本記事は、分離不安症や発達障害に関する一般的な情報を提供するものであり、診断を行うものではありません。
お子さんの状態が気になる場合は、必ず医師や公認心理師などの専門家にご相談ください。
「学校に行きたくない」「お母さんと離れたくない」
こうした訴えは、多くの子どもに見られるものです。では、単なる「甘え」や「行き渋り」と、専門的な治療が必要な「分離不安症」の境界線は、どこにあるのでしょうか。
「うちの子は病気なの?」「発達障害の可能性があるの?」——そう不安になりながらも、病院に連れて行くべきか迷っている方も多いと思います。
この記事でお伝えしたいこと
執筆・編集責任:吉田克彦(合同会社ぜんと代表 公認心理師、精神保健福祉士)
- 不登校の家族支援25年以上、3000家庭以上の支援実績
- スクールカウンセラー歴20年以上。小学校、中学校、高校(全日制、定時制、通信制)全ての校種で勤務経験あり。
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分離不安症(Separation Anxiety Disorder)の診断基準
分離不安症は、DSM-5において正式な診断名として定められています。
以下は、DSM-5に基づく分離不安症の主な症状です。保護者の方がわかりやすいよう、噛み砕いた表現でまとめています。
分離不安症セルフチェックリスト
DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル第5版)の診断基準に基づいた内容です。
「はい」と答えた状態は、4週間以上続いていますか?
(大人の方がご自身でチェックしている場合は「6ヶ月以上」が目安です)
該当項目:少なめ(0〜2個)
現時点では、DSM-5の分離不安症の診断基準(3項目以上)には達していません。
ただし、項目数が少なくても、お子さんの登校や日常生活に支障が出ている場合は、専門家に相談する意味があります。
▶ この記事の「受診のタイミングと相談先」も参考にしてください。
該当項目:3〜5個
分離不安症の診断基準に当てはまる可能性があります。
ただし、このチェックだけでは診断はできません。お子さんの状態を正確に把握するには、専門家の見立てが必要です。
「病院に行くべきか迷っている」という段階でも大丈夫です。まずは公認心理師に状況を確認してみませんか?
▶ 発達障害(ASD・ADHD)との見分けが気になる方は、こちらをお読みください。
該当項目:6個以上
分離不安症の診断基準に複数当てはまっています。早めに専門機関への相談をおすすめします。
児童精神科は予約が数ヶ月待ちになることがあります。相談と並行して予約を入れておくことをおすすめします。
▶ 受診先の選び方は、こちらをお読みください。
病院に行くべき?受診のタイミングと相談先
「病院に連れて行くべきか迷っている」という方のために、受診の目安と相談先をまとめます。
受診を検討すべきタイミング
以下のような状況が続いている場合は、専門家への相談を検討してください。
- 登校できない状態が数週間以上続いている
- 睡眠に問題がある(眠れない、悪夢を見る、一人で寝られない)
- 身体症状(腹痛、頭痛、吐き気など)が頻繁に現れる
- 親御さんの仕事や生活に明らかな支障が出ている
- お子さん自身が「つらい」「死にたい」などの発言をしている
特に最後の項目(自傷や自殺に関する発言)がある場合は、早急に専門機関を受診してください。
何科を受診すればいい?
| 相談先 | 特徴 |
|---|---|
| 児童精神科 | 子どもの心の問題を専門に扱う。診断や治療に最も適している |
| 心療内科 | 心と体の両方を診る。中学生以上であれば選択肢になる |
| 小児科 | 身体症状(腹痛、頭痛など)が強い場合、まずここで相談するのも一つの方法 |
| 発達外来・発達センター | 発達障害の可能性がある場合に適している |
児童精神科は予約が取りにくく、数ヶ月待ちになることも珍しくありません。気になる場合は、早めに予約を入れておくことをおすすめします。
いきなり病院はハードルが高いと感じる方へ
「病院に行くほどなのかわからない」という段階でこそ、専門家の目を通すことに意味があります。
「いきなり精神科に連れて行くのは抵抗がある」「まずは話を聞いてほしい」——そう感じる方も多いと思います。
カウンセラー(公認心理師)は診断や治療はできませんが、お子さんの状態を整理し、「医療機関を受診すべきかどうか」の判断をサポートすることができます。
当相談室では、不登校・母子分離不安の家族支援に25年以上携わってきた公認心理師が対応しています。
こんな方に利用されています:
・チェックリストに当てはまったが、病院に行くべきか判断がつかない
・発達障害の可能性もあるのか確認したい
・児童精神科の予約待ちの間に、家庭でできることを知りたい
発達障害(ASD・ADHD)との関係
「親から離れられない」という症状は、分離不安症だけでなく、ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如・多動症)の特性から生じることもあります。
見た目の行動は似ていても、不安の背景にある心理が異なります。また、発達特性と分離不安症が併存しているケースもあるため、保護者の方だけで判断せず、専門家による総合的な見立てを受けることをおすすめします。
発達特性と母子分離不安の関係について、見分け方のポイントや家族療法の視点からの解説は、以下の記事にまとめています。
▶ 【母子分離不安】ASD・ADHDとの関係は?母子密着を解消する家族療法のアプローチ
大人の分離不安症もある?
「分離不安は子どもだけのもの」と思われがちですが、実は大人にも分離不安症は存在します。
大人の分離不安症の特徴
「分離不安は子どもだけのもの」と思われがちですが、大人にも分離不安症は存在します。
パートナーと離れることへの過剰な不安、一人暮らしができない、見捨てられる恐怖が常にあるなど。
就職・結婚・人間関係に支障をきたすことがあります。
子どもの頃の分離不安を「そのうち治るだろう」と放置するのは危険です。
大人になっても不安を抱え続けることがあります。
お子さんの状態が気になる場合は、早めに専門家に相談することをおすすめします。
まとめ
分離不安症は、DSM-5で定められた正式な診断名であり、適切な対応が必要な状態です。
「チェックリストに当てはまったから病気」「当てはまらないから大丈夫」と自己判断するのは危険です。
発達障害との関連や、複数の問題が重なっているケースもあります。
お子さんの状態が気になる場合は、一人で悩まず、専門家に相談してください。
早めに相談することは、決して大げさなことではありません。
お子さんの未来のために、できることから始めていきましょう。