- 不登校のよくある原因がわかる
- 原因別の具体的な対処法がわかる
- 詳しく知りたいときにどのページを読めばよいかわかる
「子どもが学校に行きたがらない…」 「もしかして、何か理由があるのかも?」
お子さんが不登校気味で、その原因を探している保護者の方へ。この記事では、不登校のよくある原因別に、具体的な対処法や相談先を紹介します。20年以上の経験を持つスクールカウンセラーの視点からアドバイスしますので、ぜひ参考にしてください。
理由がわからない不登校
お子さんが学校に行きたがらない理由がわからない、という場合もあるかもしれません。実は、明確な理由がない不登校も少なくありません。
文部科学省の調査によると、不登校の理由として「無気力・不安」が約半数を占めています。つまり、「なんとなく学校に行く気にならない」「なんとなく不安」といった理由で不登校になっている子どもたちが多いのです。
また、当サイトが独自に行ったアンケート調査でも、不登校経験者の約12%が「きっかけがわからない」と回答しています。
理由がわからない不登校について、詳しくはこちらの記事で解説しています。
【関連記事】
→ 不登校「理由がわからない」のはなぜ?子どもの心理と対応策を徹底解説
先生との関係が原因の場合
「先生と合わない」「先生が怖い」といった理由で学校に行きたくないと感じるお子さんもいます。先生との何気ない一言が心に引っかかってしまったり、厳しく叱られたりしたことがトラウマになっているケースもあります。
学校での人間関係は担任の先生だけではありません。他の先生や部活動の顧問、クラブ活動のコーチとの関係が原因で不登校になるケースも考えられます。
- 「学校に行きたくない」「〇〇先生の授業があるから行きたくない」と訴える
- 特定の先生の話をすると表情が曇る、口数が少なくなる
- 特定の先生の授業を休みたがる
- 先生の名前を聞くと動揺する、嫌がる
- 腹痛や頭痛など、身体の不調を訴える
これらのサインに気づいたら、まずはお子さんの話をじっくり聞いてみましょう。
先生との関係が原因の場合の対処法
スクールカウンセラーに相談する
スクールカウンセラーは、お子さんと先生方との間に立って、問題解決をサポートしてくれます。担任の先生に相談しづらい場合は、スクールカウンセラーに直接相談することも可能です。
他の先生や養護教諭(保健室の先生)に相談する
担任の先生に相談しづらい場合は、他の先生や養護教諭に相談してみましょう。スクールカウンセラーがいる学校であれば、直接連絡できる場合もありますので、学校のホームページなどを確認するか、教頭先生などに問い合わせてみましょう。
お子さんの気持ちを尊重し、じっくり話を聞いてみましょう
なぜ先生と合わないのか、何が怖いのかを理解することが大切です。
先生と協力し、できる範囲でサポートしましょう
先生も人間です。完璧を求めすぎず、協力できる範囲でサポートしましょう。
教員との関係に関しては、こちらの記事でより詳しく解説しております。
→ 担任との関係が悪く不登校になった場合の適切な対応は?
