うちの子、勉強ができないのだけれど、もしかして学習障害なのかな。

 

子どもが学習障害なのは、ある程度は理解できているけれど、今学校に行けないこととどんな関係があるのだろう。

 

学習障害(LD)という用語が、教育現場や子育てでも聞かれるようになりました。しかし、ただレッテルを貼るだけで、対応方法がわからないことが多いです。この記事では、スクールカウンセラーの経験を生かして、どのような対応が適切かを解説します。

この記事でわかること
  • 学習障害(LD)の定義と種類がわかる
  • LDの症状と不登校との関連性が理解できる
  • LDの見分け方と対応策を知れる
  • LDに関する相談窓口がわかる

学習障害(LD)とは、読み書きや計算など、特定の学習能力の習得と使用に著しい困難を示す状態のことです。LDは、一見すると怠けているように見えたり、性格の問題と誤解されたりすることもありますが、れっきとした発達障害の一つです。

LDは、不登校の原因の一つになることもあります。LDを抱える子どもは、学習の遅れや困難によって自信を失い、学校生活に強いストレスを感じることがあるからです。

この記事では、スクールカウンセラーの視点から、LDの特徴や見分け方、不登校との関連性、具体的な対応策などを詳しく解説します。

学習障害(LD)とは?

LDは、知的発達に遅れはないものの、脳機能の偏りによって特定の学習能力に困難が生じる状態です。

LDの種類

読字障害(ディスレクシア)

文字の読み書きが困難な読字障害(ディスレクシア)は、文字が読みにくかったり、文字を認識するのに時間がかかったり、文字を逆さまに読んだりするなどの症状が見られます。

書字表出障害(ディスグラフィア)

文字を書くことが困難な書字表出障害(ディスグラフィア)は、文字の形が歪んでいたり、文字の大きさがバラバラだったり、文字を書くスピードが遅かったり、誤字脱字が多かったりといった症状が見られます。

算数障害(ディスカリキュリア)

計算が困難な算数障害(ディスカリキュリア)は、数字の認識が難しかったり、計算の概念が理解できなかったり、計算の過程を覚えられなかったり、暗算が苦手だったりといった症状が見られます。

    LDの原因

    LDの明確な原因はまだ解明されていませんが、遺伝的要因や脳の機能的な違いなどが影響していると考えられています。

    LDの症状

    読み書きや計算の困難

    LDの中核症状です。読字障害、書字障害、算数障害など、LDの種類によって具体的な困難の内容は異なります。

    集中力の欠如

    注意を持続することが難しく、気が散りやすい傾向があります。

    記憶力の弱さ

    特に、聞いたことや見たことを覚えることが苦手です。

    聞く、話す能力の困難

    言葉の意味を理解するのが難しかったり、自分の考えを言葉で表現するのが苦手だったりします。

    不器用さ

    手先の細かい作業が苦手で、運動能力が低い場合があります。

    自己肯定感の低さ

    学習の遅れや困難によって自信を失い、自己肯定感が低くなることがあります。

    LDと不登校の関連性

    LDを抱える子どもは、学習の遅れや困難によって自信を失い、学校生活に強いストレスを感じることがあります。その結果、学校に行きたくない、行けないという状況に陥り、不登校につながるケースも少なくありません。

    また、LDは他の発達障害(ADHDASDなど)を併せ持つことも多く、複合的な要因が不登校のリスクを高める可能性もあります。

    LDの見分け方

    LDは、早期発見・早期支援が重要です。以下の項目に当てはまる場合は、専門家(医師、スクールカウンセラーなど)に相談することをおすすめします。

    読み書きや計算が苦手

    文字の読み書きや計算に困難を感じている場合は、LDのサインかもしれません。例えば、文字を覚えるのが遅かったり、読み間違いや書き間違いが多かったり、計算問題が解けなかったりする場合が考えられます。

    授業の内容が理解できない

    授業の内容が理解できない、ついていけないという場合も、LDの可能性があります。LDは知的発達に遅れはないものの、特定の学習能力に困難が生じる状態なので、授業の内容が理解できず、学習意欲が低下してしまうことがあります。

    忘れ物が多い

    忘れ物が多いのも、LDの特徴の一つです。注意力が散漫になりやすく、忘れ物をしてしまうことがあります。また、整理整頓が苦手で、持ち物がどこにあるかわからなくなってしまうこともあります。

    集中力が続かない

    集中力が続かない、すぐに他のことに気が散ってしまうという場合も、LDの可能性があります。LDを抱える子どもは、注意を持続することが難しく、長時間集中して取り組むことが苦手です。

    板書が写せない

    板書を写すのが遅い、写し間違えることが多いという場合も、LDのサインかもしれません。LDは視覚的な情報処理に困難が生じる場合があり、板書を正確に写すことが難しいことがあります。

    友達とうまくコミュニケーションが取れない

    LDを抱える子どもは、コミュニケーション能力に困難が生じる場合があります。相手の気持ちを理解するのが難しかったり、自分の気持ちをうまく伝えられなかったりすることがあります。

    これらの項目に複数当てはまる場合は、早めに専門家に相談し、適切な支援を受けることが大切です。

    LDへの対応策

    LDへの対応策は、子どもの特性や困り感に合わせて、個別に対応することが大切です。

    学習支援

    個別指導や少人数指導

    一人ひとりのペースや理解度に合わせて、きめ細やかな指導を行うことで、学習の遅れを取り戻し、自信をつけることができます。

    学習教材やツールの活用

    文字が大きく読みやすい教材や、音声で読み上げてくれるツールなど、LDの特性に合わせた教材やツールを活用することで、学習の負担を軽減することができます。

    学習環境の調整

    静かな場所で学習できる環境を整えたり、休憩時間をこまめに取ったりすることで、集中力を維持しやすくすることができます。

    得意な分野を伸ばす

    LDがあっても、得意な分野や興味のある分野を伸ばすことで、自己肯定感を高めることができます。

    心理的サポート

    カウンセリング

    LDに対する理解を深め、悩みや不安を解消することができます。特に、ブリーフセラピー認知行動療法がおススメです。

    自己肯定感を高める

    成功体験を積み重ねたり、褒められたりすることで、自己肯定感を高めることができます。

    ソーシャルスキルトレーニング

    コミュニケーションスキルや対人関係スキルを向上させることで、友達との関係を築きやすくすることができます。

    環境調整

    学校の先生との連携

    LDについて学校に伝え、理解と協力を得ることで、学校生活を送りやすくすることができます。

    家庭でのサポート体制の構築

    家庭でLDについて理解し、子どもを温かく見守り、励ますことが大切です。

    地域のリソースの活用

    地域の発達障害支援センターや相談機関などを利用し、必要なサポートを受けることができます。

    まとめ

    LDは、早期発見・早期支援によって、子どもが自分の力を最大限に発揮できるようになる可能性があります。

    まとめ
    • LDは、知的発達に遅れはないが、特定の学習能力に困難が生じる発達障害
    • LDは、読み書き、書字、算数などの困難を引き起こし、不登校の原因となることもある
    • LDの早期発見・早期支援が重要
    • LDへの対応策は、学習支援、心理的サポート、環境調整など多岐にわたる
    • LDに関する相談は、教育相談センター、児童相談所、発達障害支援センターなどで受けられる

    この記事が、LDに悩む親御さんや子どもたちにとって、少しでもお役に立てれば幸いです。

    参考文献

    https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/attach/1396626.htm