「不登校の子には検査をしたほうがいい!」「不登校になったから検査をしたら凸凹があって…」などと聞いたことがありませんか?
不登校の子どもに心理検査が行われることがありますが、心理検査って一体何なのか、検査を受けた方がいいのか保護者の方としては気になるところですよね。
そこでこの記事では、不登校の子に心理検査が必要なのかということと、実施までの流れについて詳しく解説していきます。
心理検査とは?
心理検査とは、一定の刺激を提示し、それに対する反応や回答を元にその人の心理的な特性や状態を測る方法です。
心理的な特性や状態について、客観的に捉えることができ、医療、教育、福祉など様々な場面で使用されます。
ただし、ひとつの心理検査から理解できる部分は、その人のほんの一部分に過ぎません。
多面的にその人を理解するためには、様々な検査を組み合わせて実施することが多いです。
次に心理検査の種類について説明していきますね。
心理検査の種類
心理検査には様々な種類があります。
そのうち、子どもによく使われる心理検査としては、
- WISC
- K-ABC
- 田中ビネー知能検査
が挙げられます。
これらの検査は知能検査に分類され、それぞれ検査内容や特徴が異なりますが、子どもの能力を把握するのに役立ちます。
上記の検査と合わせて使用されることがあるのは、
- 描画テスト(バウムテストなど)
- ロールシャッハテスト
- 文章完成法テスト
- P-Fスタディ
などの検査です。
これらの検査は投影法という分野に分類され、その人のパーソナリティや心の状態を捉えることができます。
その他、ここでは紹介しきれないほど多数の心理検査が存在します。
心理検査を通して子どものどんな部分を知りたいのかということをもとに、どの検査が実施されるのかが決定されることが多いです。
不登校の子に心理検査は必要なのか?
不登校の子に心理検査が必要かと言われると、絶対必要というわけではありません。
しかし、心理検査を受けることは子どもの状態を理解することに役立ちます。
メリットやデメリットをしっかり把握して実施するかどうかを考えることが大切です。
心理検査を受けることのメリット
心理検査を受けることのメリットとしては、以下の3点が考えられます。
- 子どもの特性や状態を客観的に把握することができる
- 検査の結果から子ども自身に自己理解を促すことができる
- 子どもの特性や状態に合わせた支援方法を考えることができる
心理検査を受けることで、観察ではわからない子どもの状態を把握することができ、それをもとに子どもひとりひとりに合わせた支援方法を考えることができます。
また、「あなたにはこんな良いところがあるんだよ」「こんなところは苦手だよね」と心理検査の結果を子ども自身にフィードバックすることは、子どもの自己理解を促すことにも繋がります。
心理検査を受けることの2つのデメリット
心理検査を受けることのデメリットとしては以下の2点があります。
- 長時間の検査は子どもに負担がかかる
- (病院や民間のカウンセリング機関の場合)費用がかかる
心理検査には短時間で実施できるものもあれば、2時間ほどの時間がかかるものもあります。
長時間の検査は子どもにも負担がかかりますので、心理検査を受ける際にはその点を理解しておく必要があります。
また、実施する機関によっては費用がかかることもあります。
費用については後で詳しく説明していきます。
心理検査を受けたほうが良い場合
不登校の場合でも心理検査を絶対に受けたほうが良いということはありませんが、以下の場合は検査を受けることを検討してみると良いでしょう。
- 支援方法に行き詰まりを感じているとき
- 不登校の理由がはっきりしないとき
- 学習の遅れが目立つとき
- 子どもの得意不得意を把握したいとき
心理検査をすれば全てがわかるというわけではありませんが、心理検査の結果が子どもを理解する手がかりとなり、その子にとって効果的な支援方法を検討しやすくなるでしょう。
また、学習の遅れが目立つときや得意不得意の差が大きいことが予想されるときも、心理検査を受けることで子どもの今の能力や状態を把握することに役立ちます。
心理検査を受ける必要がない場合
心理検査を受けないほうが良い場合には次のようなケースがあります。
・子どもが家から出ることが辛いとき
・子どもの体調が悪いとき
不登校の子の中には、人に会うことに強い不安を抱いており家から出られない子もいますが、そういう場合は無理に心理検査を行う必要はありません。
無理なく外出できるようになってから心理検査を受けるのがベストです。
また、発熱などの体調不良のときも、心理検査の中で本来の力が発揮できない可能性が高いので、検査実施日を延期するのが良いでしょう。
心理検査を受けたい時はどうしたら良いのか?