生活リズムの乱れが原因の場合
「夜なかなか寝つけない」「朝起きられない」「昼夜逆転している」といった生活リズムの乱れは、心身に悪影響を及ぼし、不登校につながることもあります。
生活リズムの乱れが原因の不登校のサイン
- 夜更かしをして、朝起きられない
- 昼間眠そうで、ぼーっとしている
- 食欲不振や過食
- イライラしやすく、感情の起伏が激しい
- 集中力が低下する
これらのサインに気づいたら、まずは生活リズムを整えることから始めましょう。
生活リズムが乱れて学校に行けない場合の対処法
- 規則正しい生活を送る: 毎日決まった時間に寝て、決まった時間に起きるようにしましょう。
- 寝る前の環境を整える: 寝る前は、スマホやパソコンの使用を控え、部屋を暗くしてリラックスできる環境を作りましょう。
- 適度な運動をする: 適度な運動は、ストレス解消や睡眠の質の向上に役立ちます。
- バランスの取れた食事を摂る: 特に、朝食は必ず食べるようにしましょう。
- 専門機関に相談する: 睡眠障害や起立性調節障害など、医療的なケアが必要な場合は、専門機関を受診しましょう。
生活リズムに関しては、以下の記事をご覧ください。
【関連記事】
→ 不登校で朝起きられないのは、なまけ? 原因と解決策を解説
→ 不登校と起立性調節障害 特徴から改善方法やカウンセリング内容を詳しく解説
→ 不登校と昼夜逆転:子どもの生活リズムを整えるためのヒント
→ 不登校の子どもが朝食を食べない
お腹の調子が原因の場合
過敏性腸症候群(IBS)
過敏性腸症候群(IBS)は、ストレスなどによって腹痛や便秘、下痢などの症状を引き起こす病気です。学校に行くことへの不安や緊張がIBSの症状を悪化させ、不登校につながるケースもあります。
- 朝、お腹が痛くなる
- トイレが近い
- 便秘や下痢を繰り返す
- すぐにトイレに行きたくなる不安のため、学校に行けなくなる
これらのサインに気づいたら、まずは医療機関を受診しましょう。
過敏性腸症候群(IBS)が原因の場合の対処法
- 医療機関を受診する: まずは、医療機関を受診し、適切な治療を受けましょう。症状が改善することで、学校に行きやすくなることもあります。
- スクールカウンセラーに相談する: スクールカウンセラーに相談することで、学校生活でのストレスを軽減するためのアドバイスやサポートを受けることができます。また、必要であれば、医師との連携も行ってくれます。
- 生活習慣を見直す: 規則正しい生活を送り、バランスの取れた食事を心がけましょう。
- ストレスを減らす: リラックスできる時間を作ったり、趣味を楽しんだりしましょう。
- 薬物療法: 医師の指導のもと、薬物療法を受けることも有効です。
- 不安やストレスへの対処: 不安やストレスに対処するためのカウンセリングやリラクセーション法などを試してみましょう。
- 学校の先生に相談する: 状況を理解してもらい、トイレに行きやすい環境を作ってもらうなど、配慮をお願いしましょう。
【関連記事】
→ 【お腹が痛くて学校に行けない】過敏性腸症候群(IBS)症状・原因・対策を解説
いじめが原因の場合
いじめは、子どもにとって非常に辛い経験であり、不登校の大きな原因の一つです。
- 持ち物がなくなったり、壊れたりする
- 身体に傷がある
- 元気がない、食欲がない
- 学校に行きたがらない
- 特定の友達の名前を聞くと、表情が曇る
いじめの対処法
- スクールカウンセラーや先生に相談する: いじめは早期発見・早期対応が重要です。一人で悩まず、信頼できる大人に相談しましょう。
- 証拠を集める: いじめがあったことを証明できるもの(メール、メモ、録音など)があれば、保管しておきましょう。
- 学校に対応を求める: 学校にいじめの事実を伝え、対応を求めましょう。
- 転校も視野に入れる: 状況によっては、転校も検討しましょう。
【関連記事】
→ 友達とのSNSトラブル:原因、影響、そして解決策
→ いじめが原因での不登校 学校に行くより大事なこと
友人関係の悩みが原因の場合
「友達とうまくいかない」「友達ができない」といった悩みも、不登校の原因になることがあります。
- 「学校に行きたくない」「友達と遊びたくない」と訴える
- 友達の話をしなくなる
- 一人でいることが多くなる
- 表情が暗い
これらのサインに気づいたら、まずはお子さんの話をじっくり聞いてみましょう。
友人関係の悩みへの対処法
- スクールカウンセラーに相談する: コミュニケーションスキルを向上させるためのアドバイスやサポートを受けることができます。
- 習い事やサークルに参加する: 学校以外の場所で友達を作る機会を持つことも有効です。
- 親が話を聞く: お子さんの気持ちを理解し、共感してあげましょう。
