「うちの子、もしかしてギフテッド?」
そう思ったことはありませんか?
ギフテッドとは、生まれつきずば抜けた才能や高い知的能力を持っている子どものことです。
IQが高い、特定の分野で突出した能力があるなど、いくつかのタイプがあり、全人口の2~5%程度と言われています。
ギフテッドの子どもは、その才能ゆえに学校生活になじめず、不登校になってしまうことがあります。
この記事では、スクールカウンセラーの視点から、ギフテッドの特徴や不登校との関係、そして具体的な対応策について徹底的に解説します。
ギフテッドってどんな子?
ギフテッドの子どもは、「天才児」と呼ばれることもあります。
知的好奇心が非常に旺盛で、新しいことを学ぶのが大好きです。
記憶力や理解力が抜群に高く、難しい問題もあっという間に理解し、解いてしまうこともあります。
ギフテッドには、大きく分けて二つのタイプがあります。
英才型
知的能力が高く、特定の分野で突出した才能を持っている。
2E型 (Twice-Exceptional)
知的能力が高いだけでなく、発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症など)の特性も併せ持っている。
2E型のお子さんは、高い知的能力によって発達障害の特性が隠れてしまう(マスキング)こともあり、気づかれにくいケースも少なくありません。
ギフテッドの子どもは、その優れた能力ゆえに、学校生活で様々な困難に直面することがあります。
例えば、授業内容が簡単すぎて退屈に感じてしまったり、周囲の子供たちとの興味や関心の違いから孤立感を味わったりすることがあります。
また、ギフテッドの子供たちは、完璧主義や過度な繊細さといった特徴を持つことが多く、些細な失敗や挫折に深く傷ついてしまうことがあります。
このような特性が、学校への拒否感や不登校につながるケースも少なくありません。
ギフテッドの特徴
ギフテッドの子どもには、以下のような特徴がよく見られます。
- 知的好奇心が旺盛:新しいことや難しいことに強い興味を持ち、深く探求しようとする。
- 記憶力や理解力が高い:一度見たことや聞いたことをよく覚え、複雑な概念も理解できる。
- 鋭い観察力:物事の本質を見抜く力があり、周囲の状況や人の気持ちをよく観察する。
- 高い表現力:自分の考えや感情を豊かに表現できる。絵画、音楽、文章などで優れた才能を発揮することも。
- 完璧主義:完璧を求めるあまり、失敗を恐れたり、自分に厳しくなりすぎたりする。
- 過度な繊細さ:周囲の刺激に敏感で、傷つきやすい。相手の感情を深く理解しすぎてしまうことも。
- 強い正義感:正義感が強く、不正や不公平なことに我慢できない。
- 高い倫理観:道徳的な問題について深く考え、高い倫理観を持つ。
- 独特なユーモアのセンス:独特なユーモアのセンスを持ち、周囲を笑わせる。
- リーダーシップ:リーダーシップを発揮し、周囲を引っ張っていく。
- 高い集中力:興味のあることには、長時間集中して取り組むことができる。
- 創造性豊か:新しいアイデアを生み出すことが得意。
これらの特徴は、ギフテッドの子どもが持つ可能性のある長所でもありますが、同時に学校生活で困難を引き起こす要因にもなり得ます。
ギフテッドの子どもが不登校になる原因
ギフテッドの子どもが不登校になる原因は様々ですが、以下のような要因が考えられます。
- 学習のミスマッチ:授業内容が簡単すぎて退屈、または、飛び級などで進度が速すぎてついていけない。
- 人間関係の困難:周囲の子供たちとの興味や関心の違いから孤立したり、理解されずにいじめを受けたりする。
- 学校のルールや規律への抵抗:型にはまった学校生活になじめない。
- 完璧主義や過度な繊細さ:失敗を恐れるあまり、学校に行くことを拒否する。
- 感覚過敏:騒音や光、触覚などに過敏に反応し、学校環境に強いストレスを感じる。
- 高い理想:自分や周囲に対して高い理想を持ち、現実とのギャップに苦しむ。
- 非同期発達:知的能力は高いが、精神的な成熟が追いついていない。
ギフテッドの不登校への対応策
ギフテッドの不登校に対応するためには、以下の3つの視点が重要です。
理解
ギフテッドの特徴や、彼らが学校で直面する困難を深く理解しましょう。
当然ながら、ギフテッドとひとくくりにしても、お子さんによって得意不得意の種類やレベルが違います。
「この子の特徴は何なのか」「どうすればもっと才能が伸びるのか」「劣等感を抱かないためにどうすればいいか」など、丁寧に考えていきましょう。
環境調整
他のお子さんと勉強に関する理解度が異なります。
興味のある分野に触れると集中しすぎることもあります。
