この記事でわかること
  • 文部科学省が定める不登校の定義とその背景がわかる
  • 不登校の原因とその多様なタイプについてわかる
  • 子どもが不登校になる前に見られるサインと対処方法がわかる
  • 親が最初に取るべき対応と学校との連携方法がわかる
  • 利用可能な支援機関や代替教育の選択肢がわかる

年間30日以上の(特別な理由のない)欠席を不登校とカウントしている

不登校とは、学校に通う義務がある子どもが、年間30日以上、特別な理由(病気や経済的理由など)がないにもかかわらず学校を欠席することを指します。

文部科学省の学習指導要領では、年間35週以上にわたって授業を行うことになっています。
つまり、連続で欠席していなくても週1日程度の欠席を1年間続けると不登校となります。
そのため「休みがちだけれど、ちゃんと登校している」場合でも、不登校にカウントされることがあります。

不登校と登校拒否の関係

子どもが学校を休む状況について、昔は「登校拒否」という言葉を使っていました。
しかし、1998年ごろから「不登校」とよばれることが多くなりました。

登校拒否には、子どもが登校(学校に行くこと)を拒否しているというニュアンスがありました。
そのため「怠けている」「サボっている」「反抗している」といった誤ったイメージがついてしまいました。

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当時は、なまけ・サボり・反抗というイメージから、「力づくで学校に行かせよう」「根性をつけさせよう」などと乱暴な方法で子どもを傷つけてしまうニュースが後を絶ちませんでした。

実際には、「学校に行きたいのに行けない」「一生懸命、学校に行こうとしているけれど行けない」というお子さんがたくさんいます。
力づくで登校させようとしたり、乱暴な対応をしても逆効果です。
学校に行かないだけでなく、自尊心や自己肯定感をなくしてしまい、さらに傷ついてしまいます。

そこで、登校拒否ではなく、「登校していない」という意味で「不登校」とよばれるようになりました。

不登校と引きこもりの関係

不登校になると「このまま大人になっても外に出ることができず引きこもり生活になるのではないか」と考える保護者の方は多くいます。
しかし、不登校と引きこもりは別問題です。

ひきこもりとは・・・

6か月以上にわたって社会的参加(就学、就労、家庭外での交遊など)を避け、主に家庭内にとどまり続けている状態

「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」より

もちろん、不登校を経験したことのある引きこもりもいますが、引きこもりの中で不登校経験があるのは18.3%といわれています。
つまり、引きこもり状態の成人のうち8割以上は不登校を経験していません。

不登校の現状と統計情報

最新の統計に基づく不登校の実態

文部科学省の最新の調査(文部科学省2024)によると、不登校児童生徒数は、過去最多の34万6482人となりました。
増加は11年連続で、前年度(29万9048人)から47,434人(15.9%)増加。
初めて30万人を超えました。

不登校の原因を特定するのはとても難しい

不登校の原因となる5つの主要要因

学校内の問題

いじめや教師との人間関係のストレスなど、学校内でのトラブルが原因で不登校になることがあります。

家庭内の問題

家庭の中での環境変化、過保護・過干渉が子どもの心理に影響を与え、不登校につながることがあります。

心理的要因

不安や自己肯定感の低下、失敗の恐怖が心理的なプレッシャーを生み出し、不登校のきっかけとなることがあります。

発達特性

発達障害や学習の困難さが原因で、学校生活に適応しにくくなるケースもあります。

社会的な要因

オンラインゲームやSNS依存といった、社会的な要因も不登校のきっかけとなることがあります。

不登校のタイプ別の分類

不登校にはいくつかのタイプがあり、それぞれ異なる対応が必要です。ただし、不登校の原因や状態は非常に多様であり、個別に対応する必要があります。

  • 無気力型: 学校に対する意欲を失い、家庭でも活動的でなくなるタイプ。
  • 反発型: 学校や教師に対して強い反発心を持ち、登校を拒否するタイプ。
  • 心因性型: 不安や恐怖心から登校できないタイプ。
  • 努力型: 学校に行きたくない気持ちを抱えながらも無理に登校しようとするタイプ。
  • 身体症状型: 体の不調(頭痛や腹痛など)を訴え、登校を困難とするタイプ。 これらのタイプ別にどのような対応が適しているかを説明し、親が子どもの状態に応じた対応を選べるようにします。

