「どう声をかければいいのかわからない」

「悪気はないのに、傷つけていないだろうか」

不登校のお子さんへの接し方に悩んでいる親御さんは、非常に多くいらっしゃいます。朝起こすべきか、部屋に入っていいのか、学校の話題は避けるべきか――些細なことでも迷ってしまい、何を言っても「うるさい」と拒絶されると、心が折れそうになりますよね。

しかし、接し方こそが、家庭を安心基地にする鍵なのです。

親御さんの言葉や態度は、お子さんにとって最も大きな影響を与えます。適切な接し方ができれば、お子さんの心は少しずつ安定していきます。逆に、善意からの言葉でも、接し方を間違えると、お子さんをさらに追い詰めてしまうことがあるのです。

この記事では、医師監修のもと、公認心理師が専門的な視点から、不登校のお子さんへの正しい接し方と、やってはいけないNG対応について具体的に解説します。今日から実践できる方法をお伝えしますので、ぜひ最後までお読みください。

専門家が指摘する「やってはいけない」NG対応

まず、善意から行っていても、実はお子さんを傷つけてしまう可能性のあるNG対応を知っておきましょう。公認心理師の視点から、特に注意すべき3つのNG対応をご紹介します。

NG-1:責める言葉

「なぜ学校に行かないの?」

「みんな行ってるのに、あなただけ」

「いつまでこんなことを続けるつもり?」

こうした言葉は、比較や非難のニュアンスを含んでいます。親御さんとしては「学校に行ってほしい」という願いから出た言葉かもしれませんが、お子さんには「自分はダメな存在だ」というメッセージとして伝わってしまいます。

不登校のお子さんの多くは、すでに自分を強く責めています。親からさらに責められると、自己肯定感がますます低下し、部屋に閉じこもってしまうことになります。

医師監修のもと、公認心理師が強調したいのは、責める言葉は、お子さんの回復を遠ざけるということです。

NG-2:過度な干渉

「ちゃんと起きてる?」と頻繁に部屋に入る

スマホやゲームの履歴をチェックする

友達関係について根掘り葉掘り聞く

心配だからこそ、お子さんの様子を確認したくなる気持ちはよくわかります。しかし、過度な干渉は、お子さんのプライバシーを侵害し、「信頼されていない」という感覚を与えてしまいます。

特に思春期のお子さんにとって、自分だけの空間や秘密を持つことは、アイデンティティの形成に重要です。親の監視が強すぎると、お子さんは息苦しさを感じ、かえって心を閉ざしてしまいます。

公認心理師の視点では、適度な距離を保ちながら、お子さんが助けを求めてきたときに応じられる体制を作ることが大切です。

NG-3:過剰な同情・悲劇化

「かわいそうに」

「あなたは被害者なんだから」

「学校がひどいことをしたのよ」

お子さんに同情し、味方になろうとする気持ちは自然なことです。しかし、過剰に同情したり、状況を悲劇として扱いすぎると、お子さんは「自分は弱い存在だ」「自分には何もできない」という無力感を持ってしまいます。

心理学では、これを「学習性無力感」と呼びます。過剰な同情は、お子さんの自己効力感(自分で何かを成し遂げられるという感覚)を奪ってしまうのです。

お子さんを守ることと、お子さんを弱い存在として扱うことは違います。適切なサポートをしながらも、お子さんの力を信じる姿勢が大切です。

安心感を与える親の「3つの接し方」

では、不登校のお子さんに安心感を与え、家庭を安心基地にするための接し方とは、具体的にどのようなものでしょうか。公認心理師が実際のカウンセリングで指導している3つの接し方をご紹介します。

接し方1:存在の受容(無条件の肯定)

最も大切なのは、「学校に行く・行かない」に関わらず、お子さんの存在そのものを認めることです。

「学校に行けなくても、あなたはあなたでいい」

「今のままのあなたを、お父さん(お母さん)は大切に思っているよ」

こうした無条件の肯定は、お子さんの自己肯定感を守る最も重要な土台です。

心理学では、これを「無条件の積極的関心」と呼びます。条件付きの愛情(「〇〇したら愛する」)ではなく、存在そのものへの愛情を示すことが、お子さんの心の安定につながります。

言葉で伝えることが難しければ、態度で示すことでも構いません。お子さんが部屋から出てきたとき、笑顔で「おはよう」と言う。それだけでも、「ここは安全な場所だ」というメッセージになります。

接し方2:傾聴とラベリング

お子さんが話しかけてきたとき、どう対応していますか?

