不登校で増える経済的・精神的負担の実態
子どもが不登校になると、保護者の生活は大きく変わります。仕事を休むことが増えたり、場合によっては離職を検討せざるを得なくなることもあります。
さらに、転校や私立入学の検討、家庭学習の準備、給食がない分の昼食代など、出費も確実に増えていきます。文部科学省の調査によれば、不登校児童生徒数は35万人を超えており、多くの家庭が同じような経済的な不安を抱えています。

経済的な負担だけではありません。周囲の目や将来への不安で、保護者自身が精神的に追い詰められることも少なくありません。「このままで本当に大丈夫だろうか」「お金がなくて十分な支援を受けさせてあげられない」という声を、私は25年間の支援活動の中で数え切れないほど聞いてきました。

しかし、実は無料で利用できる支援サービスは想像以上に多く存在します。さらに、有料のサービスでも助成金制度を活用すれば、経済的負担を大きく軽減できる場合があります。
このガイドでは、本当に役立つサービスを厳選してご紹介します。
このガイドが信頼できる3つの理由
25年の不登校家族支援経験
公認心理師として3,000以上の家庭を支援してきた実績に基づき、本当に使える情報だけを厳選しています。机上の理論ではなく、現場で何が本当に役立ったかを熟知しています。
スクールソーシャルワーカーとしての制度知識
複雑な助成金制度や就学援助の実践的な申請方法など、行政の窓口で実際に家庭を支援してきた経験から、制度の使い方を具体的にお伝えできます。
「制度はあるけれど使えない」を「制度を実際に活用できる」に変えるノウハウがあります。
ファイナンシャルプランナーとの協力体制
家計相談の専門家と連携し、経済的な視点からも確かな情報をお届けします。
単なる制度紹介ではなく、家計全体を見据えた実践的なアドバイスを提供できます。
完全無料で利用できる支援サービス
お金の心配なく、今すぐ利用できる支援を5つのカテゴリーでご紹介します。
無料で学習場所を確保する
適応指導教室(教育支援センター)
自宅以外で集中して学習できる場所は、生活リズムの維持にも役立ちます。
適応指導教室(教育支援センター)は2024年度には全国に1873か所あり、無料で利用できます。
教員免許を持つ職員による学習支援と、相談が受けられます。
利用開始には在籍校の校長からの申請が必要で、審査を経て利用可能となるまで数週間から3ヶ月程度の待機期間が生じる場合があります。
公立図書館の自習スペース
図書館の自習スペースも完全無料です。
東京都立中央図書館のように、Wi-Fiや電源を備えた施設が増えています。
持ち込み教材での学習を制限する施設もあるため、事前に確認することをお勧めします。
児童館
児童館も18歳未満なら無料で利用できます。
工作などのイベントでは材料費(数百円程度)がかかることもありますが、基本的な利用は完全に無料です。
公認心理師の視点から言えば、学習場所を選ぶ際は「子どもが安心できる環境かどうか」が最も重要です。静かすぎる環境が苦手な子もいれば、少し人の気配がある方が落ち着く子もいます。いくつか試してみて、お子さんに合う場所を見つけてください。
無料で相談する
専門家への相談は、問題解決の第一歩です。スクールカウンセラー(SC)とスクールソーシャルワーカー(SSW)は完全無料で、全国の約70%の学校に配置されています。
SCは心理的な相談を担当し、お子さんの心の状態や親子関係について専門的なアドバイスを提供します。SSWは福祉的な支援を担当し、経済的な問題や家庭環境の調整、各種制度の利用方法などをサポートします。
ただし、SCは週1日のみの勤務が多く予約待ちが発生する場合があります。
SSWは複数校を掛け持ちするため常駐していないこともあります。
NPO法人カタリバの「カタリバ相談チャット」は、ZoomやLINEで30分の個別相談が完全無料で受けられます。
毎月第2・第4金曜日の夜に開催される「オンラインおはなし会」も無料で、定員30名、カメラオフ参加も可能です。
スクールソーシャルワーカーとして多くの家庭を支援してきた経験から言えば、各相談機関には得意分野があります。心理的な悩みならSC、制度活用ならSSW、緊急性が高い場合は子ども家庭支援センターというように、相談内容に応じて使い分けることが重要です。
