子どもと話をしたいのだけれども、いつも不機嫌になってしまうから話が出来ない。
子どもの気持ちや不登校になった理由を聞きたいけれど、全然話してくれない
このような悩みを持っているご家族は多くいらっしゃいます。
本記事では、親子の会話について解説していきます。
不登校のお子さんと家庭内での会話が無く、どうすればいいかわからず戸惑っているご家族は多いようです。
学校復帰など次のステップに向かうためにも、本人と保護者のふだんから気軽に話せる関係になることは大切です。しかしうまく話せないご家族はどうすればいいのでしょうか。
本記事では、そのような状態のお子さんと再び話せるようになるにはどうすればいいのか、具体的な方法も含めてご紹介します。
親子の会話あるある
会話が少ない状態では共通の話題がないため、どうしても学校や勉強の話題になってしまいがちです。
結果お子さんは「親の話がうざい」となり、余計に会話をする機会は減ってしまうので逆効果です。
次のような悪循環にはまっていませんか?
このような悪循環になると、親子関係はどんどん悪化し、会話も減ってしまいます。関係が悪化し会話が減ることで、保護者は子どもの気持ちを把握できず、子どもに思いを伝えることができなくなります。それでは、不登校を克服できるはずがありません。
親子の会話を増やすためには
会話が減ることで、重い話題だけ話すから雰囲気が悪くなり、さらに会話が減っていくことは分かった。
では、どうすればいいのだろう?重たい話題をせずに雰囲気が悪くなるのを防ぐしかないのかなぁ?
いいえ。重たい話で雰囲気が悪くなったとしても伝えなければいけないこともあります。
大事なことは、雰囲気が悪いから会話を減らすのではなく、まずは、会話を増やしていくことです。
私たち大人の世界に置き換えて考えてみるとわかりやすいですよ。
「イヤミな上司」ではなく「頼れる仲間」になること
例えば、みなさんが仕事をしているとして、自分の上司がほとんど雑談をせず、
「昨日の売り上げはどうなってる?」
「明日の準備はできてるのか?できてない?なんでできてないんだ!!」
などと、大事な用件ばかり一方的に話し、上司が聞きたいことだけ聞いてこちらの話をまったく耳を貸さないとしたら、どうですか?
売上が絶好調だったり、良い状況が続いていれば、話すのも楽しいかもしれません。しかし、調子がすぐれず、聞かれた内容に対して自信をもって答えられない場合は、聞かれること自体が負担に感じますよね?
その上司に対して苦手意識を持ってしまい、その上司がこちらに近づいてくるだけで緊張してしまうのではないでしょうか?
ご近所づきあいや親戚関係でも同じです。自分のお子さんが不登校だった場合、会うたびに「お子さん、まだ学校に行けてないの?」「進路はもう決まったの?」などとばかり聞いてくる人とは、顔も見たくなくなるでしょう。一緒になりそうな時間帯やルートを避けて行動するかもしれません。
自分がされて嫌な声かけをお子さんにしていませんか?
一方で、プライベートに踏み込むことがなく「昨日のあのテレビ見た?面白かったよね」「この前、○○さんに会ったんだけどさ」などと、気軽に話かけてくる同僚や上司だったら、どうでしょう。
もちろん興味のある話題かどうかが大事ですし、あまり話が長いと「うっとうしいなぁ」と思います。しかし、ほどほどの内容を、ほどほどの量で話す人なら、嫌な気持ちはしないでしょう。もしかしたら、雑談の中で「実は最近、ちょっと悩みがあって、どうすればいいかわからなくて」などとポロっと話したくなるかもしれません。
以前、タレントの高田純次さんが「歳をとってやっちゃいけないのは、自慢話、昔話、説教」とおっしゃっていましたが、まさにその通りかもしれません。
保護者が子どもに接する際に目指すべき姿は「イヤミな上司」や「めんどくさいご近所さん」ではなく「リラックスできて頼れる仲間」です。
会話のゴールは「こちらの意見を押し通すこと」ではなく「対話を続けること」
親子の会話が減ってしまうと、「家族の思いを本人に伝えたい」という考えだけが膨らんでしまうことがあります。その結果、子どもが会話をすると「ちょっと言いたいことがあるのだけれど…」と、すぐに本題に入ってしまうことがあります。これではうまくいきません。
顔を合わせるたびにいつも耳の痛い話ばかりしてくる親戚のような存在ではダメです。
まずは「会話」そのものを目的としましょう。つまり、「内容は何であれ子どもと話す」ことが大事です。そのあとで「子どもから話して来たら、何を考えているのかを聞く」、そして「こちらが何を考えているかを伝える」という順番が理想的です。決して、「こちらの思いを伝えることを目的に話す」ことは避けましょう。結局、聞いてくれないので無駄な努力になります。
まずはあいさつから始めよう
家庭内で会話がないお子さんと再び話せるようになるためにはまず、ご家族の方から挨拶することから始めてみましょう。
「あいさつなんて、子どもの方からしてくるものでしょ?」
「親が言わなくって、子どもがあいさつしてくるのが当然では?」
などと考えて、子どもから挨拶をしてくることを待ち続ける人がいますが、それでは時間ばかりが過ぎていきますね。
何日も、何か月も、何年も子どもから動くのを待ち続けますか?