- 解決策を一緒に考える: お子さんと一緒に、問題解決に向けて取り組んでいきましょう。
【関連記事】
→ 友達とのSNSトラブル:原因、影響、そして解決策
勉強について行けず学校に行けない場合
「勉強についていけない」「宿題ができない」といった学業不振も、不登校の原因になることがあります。
勉強がわからないのに、授業中座っていることが苦痛です。他にも、クラスメイトに勉強ができないことを知られるのが恥ずかしいというお子さんもいます。
- 「勉強がわからない」「宿題ができない」と訴える
- テストの点数が悪いことを気にしている
- 授業中に集中できない
- 塾や習い事に通っているが効果がない
これらのサインに気づいたら、まずはお子さんの話を聞いてみましょう。
勉強がわからない場合の対処法
何につまづいているのかの確認
まずは何がわからないのか、本人に聞いてみましょう。また、普段使っているノートや問題集などを確認しましょう。地味ですが、そのように確認すると何ができて何ができないかが見えてきます。
また、お子さんの発達の遅れや発達特性、学習障害などが原因の場合もあります。「うちの子は、他の子と少し違うな」と思ったら、その違いに注目すると勉強のつまづきについてもわかってきます。
オンライン教材など利用する
ノートや問題集を見ても何につまづいているか判断できない場合は、専門家のサポートを受けましょう。家庭教師や塾などに問い合わせると、いくつか質問をされることである程度の学力が確認できます。
家庭教師や個別指導塾などの場合は、わからないところまでさかのぼってお子さんのペースで教えてもらえます。特に、オンライン教材やオンライン家庭教師では、不登校対策がされたプログラムや不登校支援の経験のある講師が充実しており、学年などにこだわらずつまづいたところから勉強が始められておすすめです。
オンライン教材に関しては、こちらの記事もご覧ください。
→ 学校に行かなくても大丈夫!子どもが不登校の時に家でできる勉強法とは?
学習習慣を見直す
勉強時間や場所、方法などを見直し、集中できる環境を作りましょう。
ゲームに夢中になりすぎたり、動画ばかりを見続けていて勉強をする時間がない。
勉強中も友達からSNSのメッセージが来ているか気になって何度もスマホを確認してしまい、勉強に集中していない。ということもあります。
「ゲームや動画視聴の時間を制限する=勉強をする」にはなりません。むしろ、口うるさく言われることで内発的動機付けが低下したり、保護者の意見に反発してしまうこともあり、逆効果の場合もあります。
適切なルール作りが必要です。
【関連記事】
→ 不登校とゲーム依存: 子どもの心理と親ができること
失敗を肯定的にとらえつつ成功体験を積ませる
過剰に失敗や間違いを恐れることで、自分なりの答えを出せないお子さんもいます。「もし、間違ったらどうしよう」「答えて外れたら恥ずかしいから、答えないでおこう」などと考え、どんどん勉強が遅れてしまうのです。
このような場合は、小さな目標を立て、達成感を味わえるようにサポートしましょう。
スクールカウンセラーに相談する
勉強のつまづきの背景には心理要因や発達特性が影響していることがあります。スクールカウンセラーは心理面だけでなく、先生との相性や発達特性・学習障害など、さまざまな方向から勉強のつまづきについて見立てていきます。学校の授業を受けられている場合は、スクールカウンセラーがお子さんの授業中の様子を見て適切なアドバイスを受けられることがあります。
不登校の理由がわからない時に保護者ができること
保護者の方々にとって、お子さんが学校に行きたがらない理由がわからないことは、大きな不安やストレスになるでしょう。しかし、文部科学省の調査や専門家の意見、そして不登校経験者の声からも、「理由のわからない不登校」は決して珍しいことではないということがわかります。
以下の記事では、子どもの心理や具体的な対応策を詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
【関連記事】
→ 不登校「理由がわからない」のはなぜ?子どもの心理と対応策を徹底解説
まとめ|原因に合わせた対処を
不登校の原因は様々ですが、それぞれの原因に合わせた対処法があります。この記事で紹介した対処法を参考に、お子さんに合った解決策を見つけていきましょう。
一人で悩まずに、専門家のサポートも活用しながら、お子さんの不登校を乗り越えていきましょう。
- 不登校の原因は、明確な理由がない場合や、先生との関係、心身の不調、いじめ、友人関係、学業不振などさまざま
- 原因別に適切な対処法があり、スクールカウンセラーや医療機関への相談することが有効
- 不登校の理由がわからない場合も多い。その場合は原因追及しすぎない方が良い。