ただし、これらの公的な無料相談は、主に情報提供や行政的な介入の判断が目的です。個々の心理的課題に対する深いアプローチや、継続的な個別カウンセリングには限界があることも理解しておく必要があります。
無料で親同士つながる
同じ悩みを持つ保護者との交流は、孤立感を和らげる大きな力になります。全国に400以上の親の会があり、多くは無料または参加費500円程度です。
埼玉県越谷市の親の会は参加費無料で、オンライン交流会とオフラインお茶会を開催しています。NPO法人東京シューレが関わる「不登校を考える親の会」では、参加費500円程度(会場費等の実費)で誰でも当日参加できる交流会を実施しています。
最近はオンライン開催が増えており、地理的制約が減っています。LINEオープンチャットで運営されている親の会も多数存在し、時間や場所を気にせず参加できます。
25年の支援経験から言えば、初めて親の会に参加される方は「何を話せばいいのか」「子どもの状況を全て話さなければいけないのか」と不安を感じることが多いようです。
安心してください。親の会では「聞くだけの参加」も歓迎されます。自己紹介で「今日は皆さんの話を聞きたくて来ました」と言えば、誰も無理に話すことを求めません。慣れてきたら、少しずつ自分の状況を話せばよいのです。
また、親の会によって雰囲気が異なります。学校復帰を目指すことを前提とした会もあれば、多様な進路を認め合う会もあります。いくつか参加してみて、自分に合う親の会を見つけることをお勧めします。
無料で心のケアを学ぶ
子どもを支えるには、まず保護者自身の心の安定が大切です。自治体や保健センターが開催する心理教育講座は無料で利用できます。
栃木県のNPOが開催する「自分を責めない子育てのヒントが見つかるオンライン講座」は、参加費完全無料で全国からZoom参加できます。埼玉県、北海道、神奈川県、兵庫県なども無料セミナーや親同士の交流会を開催していますが、年1-2回程度の単発イベントが多いのが現状です。
セルフチェックツールも無料で利用できます。「こころの体温計」は全国の多数の自治体(東京都世田谷区・港区、大阪府豊中市・吹田市など)が導入している無料ツールで、13の質問に答えると金魚や猫のキャラクターでストレス度が表示されます。
厚生労働省の「5分でできる職場のストレスセルフチェック」も、57問の簡単な質問に答えることで自分のストレスレベルを無料で測定できます。ウェブサイト上で結果がフィードバックされ、誰でも匿名・無料で利用可能です。
公認心理師として、保護者の方に実践していただきたいセルフケア方法があります。
まず、「5分でできる気持ちの切り替え方」です。子どもとの関わりで疲れたと感じたら、トイレやベランダなど一人になれる場所に移動し、深呼吸を5回してください。吸う時は4秒、吐く時は6秒かけます。これだけで副交感神経が優位になり、気持ちが落ち着きます。
次に、「1日1回、自分を褒める」習慣をつけてください。「今日も子どもと向き合った」「朝ごはんを作った」という小さなことで構いません。不登校の子どもを支える日々は、確実にあなたの心を消耗させます。自分で自分を労うことが、長期戦を乗り切る鍵です。
無料で学習する
学校に通えない期間も、学習を継続できる方法があります。文部科学省の「たのしくまなび隊」やNHK for Schoolは完全無料です。
NHK for Schoolは8,000-9,000本の教育動画を提供し、小学校から高校まで全教科に対応しています。アプリも無料で、登録料や時間制限もありません。
千葉県教育委員会が2024年6月に開始した「エデュオプちば」は、不登校状態の中学生を対象に5教科をZoomで配信する完全無料サービスです。出席扱いになる可能性もあります。
NPO法人eboardの映像授業も無料です。国立国会図書館デジタルコレクション、Scratch(MIT提供のプログラミング学習)も無料で利用できます。
重要なのは、これらの無料教材を使った学習を「学校外の指導による出席扱い制度」と組み合わせることです。義務教育段階の不登校児童生徒が、一定の要件を満たせば、学校の指導要録上「出席扱い」とすることができます。
これにより、進路選択時の「出席日数不足」という不安を軽減できます。出席扱いの要件や申請方法については、在籍校に相談してください。
