- スクールカウンセラーに相談するメリットが具体的にわかる
- スクールカウンセラーに相談する上での注意点がわかる
- スクールカウンセラーへの相談で期待できること、できないことがわかる
スクールカウンセラーに相談するメリット
スクールカウンセラーに相談するメリットは、たくさんあります。 ここでは、スクールカウンセラーに相談することで得られる具体的なメリットについて解説します。
専門家の視点で話を聞いてもらえる
スクールカウンセラーは、心理学の専門知識を持つ心のプロです。 不登校やいじめ、人間関係など、さまざまな問題について幅広い知識と経験を持っています。
保護者の方々だけで解決しようとしても、どうしても感情的になってしまったり、視野が狭くなってしまったりすることがあります。 スクールカウンセラーは、冷静かつ客観的な視点で状況を分析し、問題解決に向けたアドバイスをしてくれます。
また、スクールカウンセラーは、子どもの発達段階や心理についての専門知識を持っています。 そのため、お子さんの年齢や性格に合わせたアドバイスやサポートを受けることができます。
問題解決の糸口が見つかる
スクールカウンセラーは、お子さんの話をじっくりと聞き、その気持ちに寄り添いながら、問題解決の糸口を探してくれます。 時には、保護者の方々にも話を聞いて、家庭環境や親子関係などを考慮した上で、総合的なアドバイスをしてくれることもあります。
スクールカウンセラーは、さまざまなケースの不登校を経験しています。 そのため、保護者の方々だけでは気づかなかった問題点や、解決策を見つけることができるかもしれません。
秘密は守られる
スクールカウンセラーには守秘義務があります。 相談内容や個人情報は、本人の同意なしに、他の先生や保護者に伝えることはありません。
安心して悩みを打ち明けられる環境が整っていることは、スクールカウンセラーに相談する大きなメリットの一つです。
ただし、例外として、以下のような場合には、秘密が守られないことがあります。
- 本人の生命や安全が脅かされている場合(例:自傷行為、自殺の危険性)
- 犯罪行為に関わる場合(例:虐待、犯罪被害)
これらの場合には、関係機関と連携して、必要な保護や支援を行うために、情報共有が行われることがあります。 ただし、その場合でも、本人の同意を得るように努めます。
具体的なアドバイスがもらえる
スクールカウンセラーは、不登校やいじめ、人間関係など、さまざまな問題に対して、具体的なアドバイスや解決策を提案してくれます。
例えば、不登校のお子さんに対しては、学校復帰に向けたステップを一緒に考えたり、家庭でのサポート方法をアドバイスしたりしてくれます。 また、いじめや人間関係の悩みには、コミュニケーションスキルの向上や、ストレス対処法などを教えてくれることもあります。
相談するだけでも気持ちが楽になることも
スクールカウンセラーに相談することで、悩みを誰かに聞いてもらえるという安心感を得られます。 また、自分の気持ちを整理したり、客観的に状況を把握したりすることで、気持ちが楽になることもあります。
「誰かに話を聞いてもらいたい」 「一人で抱えきれない」
そんな風に感じている方は、ぜひ一度スクールカウンセラーに相談してみてください。 話すだけでも、気持ちが楽になることがあります。
スクールカウンセラーに相談するデメリット
スクールカウンセラーに相談するデメリットは、ほとんどありませんが、いくつか注意点があります。
相性が合わない場合がある
スクールカウンセラーも人間なので、どうしても相性が合わないと感じる場合もあるかもしれません。 もし、相性が合わないと感じたら、無理に相談を続ける必要はありません。
他のスクールカウンセラーに相談したり、別の相談機関を利用したりすることも検討してみましょう。
すぐに問題が解決するとは限らない
スクールカウンセラーに相談したからといって、すぐに問題が解決するとは限りません。 問題解決には、時間や努力が必要な場合もあります。
また、スクールカウンセラーといってもさまざまなアプローチを行います。例えば、ブリーフセラピーや認知行動療法では、初回面接である程度の方向性を決めて5回から10回の面接で終結(問題の解消)を目指します。一方で、数十回の面接を必要とするアプローチもあります。
ある学校では、問題を見立てるために半年以上は必要というカウンセラーさんがいらっしゃいました。
中学三年で相談をしたら、問題を見立てるだけで、実際に見立てをすすめていく頃には卒業してしまいます。高校での不登校に関する相談では、留年が確定してしまうこともあります。それでは、問題解決よりもダメージの方が大きくなってしまいます。