子どもが不登校になる前に現れるサイン

不登校に至る前には、いくつかの典型的なサインが見られることがあります。

要注意サイン
  • 朝に体調が悪くなる
  • 学校に関する話題を避ける
  • 夜更かしが増える
  • 食欲がなくなる

こうしたサインを見逃さないことが早期の対処につながります。
もし、このような変化に気がついたら要注意です。

お子さんが不登校になってから「仕事や家事に忙しくて子どもの変化に気がつかなかった」「普段からもっと見てあげていれば」と反省される保護者の方が多いです。
一番重要なことは、サインに気がつくように普段からお子さんをよく観察することです。

不登校に直面した際の第一歩

親として何をすべきか

不登校になったとき、親が最初にすべきことは「子どもの『学校に行けない』という状態を否定しない」ことです。
特に、子どもが抱えている不安やストレスを認めて、「何があってもあなたの味方でいる」という姿勢を示すことは子どもにとって大きな助けになります。

無理に学校に行かせるのではなく、子どもが感じている不安や恐怖を理解し、安心できる環境を整えましょう。

学校に関する話題を避けるときは、それを尊重し、無理に尋ねたりせず、子ども自身が話したいときまで待つことが大切です。

初期対応についてくわしく解説した記事はこちらです。

学校とのコミュニケーション方法

不登校の子どもがいる家庭では、学校との適切なコミュニケーションが鍵となります。

保護者の方が抱えがちな不安として「学校側との対話がうまくいくかどうか」があります。
担任の先生やスクールカウンセラーと積極的に情報共有することで、子どもにとって最適な支援体制を築きましょう。

学校での子どもの印象を聞くことで、家庭とは違った様子がわかってくることがあります。

家と学校でのギャップの例
  • 家では自由にのびのび振舞っているのに、学校では友達に気を使って我慢をしている子。
  • 家では親の顔色をうかがいとてもいい子なのに、学校ではわがまま放題で友達とトラブルになっている子
  • 家では「学校は楽しいよ」といっているけれど、学校では一人寂しそうに過ごしている子

学校の様子と家庭の様子を確認することで本当の子どもの姿が見えてきます。

担任の先生に相談しにくい場合は、管理職や養護教諭(保健室の先生)、あるいはスクールカウンセラーに相談しましょう。

スクールカウンセラーへの相談について解説した記事はこちらです

不登校の子どもに寄り添うためのサポート方法

子どもには無理強いをせず対話を続ける

不登校の子どもに対しては、「無理強いをしない」ことが基本です。
しかし、「何も言わず好き勝手なことをさせる」ことではありません。

無理強いはしないけれど、「無理のない範囲でできることをやる」ことが大事です。

「無理やりやらせる」か「全く何も言わない」か、という2択ではありません。
どんなことなら、どの程度の負荷をかけられるかを丁寧に確認します。

ご家族として、お子さんの気持ちに寄り添いながら、「一緒に何かをする時間を持つ」「小さなことでも褒める」といった日常的なサポートが効果的です。

子どもが自分自身を安心できる環境にいることを感じられるように、「一緒に過ごす時間を増やす」「子どもが興味を持つ活動に付き合う」といった具体的な行動が有効です。
また、失敗を恐れない環境を作り、子どもが安心して挑戦できるように支援しましょう。

保護者ご自身のメンタルケアも忘れずに

保護者自身のメンタルケアも重要です。
保護者が安心感を持って対応できることが、お子さんにとっても大きな支えになります。

「他の子はちゃんと学校に行っているのに」
「自分の育て方が悪かったのではないか」
「あの時もっとこうしておけばよかった」
などと、いろいろなことが頭の中をグルグル回ってしまうでしょう。
夜眠れなくなってしまう保護者さんも少なくありません。

