子どもが、突然学校に行けなくなってしまって、ただ泣くだけで、なぜ学校に行きたくないのか教えてくれない。

 

いじめはないようだし、勉強もできている。
部活でも活躍していたのに、なぜ突然学校に行けなくなってしまったのだろう。

 

このような悩みを持っているご家族は多くいらっしゃいます。
実は、明確な理由のない不登校も非常に多いのです。

学校に行きたくないと感じる子どもが増えています。
しかし、なぜ学校に行きたくないのか、その理由がはっきりしないことも多くあります。
保護者としてどう対応すればよいのか、悩むことがあるでしょう。

この記事では、学校に行きたくない理由について詳しく説明し、それに対する具体的なサポートについて考えます。
子どもが学校に行きたくない背景を理解し、どのように支えていけば良いのか、一緒に考えていきましょう。

お子さんの年齢別の詳細は以下の記事をご覧ください。
理由がわからないけど学校に行きたくない小学生へ:親ができる具体的な支援とは?
【中学生】学校に行きたくない!原因がわからない理由と解決策
【高校生】「学校に行きたくないけど、特に理由がない」要因と対応策を解説

文部科学省のデータからみる学校に行きたくない理由のわからなさ

不登校の現状

文部科学省の令和4年度の調査によると、小中学生の不登校は約29万9千人にのぼります。
この数値は前年よりも増加しており、特に小学生での不登校が増えています。

不登校の原因は一つではなく、家庭環境、友人関係、学業のストレスなどが複合的に絡み合っていることが多いです。
また、学校生活に対するプレッシャーや孤独感が大きな要因となることもあります。
これらの背景を正確に把握するためには、信頼できる統計データを活用することが重要です。

無気力・不安が理由の場合が多い

文部科学省の調査によると、不登校状態になった理由のうち、「無気力・不安」が49.7%を占めています。
つまり、不登校のおよそ半分が「無気力や不安」を抱えていることがわかります。

勉強の難しさに直面したり、友人関係での問題に直面すると、自信を失い「どうせ何をやっても無駄だ」と感じてしまうことがあります。
こうした感情が、子どもが学校に行く意欲を奪ってしまうのです。

特に思春期の子どもたちは、自分自身に対する否定的な感情を持ちやすく、無気力になりがちです。
心理学的には、こうした無気力感は「学習性無力感」と呼ばれ、繰り返しの失敗が原因で自信を失ってしまうのです。

学校に行きたくない理由がわからない3つの可能性

理由がいろいろあって一つにまとめられない

学校に行きたくない理由がはっきりしないのは、いくつもの小さな問題が重なっているからかもしれません。
例えば、友人とのトラブル、授業の理解不足、家庭内での変化など、複数の小さな要因が影響していると、子ども自身も「どうして行きたくないのか」を一言で説明するのが難しくなります。
日常生活で感じる小さなストレスが積み重なって、それが大きな負担になることもあります。

2024年3月に行われた調査では、不登校の子ども本人、その保護者、教師の3者に、不登校になった要因について複数回答でたずねました。
その調査によると、不登校になった要因について、

  • 教師は、2.8個
  • 本人は、7.5個
  • 保護者は、7.2個

の理由をあげています。

このように、不登校といっても、とても多くの要因が絡み合っているのです。
また、学校と家庭では要因のとらえ方が異なることも、おわかりいただけるでしょう。

自分でも理由がわからない

子ども自身が、なぜ学校に行きたくないのかを理解できていない場合もあります。
特に小学生の場合は、自分の感情をうまくなんと表現したらよい変わらず黙ってしまいます。
「なんとなく嫌だ」と感じるものの、その原因が何かを特定できないのです。

小学生の「理由のわからない不登校」をくわしく解説しています。

言いたくない理由がある

子どもが自分で理由を分かっていても、それを大人に言いたくないこともあります。
友人関係のトラブルや、教師との関係が原因の場合、恥ずかしさや恐怖心から話したくないことがあります。
特に中学生や高校生になると、自分の弱さを素直に認めたり、家族に伝えることが難しくなります。

このような場合、無理に理由を聞き出そうとすると逆効果です。
「うるせぇ」「ほっとけ」「うざいんだよ」などとキツい言葉で黙らせてくることもあります。
場合によっては、自分の部屋に閉じこもって出てこない場合もあります。

このようなときには、無理に聞き出そうとするのではなく、子どもが話したいと感じたタイミングを待つ姿勢が必要です。

中学生の「理由のわからない不登校」については別の記事でくわしく解説しています。

理由を探ることのメリットとデメリット

理由を探ることで、子どもの気持ちを理解するための重要な情報が得られます。
一方で、無理に理由を追求すると子どもにプレッシャーを与えてしまうこともあります。

子どもが話す準備ができたときに自然に話せるような環境を整えることが大切です。
また、普段から信頼関係を築くことで、子どもが話しやすい雰囲気を作りましょう。

学校に行きたくない理由がわからない子どもの特徴

体調の変化や気持ちの落ち込み

学校に行きたくない理由がわからない子どもは、体調不良を訴えることがよくあります。
例えば、朝になると「頭が痛い」「お腹が痛い」と訴えることが多いです。

これは、心理的なストレスが体の症状として現れている場合が多く、特に思春期の子どもに多く見られます。
体調不良は子どもにとって、直接「行きたくない」という気持ちを表す手段です。
この時は無理に学校に行かせるのではなく、子どもの気持ちに寄り添いながらサポートしていくことが大切です。

学校の決まりに適応できないこと

学校の決まりが合わないことも、子どもが学校に行きたくない理由の一つです。
例えば、制服が窮屈に感じる、学校行事に対するプレッシャーが強いなどが挙げられます。

このような問題は学校側も柔軟に対応することが求められます。
例えば、制服の選択肢を増やす、行事の参加を柔軟にするなど。
家庭と学校が連携をして、子どもが自分らしく過ごせる環境を整えることが重要です。