カウンセラーによって、アプローチが異なります。また、同じカウンセラーでも、問題の内容によってアプローチを使い分けることもあります。もちろん、カウンセラーも全く情報がない中で「10回の面接で終わります」などと無責任なことは言えません。
そのため、まずは初回面接である程度の状況を説明した上で、
「大まかでいいのですが、どんな感じで面接が進んでいきますか」
「似たような相談を受けた経験がありますか」
などとスクールカウンセラーにたずねてみるといいでしょう。
守秘義務があるので、「以前に○○さんから、■■の相談を受けて」などと具体的なエピソードを聞くことはできません。しかし、多くの場合はスクールカウンセラーなりに相談者の疑問や不安を解消するような説明をしてくれるはずです。
その際に、はっきりした方向性が示されないなどご自身が納得できない場合は、他の相談機関を利用することも検討しましょう。
スクールカウンセラーは、問題解決のプロセスをサポートしてくれる存在です。 焦らずに、一緒に解決に向けて取り組んでいきましょう。
原則として予約が必要
スクールカウンセラーは、複数の生徒や保護者の相談に対応しているため、予約が必要な場合があります。 事前に学校の相談室などに問い合わせて、予約方法や相談時間を確認しておきましょう。
スクールカウンセラーから、年度初めなどに「相談室だより」などのおたよりを配布している場合もあります。もし見かけたら、すぐにカウンセリングを利用しないとしても、保管しておくと良いでしょう。
スクールカウンセラーに相談する前に知っておくべき注意点
スクールカウンセラーに相談する前に、以下の点について知っておくと良いでしょう。
相談内容を整理しておく
相談したいことを事前に整理しておくと、スムーズに相談を進めることができます。
事前に予約を入れる
予約が必要な場合は、事前に予約を入れておきましょう。
秘密は守られるが、状況によっては情報共有が必要になる場合もある
守秘義務について理解しておきましょう。
カウンセリングに期待できること
スクールカウンセラーに相談することで、以下のようなことを期待できます。
問題解決のサポート
専門的な知識や経験に基づいたアドバイスやサポートを受けられます。
精神的な支え
悩みを聞いてもらうことで、気持ちが楽になったり、安心感が得られたりします。
情報提供
不登校やいじめなどに関する情報提供を受けられます。
学校の先生との連携
必要に応じて、学校の先生と連携して、お子さんのサポートをしてくれます。
カウンセリングで期待できないこと
一方で、スクールカウンセラーに相談しても、以下のようなことは期待できません。
加害者への懲罰はできない
「いじめてきた子に対して何とか言ってほしい」
「担任と相性が悪いので、担任を変えてほしい」
このような、相談を受けることがありますがスクールカウンセラーにはできません。
「苦手な人ともうまくいくこと」
「なるべく被害を受けないようにすること」などを、考えます。
当然ながら、虐待、体罰、いじめ、犯罪などの場合は、通報など法律にのっとった対応を行いますが、スクールカウンセラーが誰かにダメージを与えることはありません。
魔法のような解決策はない
当然ですが、スクールカウンセラーは、魔法使いではありません。問題解決のためには、本人や保護者の協力も必要です。
まとめ|メリット・デメリットを理解した上で相談しよう
スクールカウンセラーに相談するメリット・デメリット、注意点などを理解した上で、相談するかどうかを判断しましょう。
スクールカウンセラーは、お子さんの心のケアを専門とする相談員です。 一人で悩まずに、まずは相談してみませんか?
この記事が、スクールカウンセラーへの相談を検討する上で、少しでもお役に立てれば幸いです。
- スクールカウンセラーは専門知識と経験を持ち、秘密厳守で相談できる
- 問題解決の糸口を見つけたり、具体的なアドバイスをもらえたりする
- 相性の問題や即時解決は難しい場合がある
- 相談内容を整理し、事前に予約を入れる
- スクールカウンセラーは問題解決をサポートする存在であり、魔法の解決策はない
引用文献
文部科学省「2 スクールカウンセラーについて」児童生徒の教育相談の充実について―生き生きとした子どもを育てる相談体制づくり―(報告)
吉田克彦・若島孔文編著:小学校スクールカウンセリング入門 2008 金子書房
教育相談情報提供システム:スクールカウンセラーをめぐる課題 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所
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