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ハラスメント相談窓口は無料の公的窓口で足りる?違いを解説

労働局や厚労省の相談窓口を案内すれば、自社で相談窓口を設置しなくてもよいのか。無料の窓口があるなら、外部委託まではいらないのではないか。従業員にはどの相談先を案内すればよいのか。無料の公的窓口があると知ると、こうした疑問が出てきます。

公的な無料相談窓口は、従業員個人の相談先としては有用です。ただし、その案内だけでは、企業が自社として整備すべき相談体制の代替にはなりません。会社には、自社で相談を受け、記録し、対応につなげる体制が別に求められます。

この記事では、公的窓口を否定するのではなく、公的窓口・社内窓口・社外窓口の役割の違いを整理します。読み終えたときに、自社で何を整えるべきか、無料窓口をどう位置づければよいかを判断できます。義務の有無や全体像から確認したい場合は、ハラスメント相談窓口で迷う担当者向けQ&Aを確認する記事もあわせてご覧ください。

目次

無料の公的相談窓口を案内すれば、会社の義務は満たせますか?

満たせません。公的窓口は従業員個人の相談先にはなりますが、企業の相談体制の代替にはならないためです。

公的窓口は従業員個人の相談先にはなります

労働局の総合労働相談コーナーなどの公的窓口は、従業員が個人として相談できる窓口です。会社に相談しづらいときや、社外の機関に話を聞いてほしいときの選択肢として、一定の役割を果たします。

ただし、企業の相談体制整備義務の代替にはなりません

公的な無料相談窓口は、従業員個人の相談先にはなりますが、企業が自社として整備すべき相談体制の代替にはなりません。「公的窓口を案内しているから自社では整備しなくてよい」という整理はできない点に注意してください。

企業には自社として相談を受け、対応につなげる体制が必要です

会社には、自社の方針を示し、相談を受け止め、必要に応じて事実確認や再発防止につなげる責任があります。これは公的窓口に肩代わりしてもらえる部分ではありません。義務として何を整えるべきかは、ハラスメント相談窓口の義務化・設置義務を確認する記事で確認できます。

公的な無料相談窓口にはどのようなものがありますか?

主なものは、労働局の相談コーナー、厚労省系の情報窓口、法律相談につながる窓口、自治体・業界団体の窓口です。

労働局・総合労働相談コーナー

各都道府県の労働局や、その総合労働相談コーナーでは、労働者・事業主からの労働問題の相談を受け付けています。職場のトラブル全般を相談できる、代表的な公的窓口です。

厚労省系のハラスメント相談情報・あかるい職場応援団

厚生労働省は、ハラスメント対策の情報を提供する「あかるい職場応援団」などを通じて、相談先や対応の考え方を案内しています。制度や対応を調べる際の入口になります。

法テラスなど法律相談につながる窓口

法的な対応を検討する段階では、法テラス(日本司法支援センター)など、法律相談につながる窓口もあります。利用条件は窓口ごとに異なります。

地域・自治体・業界団体の相談窓口

自治体や業界団体が、労働相談やハラスメント相談の窓口を設けている場合もあります。地域や業種によって利用できる窓口が異なります。

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主な公的・準公的の相談先 役割(従業員個人の相談先として)
都道府県労働局・総合労働相談コーナー 職場トラブル全般の相談・情報提供を無料で受けられる
あかるい職場応援団(厚労省の情報サイト) ハラスメントの定義や対処法などの情報を確認できる
法テラス(日本司法支援センター) 法的トラブルの相談窓口や専門家の案内を受けられる
自治体の労働相談窓口 地域ごとに労働相談を受け付けている

いずれも従業員個人の相談先であり、企業の設置義務を代わりに果たすものではありません。

公的窓口と企業の相談窓口は何が違いますか?