ただし、民間の「すらら」「サブスタ」などのオンライン学習サービスは、無料体験後に有料継続が必要です。月額料金が発生するため、無料とは言えません。
助成金・制度を活用して経済的負担を軽くする
有料のサービスでも、助成金や制度を活用すれば負担を大きく軽減できます。
フリースクールの費用負担を軽くする
フリースクールは入会金平均5万3千円、月額授業料平均3万3千円で、年間では30-50万円の負担となります。完全に無料で通えるフリースクールは存在しません。
説明会や初回相談は無料ですが、体験見学は有料(3回で5,250円など)が一般的です。「無料相談」は本当に無料ですが、継続的な通学には必ず費用が発生します。
しかし、東京都は2024年7月から月額最大2万円の助成金を支給しています(所得制限なし)。2025年7月時点で2,113件の交付決定があり、200以上の施設が承認されています。
さらに重要なのは、東京都内の一部区では上乗せ助成があることです。荒川区・港区は月額2万円を追加助成し、合計で月額4万円の支援が受けられます。北区・葛飾区は月額1万円を追加助成し、合計3万円です。
具体的な計算をしてみましょう。月額3万円のフリースクールに通う場合、都の助成金2万円を受ければ実質負担は1万円です。さらに荒川区に住んでいれば区から2万円の上乗せがあるため、合計4万円の助成を受けられ、実質負担はゼロどころかプラスになります。
月額4万円のフリースクールでも、荒川区・港区なら実質負担ゼロです。
東京以外でも、神奈川県鎌倉市(月額1万円、授業料の1/3)、茨城県(月額1.5万円、授業料の1/2)、滋賀県草津市(月額最大4万円)、兵庫県明石市・尼崎市(月額1万円、授業料の1/2)、福岡県大野城市(月額1万円、授業料の1/2)などで助成制度があります。
ただし、全国の大多数の自治体には助成制度が存在しません。国レベルの助成制度もなく、フリースクールは学校教育法上の教育機関として認められていないため、公的資金投入の法的根拠が弱いのが現状です。
スクールソーシャルワーカーとして、助成金を実際に活用するための実践的なアドバイスをお伝えします。
まず、お住まいの都道府県と区市町村の両方に助成制度があるか確認してください。都道府県の助成を受けていることが、区市町村の上乗せ助成の前提条件になっている場合が多いためです。
次に、利用を検討しているフリースクールが助成金の対象施設として登録されているか確認します。東京都の場合、補助金を受けるためにフリースクール側が基礎講習を受講し、サポートプランを作成することが要件となっています。
申請は四半期ごとに出席確認後に振り込まれる仕組みが多く、入会金・施設維持費・教材費は対象外です。申請書類の準備には時間がかかるため、早めに取り掛かることをお勧めします。
就学援助で教育費を抑える
就学援助制度は、経済的に困難な家庭の教育費を支援する制度です。重要なのは「在籍」していることで、「出席」は要件ではありません。
公立小中学校に在籍していれば、学校に通っていなくても、経済条件を満たせば給食費、学用品費(年間1.1-1.5万円)、新入学用品費(小学校約5万円、中学校約6万円)、修学旅行費、オンライン学習通信費などの実費が支給されます。
所得基準は自治体ごとに異なりますが、生活保護受給世帯や準要保護(生活保護基準の1.0-1.5倍程度の所得)、児童扶養手当受給者、非課税世帯などが対象です。
申請は在籍校を通じて行い、通知まで1-3ヶ月かかります。年度途中からでも申請可能ですが、さかのぼっての支給はありません。
スクールソーシャルワーカーとして、申請が通りやすくなるコツをお伝えします。
まず、申請書の「家庭状況」欄には具体的に記入してください。「収入が減少した」だけでなく、「20XX年X月に勤務先が倒産し、現在は月収XX万円で生活している」というように、状況が明確に伝わるよう記載します。
必要書類は余裕を持って準備してください。源泉徴収票、非課税証明書、児童扶養手当受給証明書などが必要になる場合があります。
申請時期も重要です。多くの自治体では年度初めに一斉申請を受け付けますが、年度途中でも申請できます。ただし、申請月からの支給となるため、早めの申請が有利です。
フリースクールに通いながら公立学校に在籍している場合も就学援助を受けられますが、フリースクールの費用自体には使えません。
家計不安を軽くする
