中学生の子どもが突然「学校に行きたくない」と言い出したとき、保護者の方は戸惑うことでしょう。特に、その理由が明確でない場合、子どもの気持ちを理解することが難しく、どのように対応すべきか悩んでしまいます。本記事では、理由がわからないまま学校に行きたがらない中学生の心理や潜在的な要因を探るとともに、親としての向き合い方について解説します。

中学生の不登校の現状と理由がわからないケースの増加

中学生の不登校者数は年々増加しています。文部科学省の調査によると、2023年度には過去最多の19万3936人に上りました。1クラス33人とするならば、そのうち2人が不登校になっている状況です。

不登校者数(人)生徒数(人)割合(%)
2023年度193,9363,226,9826.01
2022年度174,1712,930,3495.94
2021年度159,0072,882,2145.52
2020年度144,0312,833,7305.08
2019年度129,2922,802,4224.61
最近5年間の中学生の不登校者数と割合(文部科学省より)

理由がわからないまま学校に行きたがらない中学生の心理

その中でも、明確な理由がないまま学校に行きたがらないケースが目立ちます。これは、中学生特有の心理的な変化や、複雑な人間関係が背景にあると考えられます。

中学生に限らず、理由のない不登校については、こちらの記事を参考にしてください。
【参考記事】
不登校の理由がわからないことが多い?経験者の意見から考える
不登校の理由がわからないのは本当?専門家の意見を紹介
経験者110名に聞く 不登校のリアル①きっかけは「わからない場合もある」
「不登校の理由がわからない」でも原因を探りすぎるのは危険

自分の感情を言語化することの難しさ

中学生は、自分の感情を言葉で表現することが苦手な場合があります。理由を大きく二つあります。

自分や周囲の成長に戸惑う

中学生の時期は第二次性徴の時期で、子どもの身体から大人の身体へと大きく変化をする時期です。今までに経験したことのない思いが込み上げてきたり、自分の身体の変化や友人の成長に戸惑い頭での理解が追い付かず言葉にできない場合があります。

感情を表す語彙が足りない

大人であっても「なんとなく苦手」「特に理由がないけれど面倒くさい」ということがあるでしょう。大人でも説明ができないのですから、中学生ならなおさら難しいでしょう。中学生の時期はまだまだ自分を表現する言葉が少ないので、「うざい」「だるい」「やばい」「知らない」などの言葉で片づけてしまいがちです。

思春期特有の自意識の高まりと自己肯定感の低下

中学生は、自意識が高まる一方で、自己肯定感が低下しやすい時期です。周囲の評価を気にするあまり、学校で上手くいかないことに敏感になり、自信を失ってしまうことがあります。

子どもの自己肯定感を高めるための親ができるアプローチ

周囲への遠慮や罪悪感

学校に行きたくないと言い出すことで、親や先生、友達に迷惑をかけてしまうのではないかと考え、遠慮する中学生もいます。また、皆が学校に行っているのに自分だけ行かないことへの罪悪感から、本当の気持ちを言い出せないこともあります。

中学生が学校に行きたくない理由がわからない場合の潜在的な要因

勉強に対する苦手意識や挫折感

中学校に進学し、学習内容が難しくなることで、勉強についていけなくなる生徒もいます。苦手意識や挫折感から、学校に行くことへの意欲を失ってしまうのです。

友人関係のトラブルや孤立

中学生は、友人関係に悩むことが多い時期です。グループ内の人間関係のトラブルや、孤立感から、学校が居心地の悪い場所になってしまうこともあります。

教師との人間関係の悩み

担任の先生や教科担当の先生との相性が合わず、学校生活に馴染めない中学生もいます。教師との信頼関係が築けないと、学習面だけでなく精神面でも大きな影響を受けます。

担任との関係が悪く不登校になった場合の適切な対応は?

部活動に関するストレス

部活動が思うようにいかず、人間関係やレギュラー争いなどでストレスを感じている中学生もいるでしょう。部活動が原因で、学校生活全体に影響が及ぶこともあります。

思春期特有の身体的・心理的変化

思春期は、ホルモンバランスの変化により、情緒が不安定になりやすい時期です。身体的な変化への戸惑いや、自分の感情のコントロールが難しいと感じることで、学校生活に適応できなくなってしまうこともあります。

いじめや嫌がらせの経験

いじめや嫌がらせを受けた経験から、学校が怖い場所になってしまう中学生もいます。表面化していないいじめや、本人も気づいていない微妙ないじめが、学校に行きたくない理由になっているかもしれません。