公的窓口は外部の相談先であり、企業の相談窓口は自社の問題を受け止めて対応する体制です。役割が異なります。

公的窓口は外部の相談先です

公的窓口は、従業員が個人で相談できる外部の窓口です。相談に乗り、情報提供や助言を行いますが、その会社の内部体制ではありません。

企業の相談窓口は、自社の問題を受け止め対応する体制です

企業の相談窓口は、自社で起きた相談を受け止め、記録し、事実確認や再発防止につなげる体制です。会社として問題に対応する入口にあたります。

公的窓口は社内の事実確認や再発防止を代行するものではありません

公的窓口は、会社に代わって社内の事実確認を行ったり、行為者への対応や再発防止策を実施したりするものではありません。これらは会社が自社で担う部分です。

役割を混同すると「相談先はあるが会社が対応しない」状態になります

両者を混同し、公的窓口の案内だけで済ませると、相談先はあるのに会社としては何も対応しない状態になりかねません。従業員から見て、会社が向き合っていないと受け取られるおそれがあります。

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観点 公的窓口 社内窓口 社外相談窓口(外部委託)
役割 個人への情報提供・相談 自社の相談受付 自社の相談受付を外部に委託
主な相談者 従業員個人 自社の従業員 自社の従業員
会社側の対応 直接は関与しない 自社で受付・対応 委託先と連携して対応
義務対応との関係 義務を代替しない 義務対応になりうる 義務対応になりうる

なぜ無料窓口の案内だけでは足りないのですか?

会社として相談を受ける入口と、その後の対応・記録・保護を自社で担う必要があるためです。

会社として相談を受ける入口が必要だからです

義務として求められているのは、会社が自社の相談を受け止める体制です。外部の相談先を紹介するだけでは、自社内に相談を受ける入口を用意したことにはなりません。

相談後の記録・事実確認・再発防止につなげる必要があるからです

相談は受けて終わりではなく、記録し、必要に応じて事実確認を行い、再発防止につなげます。これは会社が自社の情報をもとに進める必要があり、外部窓口だけでは完結しません。

プライバシー保護と不利益取扱い禁止を自社で徹底する必要があるからです

相談者のプライバシー保護や、相談を理由とした不利益取扱いの禁止は、会社が自社の運用として徹底する必要があります。公的窓口に案内しても、社内での扱いまでは守られません。

従業員に「会社は対応してくれない」と受け取られる可能性があります

公的窓口を案内するだけだと、従業員には会社が対応を外部任せにしていると映ることがあります。相談しても社内では動いてもらえないと感じられると、相談自体が減り、問題が見えにくくなります。

無料窓口を従業員に案内すること自体は問題ですか?

問題ありません。むしろ有用です。ただし、自社窓口とセットで案内するのが安全です。

案内すること自体は有用です

公的窓口は、社内には相談しづらいケースの受け皿になります。相談先の選択肢を広げる意味で、従業員に案内すること自体は有用です。

ただし、自社窓口とセットで案内するのが安全です

公的窓口だけを案内すると、会社が対応しない印象につながりかねません。自社の相談窓口とあわせて案内し、まず会社が受け止める姿勢を示すのが安全です。

案内文では、社内窓口・外部窓口の役割を分けて伝えます

案内する際は、社内窓口がどのような相談を受けるか、外部の公的窓口がどのような場合に使えるかを分けて伝えると、従業員が使い分けやすくなります。

相談者に不利益取扱いをしないことも明記します

相談したことを理由に不利益な取扱いをしないこと、秘密を守ることを案内文に明記しておくと、相談のためらいを減らせます。

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【従業員向け案内文の例】
ハラスメントに関するご相談は、社内相談窓口(担当:◯◯)までご連絡ください。あわせて、外部の公的窓口(都道府県労働局など)もご利用いただけます。ご相談の秘密は守られ、相談したことを理由に不利益な取り扱いを受けることはありません。

社内窓口を置けば、公的窓口の案内は不要ですか?