教師、保護者、子どもの視点

教師の視点

多くの教師は、子どもの学習面だけでなく、心の健康や友人関係にも注意を払っています。
不登校の原因を学業の遅れや宿題ができないことだけに限定せず、子どもの行動や感情に寄り添いながら、多角的に捉えようとしています。
教師が子どもの心の健康に配慮することで、より適切なサポートを提供することが可能です。

保護者の視点

多くの保護者は、子どもの体調や気持ちの変化に敏感です。
朝起きられない、家でイライラしているといった家庭での様子から、子どもが学校に行きたくない理由を探ろうとします。

しかし、保護者の「学校に行かせなければならない」という強い思いが、時には子どもにプレッシャーを与えてしまうこともあります。
保護者自身も心に余裕を持ち、子どもの気持ちを受け入れることが大切です。

子どもの視点

子どもにとって、友だち関係や先生との関係、授業が分からないことなどが日々のストレスになります。
特に友人関係での問題は繊細で、大人に話すのが恥ずかしいと感じることもあります。

子どもの気持ちに寄り添いながら、無理なく話せるような環境を作ってあげることが重要です。

友だち関係やいじめの影響

友だちとのトラブルやいじめは、学校に行きたくない大きな理由です。
クラスで孤立してしまったり、いじめにあうと、子どもは学校に強い不安を感じます。

このような状況が続くと、学校に行くこと自体が恐怖になってしまいます。
早期に問題を発見し、適切な対策を取ることが重要です。

例えば、担任の先生やスクールカウンセラーと連携し、子どもの状況をしっかりと把握してサポートすることが必要です。

家庭環境の影響

家庭内でのストレスも、不登校の原因となり得ます。
例えば、両親の不和や兄弟姉妹との関係が悪い場合、子どもは家庭でのストレスを抱えて学校に行くことが難しくなります。

家が安心できる場所でないと、学校でも集中できず、登校自体が負担になってしまいます。
また、保護者からの過度な期待も子どもにプレッシャーを与えることがあります。

子どもにとって家庭が安心できる環境であることが大切です。保護者も自分の期待を押し付けず、子どもの気持ちに寄り添うようにしましょう。

保護者としてできること

子どもの気持ちに寄り添う

子どもが学校に行きたくないと感じているときは、まずその気持ちに寄り添うことが大切です。
「どうして行きたくないの?」と問い詰めるのではなく、「最近どう感じているの?」と優しく尋ねることで、子どもが自分の気持ちを話しやすくなります。

子どもが抱える感情を否定せず、共感することが信頼関係を築く第一歩です。
たとえば、子どもが「学校で居心地が悪い」と言った場合には、「どうしてそう感じるのかな?」と聞いてあげて、子どもが安心して話せる環境を作ることが重要です。

学校との連携

学校との連携も、不登校の問題に対処する上で非常に重要です。
担任の先生やスクールカウンセラーと話し合い、子どもの状況を共有することで、より適切なサポートを提供できます。

学校と連携することで、子どもが安心して学校に戻るための環境を整えることが可能になります。
例えば、特定の授業だけ出席するなど、柔軟な登校方法について学校と相談することができます。

小さな成功体験を積む

子どもが学校に戻るためには、自信を取り戻すことが大切です。
そのためには、小さな成功体験を積むことが効果的です。

例えば、家庭で簡単な手伝いをして「ありがとう」と感謝される経験や、趣味の活動での成功など。
子どもが自分を肯定できる体験を増やすことが役立ちます。

多くの経験を少しずつ積み重なることで、子どもは自分に自信を持ち、学校に行くことへの恐怖心を減らしていくことができます。

無理をしないサポート

子どもに学校に無理に行かせるのではなく、子どものペースに合わせて登校できるようにすることが重要です。
例えば、最初は短時間だけ学校に行き、少しずつ登校時間を増やすなど、子どもが負担に感じない形で学校生活に慣れていけるようサポートしましょう。
また、学校に行かなくても学びを続けられる選択肢(オンライン学習や家庭学習など)を提供することで、子どもが学ぶ意欲を保てるようにすることも効果的です。

専門家への相談

子どもが学校に行きたくない理由を明確にするのが難しい場合や、家庭でのサポートだけでは解決が難しいと感じる場合、専門家に相談することも選択肢の一つです。スクールカウンセラーや臨床心理士など、子どもの心理に詳しい専門家に相談することで、子どもにとって適切なサポートを見つけやすくなります。専門家と連携することで、保護者も子どもの気持ちを理解し、どのように対応すれば良いのかの具体的なアドバイスを受けられます。

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相談窓口の活用

保護者だけで悩みを抱え込むのではなく、地域の教育相談窓口や子どもの福祉施設に相談することも大切です。
各自治体には不登校に関する相談窓口が設けられており、そこでは子どもの状況に応じた具体的なアドバイスを受けることができます。
また、オンラインでの相談も可能なところが増えているため、まずは気軽に相談できる窓口を見つけると良いでしょう。

相談機関についてはこちらの記事でくわしく解説しています。

おわりに

学校に行きたくないと感じる子どもには、それぞれの理由があり、簡単には解決できないことも多いです。
保護者の皆さんは、子どもが抱える不安や悩みに寄り添い、無理に学校に行かせるのではなく、子どもが安心して過ごせる環境を提供することが大切です。

お子さんの年齢別の詳細は以下の記事をご覧ください。
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【中学生】学校に行きたくない!原因がわからない理由と解決策
【高校生】「学校に行きたくないけど、特に理由がない」要因と対応策を解説

【中学生の不登校】保護者のための完全ガイド

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