一方で、人間関係が苦手だったり、片付けが上手にできないという場合もあります。
お子さんの特徴にあった、環境設定をすることで、好きなことに集中でき、苦手なこととも適切な距離をとれるようになります。
メンタルケア
ギフテッドのお子さんは、学力が高いためいろいろなことが理解できます。
その反面、生活面で片付けが下手だったり、対人関係でトラブルが多かったりと、苦手なことも目立ちます。
頭が良いからこそ「みんなができるのに何で自分はできないのか」「何で自分だけが怒られるのか」などと、悩んでしまうことがあります。
その結果、いろいろ考えることができるからこそ強い劣等感や被害者意識を持つこともあります。
劣等感を抱かせないように、そして対人トラブルが減らせるように、メンタルケアが欠かせません。
具体的な対応策
子どもの学力に合った教育
学校に登校するかどうかにかかわらず、個別の学習計画を作成することが大事です。
習い事や活動
ギフテッドの子供たちが興味や関心を持てる習い事や活動(プログラミング、ロボット教室、科学実験、アート、音楽など)に参加させてみましょう。
知的好奇心をどんどん伸ばすことができます。
カウンセリング
専門家によるカウンセリングを受け、悩みや不安を解消することも必要です。
お子さん自身がカウンセリングを受けることも可能ですが、保護者の方がカウンセリングを通して子どもへの接し方を変えたり、お子さんの才能をさらに伸ばすコツをつかむこともできます。
オンライン学習
自分のペースで学習できるオンライン学習を活用することが有効です。
特に学年にこだわらず、自由な進度で勉強できる無学年式のオンライン教材がおススメです。
例えば、無学年式オンライン教材「すらら」などがあります。
フリースクール
ギフテッドのお子さんを受け入れているフリースクールを検討するのも有効です。
どうしても学校の一斉授業はギフテッドのお子さんには合いません。
学校で、「簡単すぎてつまらない授業」をずっと座って聞いているということは、とても苦痛なことです。
本人のペースに合わせて勉強ができれば、得意な科目はどんどん伸びていきますし、苦手な科目を学びなおすこともできるでしょう。
保護者の方の力で家庭学習をすることも可能です。
しかし、ご家庭によっては共働きなどの理由で、お子さんの家庭学習まで対応できない場合があります。
また、専門家の力を借りて、お子さんの才能をさらに伸ばすこともできるでしょう。
自己肯定感を高める
ギフテッドのお子さんは、学力は非常に高いけれど、他の子ができない問題を簡単に解けることがある一方で、他の子ができることができない場合があります。
その結果、「何で自分はできないのか」「何で怒られるのか」などと自信を無くしてしまうことがあります。
学力が高いからなおさら頭で考えようとしてしまい、頭でいろいろ考えた結果「できないのは自分がダメなんだ」などと思い込んでしまうことがあります。
成功体験を積み重ねられるようにサポートし、自己肯定感を高めていくことが大事です。
自己肯定感に関しては、こちらの記事をご覧ください。
▶ 子どもの自己肯定感を高めるための親のアプローチ
保護者同士の交流
同じ悩みを持つ保護者同士で交流し、情報交換や悩みを共有することも役立ちます。
「子どもが××の時には、○○をすると効果的」などの実体験が聞けることがあります。
しかし、学校や地域など、リアルな場面で「同じようにギフテッドの子どもを持つ保護者はいますか?」と探しても、見つかりにくいでしょう。
場合によっては、「勉強ができるからって、なんなの!」と他の保護者から反感を買ってしまうかもしれません。
今は、リアルな人間関係だけでなく、オンラインでも仲間と交流できます。
SNSでギフテッドの保護者が情報発信をしていますので、「ギフテッド」などのキーワードで検索をしてフォローするといいでしょう。
また、ギフテッドの子育てをしている保護者のブログなどもありますので、検索してみるいいですね。
まとめ
お子さんが不登校で、勉強がわかりすぎて授業がつまらない場合、それはギフテッドならではの悩みかもしれません。
まずは、ギフテッドの特徴を理解し、彼らが学校で直面する困難を知ることが大切です。
そして、専門家や学校と連携し、子どもに合った環境やサポートを提供することで、子どもが安心して自分らしく生活を送れるようにサポートしていきましょう。
- ギフテッドは、高い知的能力を持つが故に、学校生活で困難に直面することがある
- 不登校の原因は、学習のミスマッチ、人間関係の困難、完璧主義、感覚過敏などさまざま
- ギフテッド教育、習い事、カウンセリング、オンライン学習、フリースクールなど、いろいろな対応策がある
- ギフテッドの才能を伸ばし、自己肯定感を高めることが重要
参考文献