不要ではありません。社内窓口が機能していることを前提に、補完先として案内する価値があります。

不要ではありません。相談先の選択肢として案内する価値があります

社内窓口があっても、社内には言いづらい相談はあります。公的窓口を選択肢として案内しておくことで、相談先の幅を保てます。

ただし、社内窓口が機能していることが前提です

公的窓口はあくまで補完先です。まず自社の窓口が機能していることが前提で、社内窓口の代わりに公的窓口を置くという関係ではありません。

社内に相談しづらい場合の補完先として位置づけます

社内の人には話しにくい内容を、外部にも相談できるようにする。公的窓口はこうした補完先として位置づけると、役割が整理しやすくなります。

社内窓口だけで足りるかは社内窓口記事で確認できます

社内窓口だけで運用できるか、社外窓口を検討すべきかを判断したい場合は、社内窓口だけで足りるか判断する記事で確認できます。

無料窓口ではなく社外相談窓口を検討すべきケース

次のいずれかに当てはまるなら、無料窓口の案内だけでなく、社外相談窓口の活用を検討する価値があります。

従業員が社内に相談しづらい可能性がある

社内の距離が近く、相談したことが知られる不安が強い場合です。社外の相談窓口があると、相談先の選択肢が増えます。

相談受付・一次対応・記録まで自社で担う余裕がない

相談の受付から一次対応、記録までを社内だけで安定して担うのが難しい場合です。

担当者が少なく、相談対応を兼任で抱えている

総務・人事が他業務と兼任で相談対応まで抱えており、負担が大きい場合です。

相談内容を外部の専門職につなげたい

相談内容に応じて、外部の専門職につなげられる体制を整えたい場合です。

社外相談窓口の外部委託と無料窓口は何が違いますか?

無料窓口は主に外部の相談先で、外部委託は自社の相談体制の一部として設計できる点が違います。

無料窓口は主に外部の相談先です

無料の公的窓口は、従業員が個人で利用する外部の相談先です。会社の相談体制の一部として組み込まれるものではありません。

外部委託は、自社の相談体制の一部として設計できます

社外相談窓口の外部委託は、自社の相談窓口として設計できます。会社の窓口として従業員に案内し、相談を受け付ける形にできます。

受付・一次対応・記録・専門家連携を整えやすくなります

外部委託を使うと、相談の受付、一次対応、記録、専門家との連携を整えやすくなります。担当者が一人で初期対応を抱えずに済みます。

ただし、事実認定や懲戒判断など企業側に残る判断もあります

外部に委託しても、ハラスメントに該当するかの事実認定、行為者への処分、再発防止策の決定は企業側に残ります。対応範囲や費用は、ハラスメント相談窓口の外部委託でできることを確認する記事で確認できます。

無料窓口で足りるか確認する

公的窓口の案内だけで済ませていないかは、次の5点を点検すると判断しやすくなります。自社の相談窓口を別に用意しているか。従業員に相談窓口を周知しているか。相談後の記録・対応フローを決めているか。秘密保持・不利益取扱い禁止を明示しているか。公的窓口を「会社が対応しない代わり」として案内していないか。

これらに「はい」と答えられる会社は、無料窓口を補完先として適切に位置づけられています。一方、「いいえ」が含まれる場合は、自社の相談体制に不足がある可能性があります。その場合は、自社窓口の整備や、社外相談窓口の外部委託を検討してみてください。

★要確認(公開前に確認し、この★行を削除)

次の項目に「はい」と言えるか確認してみてください。

□ 自社に相談を受け付ける窓口(担当者・受付方法)がある
□ 公的窓口だけでなく、自社の窓口も従業員に案内している
□ 相談を受けた後の対応手順(記録・事実確認・配慮)が決まっている
□ 相談対応を担当できる人員・体制が社内にある
□ 相談記録を残し、再発防止につなげられる

「いいえ」がある場合は、自社体制の整備や外部委託の検討につなげましょう。

次に読むべき記事

関心に応じて、次の記事もあわせてご覧ください。

お問い合わせ・ご相談

無料の公的相談窓口は、従業員個人の相談先として有用です。ただし、企業の相談体制そのものは、自社で整える必要があります。公的窓口の案内とあわせて、まず会社が相談を受け止める入口を用意しておくことが大切です。

自社で相談受付・一次対応・記録まで整えるのが難しい場合は、社外相談窓口の外部委託も選択肢になります。無料窓口との違いを理解したうえで、自社の相談体制をどう整えるか検討したい場合は、外部委託でできること・費用・導入方法をまとめた記事をご覧ください。

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