心理検査を受けられる機関には様々なものがあるため、まずはどの機関で検査を受けるのか検討しましょう。
子どもが心理検査を受けられる主な機関としては、
①医療機関
②教育センター
③民間のカウンセリングルーム
④大学の心理相談室
⑤学校のスクールカウンセラー
があります。
それぞれ特徴や費用などの面で違いがありますので、以下に詳しく説明していきます。
① 医療機関
児童精神科や発達外来のある小児科で心理検査を受けることができます。
ただ、心理検査を取り扱っていない医療機関もあるので、心理検査を希望する場合は予約時に確認が必要です。
医療機関での心理検査は、基本的には医師の判断で行われます。
そのため最初から心理検査の予約をすることはなく、まずは初診を受けてから医師の判断で心理検査を実施するかどうかが決まることになります。
心理検査を希望する場合は、初診時に医師に相談しましょう。
心理検査を受ける場合の費用は、検査によって異なります。
知能検査の場合、保険適応となれば3割負担で1350円ほどです。
ただし、結果を書面で受け取る際に文書料が発生することがあります。
この点についてもそれぞれの医療機関に確認が必要です。
近年、児童精神科や小児科の発達外来が大変予約が混み合っている状況であるため早めの予約がおすすめです。
②自治体の教育センター
教育センターは各自治体に設置されており、小学校〜中学校の子どもに関する相談や心理検査を行っています。
公的な機関であるため、費用はかかりません。
教育センターによっては、心理検査を行わないとしている場合や特定の心理検査のみ対応している場合があります。
教育センターの利用の際には、学校を通しての申し込みになることもあるので、一度学校に問い合わせると良いでしょう。
③民間のカウンセリングルーム
民間のカウンセリングルームでも子どもの心理検査を実施している機関があります。
民間のカウンセリングルームはホームページを作っている場合が多いので、お近くにカウンセリングルームがないか検索してみましょう。
ただし、費用はひとつの検査につき2〜3万と少々高額になります。
④大学の心理相談室
臨床心理士を養成する大学院では、学生が実習の一環として相談活動を行うための心理相談室を運営しています。
このような心理相談室では、教員の指導監督を受けながら学生が相談や心理検査を行っています。
心理検査の費用は1000〜4000円であり、心理検査のみの実施は行っていない施設もあるため、詳しくはお近くの施設に問い合わせが必要です。
心理検査に関するよくある質問
- Qスクールカウンセラーに心理検査を実施してもらうことはできますか?
- A
スクールカウンセラーが学校で心理検査を実施できるかどうかは、地域や学校によって異なります。スクールカウンセラーによる心理検査を禁止している自治体や、スクールカウンセラーが心理検査を行わないことにしている場合もありますので、まずは学校に問い合わせて確認しましょう。
- Q心理検査を受けると発達障害かどうかわかりますか?
- A
よく「発達検査を受ければ診断がつく」などと誤解されることがありますが、心理検査を受けただけで診断がつくことはありません。ただし、医師が生育歴や現病歴などの情報に加え、心理検査の結果も踏まえて診断することはあります。診断を受けたい場合は医療機関で医師に相談することが必要です。
- Q一度心理検査を受けたら、定期的に受けたほうがいい?
- A
定期的に受けなければならないというルールはありません。また、あまり短期間で同じ検査を受けると、検査を受ける子どもが検査内容を記憶してしまっており、正確な結果が出にくくなる可能性があります。特に知能検査のひとつであるWISCについては、最低でも1年、基本的には2年の期間を空けてから受けることが望ましいとされています。その他の心理検査についても、子どもの負担を考慮すると短期間で何度も受けるメリットはありません。問題が解決していれば再度受ける必要はなく、ある程度時間が経った頃に子どもの状態を再度確認したい場合など必要性があれば、もう一度実施することを検討すれば良いでしょう。
- Q心理検査の結果を学校に知られたくありません。伝えなくていいですか?
- A
心理検査の結果を学校と共有するかどうかはあくまで保護者の方の判断となりますが、学校と共有することを強くおすすめします。心理検査の結果は、その後の日常生活に活かすことが何より大切です。ぜひ学校とも共有し、子どもの理解や支援に活かしてもらいましょう。
心理検査について迷ったときにはどうしたらいい?
心理検査を受けることが必要かどうか迷ったときには、ぜひスクールカウンセラーに相談してみましょう。
スクールカウンセラーが近隣の医療機関や相談機関の情報を把握していることもあるので、そうした情報を教えてもらうこともできるかもしれません。
些細なことでも、積極的にスクールカウンセラーを活用してみてくださいね。
まとめ
今回この記事では、不登校の子に心理検査が必要なのかということや実施までの流れについて解説しました。
不登校の子に心理検査が絶対必要というわけではありませんが、心理検査をすることで子どもの理解に役立つ面もあります。
メリットデメリットを把握し、子どもの様子を見ながら心理検査を受けるか検討しましょう。
心理検査の結果が出たら、ぜひその結果を学校とも共有し、子どもの支援に活かしてくださいね。