経済的な不安を相談できる窓口があります。日本FP協会は全国8か所に「くらしとお金のFP相談室」を常設し、予約すれば対面またはオンラインで無料相談が受けられます。通信料のみ自己負担で、相談料はかかりません。
ただし、完全無料のFP相談は商品販売につなげる目的があるため、客観性に注意が必要です。独立系FPは1時間5,000-15,000円と有料ですが、商品販売圧力がなく中立的な助言が得られます。
自治体の生活相談窓口でも、生活費や福祉制度について無料で相談できます。生活困窮者自立支援制度では、家計改善支援や一時生活支援なども受けられる場合があります。
消費生活センターでの家計相談も無料で、借金問題や契約トラブルにも対応します。
ファイナンシャルプランナーとの協力のもと、実践的なアドバイスをお伝えします。
相談前に準備すべき書類は以下の通りです。
- 直近3ヶ月の家計簿または支出の記録
- 源泉徴収票または確定申告書
- 保険証券(生命保険、医療保険など)
- 住宅ローンや教育ローンの残高証明書
- クレジットカードの利用明細
相談時に必ず聞くべき3つの質問は以下です。
- 「我が家の状況で利用できる公的支援制度は他にありますか?」
- 「優先的に削減すべき支出はどれですか?」
- 「今後3年間の家計の見通しを教えてください」
無料FP相談と有料FP相談の違いも理解しておきましょう。無料相談は金融商品の販売を前提としている場合が多く、相談時間も30分-1時間程度と限られています。有料相談は中立的なアドバイスが得られ、相談時間も十分に確保されますが、費用がかかります。
スクールソーシャルワーカーとして多くの家庭の経済的問題に関わってきましたが、最も重要なのは「早めに相談すること」です。借金が膨らんでから、生活が立ち行かなくなってから相談するのでは、選択肢が限られます。
少しでも不安を感じたら、無料の相談窓口で構いませんので、専門家に相談してください。
支援サービスを最大限活用する3つのコツ
複数のサービスを組み合わせる
一つのサービスですべてが解決することは稀です。例えば、「適応指導教室で学習+親の会で情報交換+就学援助で経済的負担軽減」というように、複数のサービスを組み合わせることで、より安定した支援が受けられます。
専門家に相談しながら利用する
サービスにも、その家庭に合う合わないがあります。スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーに相談しながら利用すると効果的です。「うちの子の場合、適応指導教室とフリースクール、どちらが合いそうですか?」と率直に聞いてみてください。
無料・助成金サービスの限界も理解する
公的な支援は素晴らしいものですが、どうしても個別性や継続性に限界があります。
スクールカウンセラーは週1日のみの勤務が多く、予約待ちが発生します。適応指導教室は全自治体の63%にしか設置されておらず、37%の自治体では選択肢がありません。親の会は月1回程度の開催が多く、緊急時の相談には対応できません。
フリースクール助成金は東京都など一部自治体のみで、大半の自治体には制度がありません。
重要な発見として、不登校家庭向けの「レスパイトケア」が存在しないことも事実です。レスパイトケアは高齢者介護、障害児ケア、医療的ケア児、里親家庭にのみ提供されており、不登校は「ケアを要する状態」と認定されていないため対象外です。
ファミリーサポート事業は有料(1時間700-1,000円)で、提供会員55万人に対し利用希望者13万人と需給バランスが悪く、緊急対応には使えません。
このような場合は、専門的な個別支援の検討が必要です。
より個別的な支援が必要な場合は
まずは無料サービスや助成金制度を活用し、お子さんや家族の状況を整えていくことが大切です。
しかし、より個別的で継続的な支援が必要な場合や、公的支援だけでは十分な改善が見られない場合は、専門家による個別カウンセリングの利用も検討してください。
公的な無料相談は、主に情報提供や行政的な介入の判断が目的です。個々の心理的課題に対する深いアプローチには限界があります。
ぜんとカウンセリングでは、公認心理師が、お子さん一人ひとりの深層心理、家族の歴史、特定の状況に基づいた、根本的な解決を目指す個別化された心理支援を提供しています。
無料の初回相談も実施していますので、お気軽にご相談ください。