不登校のお子さんへの接し方として、公認心理師が最も重視するのが「傾聴」です。

傾聴のポイント:

  • お子さんが話しかけてきたら、スマホや家事の手を止めて聴く
  • 途中で遮らず、最後まで聴く
  • 「それで?」「そうなんだ」と相槌を打つ
  • すぐにアドバイスをしない

そして、もう一つ重要なのが「ラベリング」という技法です。

お子さんが「学校のこと考えると嫌な気持ちになる」と言ったとき、「辛いんだね」「不安なんだね」とお子さんの感情を言葉にして返してあげることを、ラベリングと言います。

自分の感情を言葉にすることが苦手なお子さんは多くいます。親が代わりに感情を言葉にしてあげることで、お子さんは「自分の気持ちを理解してもらえた」と感じ、心が落ち着きます。

この傾聴とラベリングは、心理療法の基本技法です。家庭内でこれを実践することで、お子さんとのコミュニケーションが大きく改善します。

接し方3:ロールモデルとしての行動

「親が自分の人生を楽しむ」――これも、実は不登校のお子さんへの重要な接し方の一つです。

お子さんが不登校になると、親御さんは自分の生活を犠牲にして、お子さんのことだけに集中してしまいがちです。しかし、親が疲れ果て、暗い顔で家にいると、お子さんは「自分のせいで親が不幸になっている」と感じてしまいます。

逆に、親御さんが適度に自分の趣味を楽しんだり、穏やかに笑顔で過ごしている姿を見せることは、お子さんにとって「この家は安全だ」「生きていていいんだ」というメッセージになります。

公認心理師の視点では、親が自分自身のケアをし、心の余裕を持つことが、家庭を安心基地として維持する最良の方法なのです。

お子さんの前で無理に明るく振る舞う必要はありません。ただ、自分自身を大切にし、少しでも心地よく過ごそうとする姿勢が、お子さんへの最高の接し方になります。

家庭を「安心基地」にするための環境整備

接し方は、言葉や態度だけではありません。家庭環境そのものも、お子さんの安心感に大きく影響します。

規則正しい生活の重要性

不登校のお子さんは、生活リズムが乱れがちです。しかし、昼夜逆転などの生活の乱れは、心身の健康にさらに悪影響を与えてしまいます。

公認心理師の視点では、生活リズムを整えることは、回復の重要な土台です。

そのためには、親御さんが率先して規則正しい生活を示すことが効果的です。

  • 毎朝決まった時間に朝食を用意する
  • 親自身が一定の就寝時間を守る
  • 家族で食事をする時間を大切にする

お子さんに「早く寝なさい」と言うのではなく、親が自然に規則正しい生活をしている姿を見せることで、お子さんも徐々に生活リズムを取り戻していきます。

子どもの居場所の確保

不登校のお子さんは、自分の部屋に閉じこもりがちです。しかし、部屋だけが居場所になってしまうと、家族との交流が減り、孤立感が強まります。

リビングやダイニングなど、自分の部屋以外にも「ここにいていい」と感じられる場所を作ることが大切です。

例えば:

  • リビングにお子さんが好きな本や雑誌を置く
  • ダイニングでお子さんが使えるスペースを確保する
  • 家族がいても、それぞれが自由に過ごせる雰囲気を作る

「一緒にいるけど、干渉しない」という適度な距離感が、お子さんにとって心地よい居場所になります。

リラックスできる共通の活動

不登校について話さず、プレッシャーを感じない時間を意識的に作ることも、重要な接し方の一つです。

例えば:

  • 一緒に映画やドラマを見る
  • 一緒に料理をする
  • 散歩に行く
  • ボードゲームをする

こうした何気ない時間が、実は親子の信頼関係を深める大切な機会になります。お子さんが「この家は安全だ」と感じられる体験を、日常の中で積み重ねていくことが大切です。

接し方に迷ったら:個別サポートが必要な理由

ここまで、不登校のお子さんへの一般的な接し方をお伝えしてきました。しかし、実際にはお子さん一人ひとりの状況は異なるため、一般論だけでは解決しないことがあります。

個別の状況への対応

不登校の原因は様々です。

  • いじめや人間関係のトラブル
  • 学習面での困難
  • 発達特性(ASD、ADHDなど)
  • 起立性調節障害などの身体的な問題
  • 繊細な気質(HSC)