それとも、今日から、あなた自身が動き始めますか?
どちらの方が早く問題が改善するかはわかりますよね。
お子さんの方から話しかけてくるのを待っているのでは、時間だけが過ぎていきます。相手が変わるのを待つのではなく、こちらができることを試してみましょう。過去と相手は変えられないが、未来と自分は変えられます!
もしかするとお子さんもご家族との会話がない現状に苦しんでいて、話しかけてくれるのを待っているかもしれません。
「おはよう」「お昼ご飯何食べたい?」など、日常の何気ない会話を増やすことを目標に、声をかけてみましょう。
話題はなんでもOK、なるべく楽しい話題がオススメ
あいさつなどで接する機会が増えてきたら、雑談をしていきましょう。
内容は何でも構いません。この時の目的は「雑談をすること」です。「話し合って何らかの結論を出す」などはまだ難しいでしょう。
先ほどの悪循環で紹介したように、緊張する話題だと話が続かないので、緊張せずに話せて「こんなやり取りなら、別に大丈夫」とお互いが思えるような内容にしましょう。
共通の話題があるといいですね。テレビドラマの話や天気の話、今日の夕飯は何が食べたいか、などであれば共通の話題が探しやすそうですね。
親と子どもでお互いにお気に入りのアイドルがいたり、趣味なども話やすいでしょう。
それらの話を繰り返しましょう。しばらくすると「じゃあ、今度ライブに行こうか!」とか「グッズ買いに行くの付き合ってよ」などと、動きが出てくるかもしれません。
そして、次のような好循環を目指すのです。
子どもが大切な話題を切り出したら…
ご家族があいさつを続けることで、少しずつお子さんと話ができるようになってくると思います。
この段階で、お子さんが自分から会話を切り出すことがあります。
内容は好きなものや趣味などの自分の話、もしかすると学校や勉強の話を切り出すかもしれません。
ここで大切なのは、どんな内容の話題でもとにかくお子さんの話を聞くことです。そしてすぐに「それはおかしい」とか「こうすべき」などと結論を出さないことです。
そして、この機会をチャンスにして今後もその話題で話せるように、例えば趣味の話をされたら詳しい内容をネットで調べて勉強してみてください。
どんな話題がきっかけになるかはお子さんによってそれぞれですが、自然と会話が増えて距離感も縮まります。
日々の暮らし方について、話し合うことも大事です。
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子どもの話を否定しない
子どもがのんきな話をしていると「もっと真剣に考えなさい」とか言いたくなります。
そういう話を子どもとしても大丈夫ですか?
まずは、会話を増やしていくことが大事ですので、あまり厳しい話をしない方がいいです。
例えば、あなたが仕事の上司から「あの仕事どうなってる?」「今月の売り上げは?」とばかり言われたら、顔を見るのもイヤになりますよね?
お子さんと会話を増やし関係を構築する上で、大切なポイントがあります。
それは、子どもの話を絶対に否定しないことです。
まずは子どもの話を聞き、肯定した上で認めることで、お子さんはどんどん自分のことを話せるようになっていきます。
また、特に指示やアドバイスを求められていないのに「こうしたら?」などと口を挟むのもNGです。
まずは全ての話を聞くことが大切で、親子で意見交換をするのはさらに先のステップになります。
子どもが「絶対に話したくない」と思われず、むしろ「なんかもっと話したいな」と思ってもらえることが大事です。
そうすれば、徐々に大事な話ができるようになっていきます。
挨拶しても返事が返ってこない、無視されるときは?
ご家族がいくら声をかけても無視され、返事が返ってこないため毎日あいさつをする意味がないのではないかと思うこともあるかもしれません。
それでも、返事が返ってこなくてもあいさつは続けることをおすすめします。その日の気分や、本人の何かの変化で徐々にあいさつを返してくれます。
どうせ無駄だからと何もしないよりは、ご家族ができることを全力でやることでお子さんは早く変化します。
もし、ご自身だけでは思いつかない場合は、専門家に相談することでより適切な対応ができます。
おわりに
不登校のお子さんと保護者の間でよくある「会話がない場合」の理由と対処法について、ご紹介しました。
不登校のお子さんと会話を増やすためには、あいさつや日常の他愛もない話を繰り返し続けることが大切になります。
また、学校のことや勉強のことなど、お子さんにとって苦手な話題や重い話は最初のうちはせずに、「ご家族と会話することが楽しい」と思える家庭をつくることが重要になっていきます。
お子さんが不登校を克服するには、お子さんの動きをただ待つだけではなく、ご家族からのアクションが大切になります。
実際に学校に行くのはお子さんですが、一緒に乗り越えるつもりで問題1つ1つに向き合っていきましょう。