いろいろ動揺してしまうと思います。
お気に入りの動画を見たり、好きな飲み物を飲む、体を動かすなど、ご自身にあった気分転換法を実行してください。

「何も聞かない」ことの重要性とタイミング

子どもが学校の話題を避ける場合には、無理に話を聞き出そうとしないことが重要です。
親としては、子どもが心を開くのを待つ忍耐力が求められます。
子どもが話したいと思うタイミングを見極め、それを尊重することで、信頼関係を築くことができます。

「自分が子どもと同じ年齢の頃に、どんなことを親に求めていたか」を想像すると、「この言葉は言われたくないはず」「こういう時は側にいてほしいかも」などと見えてくることがあります。

使える支援機関とサービス

地域の教育センター、カウンセリングサービス

不登校に関する相談窓口として、地域の教育センターやカウンセリングサービスが利用可能です。電話相談やメール相談の窓口情報を提供することで、保護者がすぐに相談できる体制を整えましょう。文部科学省の公式ホームページや地方自治体の教育委員会のリンクを記事内に掲載することもお勧めです。 公的な支援機関(地域の教育センターやカウンセリングサービス)は、不登校の子どもを支援する上で非常に役立ちます。例えば、教育センターでは心理的なカウンセリングや学習面でのサポートを受けられることがあります。さらに、電話相談やメール相談といった気軽に利用できるサービスもあります。

家庭教師やオンライン教材の活用方法

学校に行かない期間に学習の機会を確保するために、オンライン教材や家庭教師の利用を検討するのも一つの手です。子どもが自分のペースで学べる環境を作ることで、学習への不安を減らし、将来的な学校復帰や社会参加への道筋をサポートします。

フリースクール・代替教育の選択肢

学校に通うことが難しい場合には、フリースクールや通信制学校などの代替教育の選択肢を検討することもできます。これらの学校では、子どもが自分のペースで学べる環境が整えられており、個々のニーズに応じた学びが提供されます。それぞれの選択肢のメリット・デメリットを解説し、親と子どもに最適な学びの環境を見つけるサポートを行います。

長期化しないための予防策

不登校の早期介入とその重要性

不登校が長期化しないためには、早期の介入が重要です。子どもの不安や悩みに早期に気付き、それに応じた支援を提供することで、不登校が慢性化するのを防ぐことができます。親としても、子どもと日常的に対話し、心の健康状態を定期的に確認することが大切です。

定期的にできる家庭でのケア

不登校の子どもをサポートするために、家庭で定期的にできるケアには、「自己肯定感を高めるためのほめること」や「成功体験を増やすこと」が含まれます。たとえ小さなことでも子どもの努力を認めてあげることで、子どもは少しずつ自信を取り戻し、再び学校へ行く気持ちを持つことができます。

不登校の長期的な影響と対策

不登校が長期化した場合の影響

不登校が長期化すると、心理的な影響(自己肯定感の低下、不安障害など)や社会的な影響(社会からの孤立、将来的な学業や就労への影響)が懸念されます。これらの影響を最小限に抑えるために、早期の支援と家族の理解が必要です。

長期化を防ぐための具体的なサポート方法

長期化を防ぐためには、家庭内での定期的なコミュニケーションと、小さな成功体験を積み重ねることが重要です。また、外部の支援を積極的に利用することで、子どもが自分のペースで成長できるような環境を提供します。

この記事のまとめ
  • 文部科学省は年間30日以上の欠席(特別な理由を除く)を不登校とカウントしている
  • 不登校の原因とその多様なタイプについてわかる
  • 子どもが不登校になる前に見られるサインと対処方法がわかる
  • 親が最初に取るべき対応と学校との連携方法がわかる
  • 利用可能な支援機関や代替教育の選択肢がわかる

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