また、お子さんの年齢、性格、家族構成によっても、適切な接し方は変わってきます。

公認心理師の視点では、お子さんの個別の状況を正確にアセスメント(評価)した上で、その子に合った接し方を見つけることが重要です。

夫婦間の接し方の統一

もう一つ重要なのが、夫婦間で接し方の方向性を共有することです。

父親は厳しく、母親は優しく――対応が大きく異なると、お子さんは混乱してしまいます。また、夫婦の対立がお子さんに伝わり、「自分のせいで両親がケンカしている」という罪悪感を感じさせてしまうこともあります。

医師監修のもと、公認心理師が夫婦の間に入り、お互いの考えを整理しながら、お子さんにとって最適な接し方の方針を一緒に見つけることができます。

完全に統一する必要はありませんが、大きな方向性(「今は無理をさせない」など)を共有することは、お子さんの安心感につながります。

専門家のサポートで得られるもの

専門家のサポートを受けることで、次のようなメリットがあります。

  • お子さんの状況を専門的に評価できる
  • 家庭の状況に合わせた具体的な接し方を提案してもらえる
  • 実践してみた結果を振り返り、修正していける
  • 夫婦で方針を共有するためのサポートが受けられる
  • 親御さん自身の不安や悩みを整理できる

一般論ではなく、あなたのお子さんに最適な接し方を見つけるために、専門家の力を借りることは、決して弱さではありません。むしろ、お子さんのために最善を尽くそうとする、勇気ある選択です。

【ぜんとカウンセリング】あなたのお子さんに合った「接し方」を見つける

不登校のお子さんへの接し方は、一般論だけでは解決しないことが多くあります。

ぜんとカウンセリングでは、不登校に特化した公認心理師が、あなたのお子さんの状況に合わせた具体的な接し方を、一緒に見つけるサポートを提供しています。

一般論ではなく、あなたのお子さんに

ネットや本で調べた接し方を試してみたけれど、うまくいかない――そんな経験はありませんか?

それは、あなたが悪いのでも、お子さんが特別なのでもありません。ただ、その接し方が、あなたのお子さんに合っていなかっただけなのです。

ぜんとカウンセリングでは、次のようなプロセスで、お子さんに最適な接し方を見つけていきます。

  1. 詳細なヒアリング:お子さんの状況、性格、不登校の経緯などを丁寧に聴き取ります
  2. 専門的なアセスメント:公認心理師の視点から、お子さんの状態を評価します
  3. 具体的な提案:お子さんと家庭の状況に合わせた、実践可能な接し方を提案します
  4. 実践と振り返り:実際に試してみた結果を一緒に振り返り、必要に応じて修正します
  5. 継続的なサポート:状況の変化に応じて、接し方を調整していきます

夫婦で方針を共有するために

お一人での相談はもちろん、ご夫婦での相談も可能です。

公認心理師が中立的な立場で、お互いの考えを整理しながら、お子さんにとって最適な接し方の方針を一緒に見つけていきます。

夫婦で共通の理解を持つことで、家庭全体の雰囲気が安定し、お子さんの安心感も高まります。

オンラインだから、気軽に相談できる

ぜんとカウンセリングはオンラインで提供されるため、自宅から気軽に相談できます。

外出が難しい時期でも、お子さんが家にいる時間帯を避けてでも、柔軟にスケジュールを組むことができます。

接し方に悩んだら、ひとりで抱えないでください

お子さんへの接し方に正解はありません。しかし、あなたのお子さんに合った最適な方法は必ずあります。

ぜんとカウンセリングは、公認心理師があなたと一緒に、お子さんに最適な接し方を見つけるお手伝いをします。

ひとりで悩み続けるのではなく、まずは一度ご相談ください。

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よくある質問

Q
不登校の子どもに「学校」という言葉を使ってもいいですか?

A

お子さんの状態によります。学校の話題を極端に避ける必要はありませんが、「いつ行くの?」などとしつこく聞くのは避けましょう。お子さんから学校の話をしてきたら、傾聴の姿勢で聴くことが大切です。

Q
子どもが部屋から出てこないとき、どう接すればいいですか?

A

無理に部屋から出そうとせず、食事を部屋の前に置くなど、最低限のサポートを続けましょう。ただし、数週間以上部屋から出ない場合は、専門家に相談することをおすすめします。

Q
夫婦で接し方が違うと、子どもは混乱しますか?

A

多少の違いは問題ありませんが、大きな方向性(「今は無理をさせない」など)が真逆だと、お子さんは混乱することがあります。夫婦で基本的な方針を共有することが理想的です。

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