満たされれば、子どもは自然と前に進む力を取り戻します。
保護者の方も、一人で抱え込まず、周囲の力を借りてください。お子さんが笑顔を取り戻せる日は、必ず来ます。
- 低学年の不登校は急増している。「うちの子だけ」ではない
- 低学年は気持ちを言葉にできないため、「理由がわからない」ことが多い
- 母子分離不安、学校生活への適応、友人関係など、原因は複合的
- 初期対応は「安心・安全」を最優先に。無理に登校させない
- 原因を問い詰めない、他の子と比較しない
- 学校・専門家と連携し、一人で抱え込まない
- 仕事との両立は、使える制度を活用する
- 保護者自身の心のケアも忘れずに


