家庭環境の影響

親の離婚や経済的な問題など、家庭環境の変化やストレスが、中学生の学校生活に影を落とすこともあります。家族関係の悩みを抱えていると、学校に通う意欲を失ってしまうのです。

【関連記事】
子どもの不登校に影響を与える家族関係
不登校になりやすい家庭環境とその改善策

発達障害など個人的な特性

発達障害などの特性から、学校環境に馴染みにくいと感じる中学生もいます。周囲の理解や支援が不十分だと、学校に行くことへの困難さを感じてしまうでしょう。

発達障害に関連する記事
ASD(自閉スペクトラム症)について特徴や改善法などを徹底解説
ADHD(注意欠陥多動症)と不登校の関係
不登校と学習障害(LD)の関係|見分け方・特徴・対応策

理由がわからない中学生の不登校に悩む親ができること

子どもの気持ちに寄り添い、受け止める

理由がわからなくても、「そんなわけがない」「隠さないでハッキリ言いなさい」などと無理強いをせずに、「わからない」という子どもに寄り添うことが大切です。「学校に行きたくない」という気持ちを否定せずに、じっくりと話を聞く姿勢を持ちましょう。

安心感を与え、信頼関係を築く

子どもが安心して相談できる環境を作ることが重要です。どんな気持ちでも受け止めてくれる存在であることを、言葉や態度で示しましょう。信頼関係が築けると、子どもは本当の気持ちを打ち明けてくれるようになります。

学校との連携を密にする

学校とは密に連絡を取り合い、情報共有を図りましょう。担任の先生やスクールカウンセラーと定期的に面談を行い、子どもの状況を多角的に把握することが大切です。

家庭でのコミュニケーションを大切にする

家庭内のコミュニケーションを大切にし、子どもが安心して過ごせる環境を整えましょう。日常的な会話を通して、子どもの変化に気づくことができます。

専門家やサポート機関に相談する

必要に応じて、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの専門家に相談することをおすすめします。また、教育委員会や児童相談所など、公的な支援機関を活用することも有効です。

理由がわからない不登校の中学生に対する学校の取り組み事例

①学校から積極的な働きかけをしている例

理由がわからないまま学校に行けなくなったC君は、担任の先生が粘り強く家庭訪問を続けてくれたことで、少しずつ心を開くことができました。先生に勉強を教えてもらったり、好きなゲームの話をしたりするうちに、学校に対する苦手意識が和らいでいったそうです。また、カウンセリングを受けることで、自分の感情と向き合う方法を学びました。今では、友達と楽しく学校生活を送っています。

②しっかり休養を取ったことで再登校につながった例

D君は、部活動でのトラブルから学校に行きたくなくなりましたが、両親が理解を示し、しばらく休養を取ることができました。休んでいる間に、好きな絵を描いたり、家族でおでかけしたりして、心身ともにリフレッシュできたそうです。また、スクールカウンセラーから、新しい環境に適応するためのアドバイスをもらい、少しずつ学校に通えるようになりました。

①のように学校からの積極的なサポートが有効な場合もありますし、②のようにあまり刺激をせずにしっかり休養させて自由に過ごさせることで回復する場合もあります。

どちらが正解ということではなく、お子さんの反応や親御さんの情報などを確認しながら、慎重に対応を見極めることが大事です。

理由がわからなくても、不登校を克服できた経験者の言葉

当ブログが2023年夏に不登校経験のある社会人にアンケートを実施しました。

そのアンケートの中から、実際の声をいくつか紹介します。

無理して行くことないです。私はストレスで身体に症状出てしまいました。【遅刻してもよい、調子悪くなったらら早退しても良い】そんな軽い気持ちづ少しづつ、保健室も挟みながら通えるようになりました。

不登校しているからといって悩むことは無い。勉強は自分で教科書読むだけでも十分にできる。それに卒業したら環境が大きく変わるのでそこまでは無理して何かをしようとしなくていい

ここでの不登校の克服とは必ずしも、元の学校への復帰だけではありません。大人になるために不登校の経験が生きることが大事です。

なお、このアンケートの詳細はこちらのページをご覧ください。
110名が答える不登校のリアル② 当時の自分に伝えたいこと

まとめ

この記事では、「具体的な理由はないけれど、学校に行きたくない」という中学生について、子ども視点での要因と、保護者ができることについてまとめました。

「学校に行きたくない」という同じセリフであってもさまざまです。
お子さんの性格やそれまでの生活、言ったタイミング、家庭や学校などの環境によって、意味やその後の対応が変わってきます。どのように対応すれば良いかわからない場合は、ご家族だけで抱え込まずに専門家に相談してみましょう。

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