子どもが学校に行かなくなってから、食欲もなくなったみたいでご飯をほとんど食べない。

外出もせず、食べてゴロゴロしているからドンドン太ってきていて心配だ

このような悩みを持っているご家族は多くいらっしゃいます。
本記事では、不登校のお子さんの拒食や過食についてご説明します。

不登校の場合、食事をしないあるいは食べすぎるといった、食に関わる問題を抱えていることが多いです。
本記事ではお子さんが食に関する問題を抱えてしまったときの対応策についてご紹介していきます。

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不登校と拒食・過食

不登校になり学校に行かないことで、部屋に引きこもり食事をとらなくなるお子さんがいます。
逆に、ゲームをやり続けたり、動画を見続けて運動をせず夜遅くまでお菓子を食べる場合もあります。

また、クラスメイトに容姿をからかわれたり、体型を理由にいじめにあったりといった理由で不登校になることがあります。その場合、自分の体型をとても気にするあまりほとんど食事もとらず、摂食障害を起こしてしまう例もあります。

このような時に、家族はどう対応すればよいか、家族カウンセリングとして拒食・過食の相談を受けてきた経験を踏まえて解説します。

摂食障害のメカニズムと不登校の関係

成長期であるお子さんが心身共に健康に成長する上で欠かせないのが、栄養のある食生活です。
拒食や過食によって栄養が偏ると、元気がなく常にぼーっとしてしまう、背が伸びないなどの健康面・発達面の問題はもちろん、場合によっては痩せすぎて生命の危機にさらされることもあります。

拒食や過食は、体重の増減をはじめとした身体の変化が大きいため、早めに相談・病院受診をすればそれだけ回復も早くなります。しっかり回復させるためには医師の判断を仰ぐ必要があり、栄養管理やカウンセリング等でしっかり病気を治療し克服していく必要があります。

のちほど解説しますが、摂食障害そのものを改善する特効薬はありません。

摂食障害に対しては基本的には認知行動療法や家族療法を用いた心理教育や精神療法がメインになります。「病院に行くのは、抵抗がある」あるいは「平日に休みが取れない」「病院の予約が取れない」などの場合は、摂食障害の相談も行っており土日や夜間も対応できる相談機関を受診することをおすすめします。

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回復に向けて

拒食症、過食症は体重や食事、栄養状況だけの問題ではありません。
治療では栄養や体重管理等のからだの問題だけでなく、拒食症や過食症になった経緯や背景から、病気を理解し克服に向けカウンセリングや行動療法を通してこころとからだ両面の問題を解決していきます。

ここでは、国際的に非常に評価の高いイギリス国立医療技術評価機構(NICE)のガイドラインに基づき解説いたします。

治療に関しては、摂食障害に関する治療薬はなく、基本的には心理療法が中心となります。状況によって、偏った考え方などを和らげるための薬を処方させることがありますが、薬物療法のみで改善することはありません。

心理療法

摂食障害の治療には心理療法が非常に効果的です。心理療法の中でも認知行動療法や家族療法が良く用いられます
拒食症・過食症に関する正しい知識を身につけ、健康的な食生活に改善していきます。また、摂食障害の改善には本人だけではなく家族の協力も不可欠です。そこで、家族とともに症状の経緯や悪循環を振り返り、再発を予防します。

成人の摂食障害治療には認知行動療法をベースとしたセルフケアや心理教育などが主に使われます。
小児及び若者の摂食障害治療には摂食障害に焦点を当てた家族療法が効果的です。

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薬物療法

拒食症・過食症を直接治療する薬は現在のところありません。
抗うつ薬などを使い、こころや身体の症状を落ち着かせるための薬を使用し治療することがあります。

入院治療

在宅での治療が難しい場合や命に関わる場合、病院に入院して治療していくことになります。
基本的な治療内容は在宅で行う場合と変わりませんが、より集中的、専門的なケアが望めます。

本人が医療機関や相談機関を拒否する場合は…

お子さん本人が医療機関や相談機関への受診をかたくなに拒むことがあります。その場合は、無理やり連れて行ったりせずに、丁寧に相談や受診の必要性を説明してください。
食に関わる問題は命に関わるため、放置すれば大変危険です。

どうしても受診が難しい場合、まずは保護者だけで相談機関や医療機関へ訪問し、状況について相談しましょう。
思春期外来などで摂食障害の患者を扱っている医療機関や、摂食障害の相談を多く受けている相談機関であれば、子どもへのアプローチを一緒に考えてくれます。「保護者だけで考え込んでしまい、何もしないうちに時間だけが過ぎて、取り返しのつかない状況になった」ということのないように、早めに専門家に相談をしましょう。

また、「病院はイヤだけれどもカウンセリングなら受けたい」とお子さんが言うこともあります。
対応していない医療機関や相談機関も多いので、事前に医療機関や相談機関に「子どもの摂食障害のことで相談したいのですが、本人が拒否しているので保護者だけでも大丈夫ですか」と電話やメールなどで確認しておきましょう。

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「食」や「体型」以外の話題でコミュニケーションを

摂食障害には食事以外の話題でのコミュニケーションが大事

食べ過ぎる(過食)あるいは全く食べない(拒食)の状態になると、お子さんもご家族も食べ物や本人の体型ばかりに注目していきます。そのため、「食べすぎだからいい加減にしなさい」とか「もっと食べなきゃだめだよ」などと、さらに食事のことばかり意識してしまいます。食のことで頭がいっぱいになり、どんどん食や体型への執着を強めてしまいます。
食から離れ、他のことに目を向けることで食への執着を徐々に減らしていくコミュニケーションを取ることが大切になります。推しのアーティストについてでもいいですし、テレビドラマなどの話題でもいいでしょう。雑談を増やしましょう。

親子の会話に関しては、こちらの記事で詳しく解説しています。

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また、食に関する話題についても「なぜ食べないのか」「なぜ食べ過ぎてしまうのか」などの食べる量や原因探しの話題ではなく、料理の作り方やこれまでに食べた美味しい料理の思い出など楽しい話題にするといいでしょう。

おわりに

以上、不登校の子どもと拒食、過食問題について取り上げました。

このように、食に関わる問題は命に関わる問題であり、体や心の成長にも影響が出ます。
食事を十分に取れない場合脳に栄養が行き渡らないため元気が出ず、ネガティブな気持ちが続いたり鬱のような症状が出ることもあります。

また、家庭内では食事以外のポジティブな内容でのコミュニケーションを意識しつつ、早めに病院を受診し適切な治療を受けることが大切になります。

文献

Eating disorders: recognition and treatment NICE(National Institute for Health and Care Exsellence) 
摂食障害|こころの病気を知る|メンタルヘルス|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
摂食障害 情報ポータルサイト(一般の方)
神経性過食症‐脳科学辞典
神経性やせ症‐脳科学辞典

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