「朝が来るのが怖い」
「この子は、この先どうなるんだろう」
「私の育て方が悪かったのかな」
子どもが学校へ行かなり、こんな思いが頭から離れない保護者さんが多くいます。
当サイトが不登校の子どもを持つ保護者113名に行ったアンケートでは、
85.8%(97人)が、子どもの不登校後に精神的な負担が「重くなった」「とても重くなった」と答えました。
つらいと思うことは、親として弱いからでも、これまでの育て方の問題でもありません。
先の見えない判断、学校とのやり取り、仕事や家事、子どもへの気遣いが重なり、心が疲れているのです。
この記事では、保護者113名の声と家族支援の経験をもとに、親の気持ちを言葉にしながら、少しでも負担を減らすための考え方をお伝えします。
この記事でお伝えしたいこと
この記事は私たちが執筆監修を行っています
執筆・編集責任:吉田克彦(合同会社ぜんと代表 公認心理師、精神保健福祉士)
・家族支援25年以上、3000家庭以上の支援実績
・スクールカウンセラー歴20年以上。小学校、中学校、高校(全日制、定時制、通信制)全ての校種で勤務経験あり。
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不登校の親には、不安・罪悪感・怒りなどの気持ちが重なり合う

学校に行けない子を育てる親の気持ちは、一つではありません。
同じ日のなかで、次のような感情が入れ替わります。
子どもが学校に行けない時に保護者が抱く感情の例
- 子どもの将来が見えない不安
- 「育て方が悪かったのでは」という罪悪感
- 焦りや怒りのあとに来る自己嫌悪
- 周囲と比べてしまう孤独
- もう何も考えたくないほどの疲れ
朝はイライラしていたのに、昼には罪悪感が強くなり、夜には将来が不安になる。相反する感情があっても、子どもへの愛情がないわけではありません。

子どもの将来が見えない不安
親の不安の中心にあるのは、「この先どうなるのか分からない」という見通しの立たなさです。
今回の自由記述では、31人(27.4%)が将来・進学・就職への不安に触れ、29人(25.7%)が学習の遅れや学力を心配していました。
「勉強が遅れたら高校に行けないのでは」
「このまま社会に出られなくなるのでは」
今はまだ、決める必要のないことまで、今すぐに結論を求めたくなり、不安になる。
その見通しのなさが、不安になってしまい、保護者のメンタルを消耗させます。
「自分の育て方が悪かったのでは」という罪悪感
「仕事ばかりで、話を聞けていなかったからでは」
「小さい頃に厳しくしすぎたからでは」
原因が分からないと、親は過去の関わりを何度も振り返ります。子どもを大切に思い、何とか理由を見つけようとするほど、自分を責める材料ばかりが目に入ることがあります。
家庭での関わりを振り返ることと、親一人を不登校の原因と決めることは別です。不登校の背景には、学校での出来事、友人関係、体調、本人の感じ方など、いくつもの事情が重なっている場合があります。
親の影響をどう考えればよいかはこちらの記事で詳しく解説しています。

焦りや怒りを感じたあと、自分を責めてしまう
「いつまで休むの」
「今日は行ってみたら」
「あなたは学校に行かなくて楽でいいね」
出勤時刻や学校への連絡時間が迫る朝には、落ち着いていたくても強い口調になることがあります。
そして夜、子どもの寝顔を見ながら、「また追い詰めてしまった」と後悔する。
焦りや怒りが湧くこと自体は、先の見えない状況に置かれたときの自然な反応です。
ただし、感情があることと、その感情のまま子どもに言葉をぶつけることは分けて考えられます。
周囲と比べてしまう孤独
登校時間に近所の子どもたちの声が聞こえる。SNSには、同級生の学校行事や部活動の写真が流れてくる。
「みんな学校に行けてるのに、なぜうちの子だけ…」
そんな感覚になることがあります。
事情を話せる相手が少ないと、孤独はさらに深まります。
心配をかけたくない
責められるのが怖い
説明すること自体に疲れた
そうして、親自身の気持ちを話す場所がなくなっていきます。
もう何も考えたくないほど疲れる
朝の声かけ、学校への連絡、担任との面談、仕事の調整、家事、食事、子どもの様子への気遣い。
目に見える用事が終わっても、「明日はどうするか」という考えは止まりません。
「もう限界」
「何も考えたくない」
「気が狂いそう」
そう感じるほど疲れているなら、気合いで乗り切る段階ではありません。
何か新しい対処法を増やす前に、今の負担を減らす視点が必要です。
保護者の85.8%が、精神的な負担の増加を実感している
アンケートでは、不登校後の負担がどう変わったかを、精神・時間・経済の3つに分けて尋ねました。

精神的負担は、10人中8人以上が増加を答えています。時間的負担も半数を超えており、不登校が親の予定や生活の組み立て方にも影響していることが分かります。
一方、経済的負担は「変わらない」が64人(56.6%)で最多でした。不登校になれば、すべての家庭で支出が増えるわけではありません。働き方、通院や送迎の有無、学校外の学びを利用するかどうかによって差があります。
不登校家庭の経済的負担についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

判断、実務、感情の調整が重なると、親は休めなくなる
親の負担は、「子どもが学校へ行かない」という一つの出来事だけから生まれるわけではありません。
次の4つが重なることで、家にいても気持ちが休まらない状態になります。
- 正解の分からない判断を続ける
- 原因を探して自分を責める
- 学校、仕事、家庭の実務を抱える
- 自分の感情を抑えて周囲を支える

正解の分からない判断が毎日続く
今日は休ませるのか。
少し声をかけるのか。
学校の話をしてよいのか。
勉強はどうするのか。
医療機関や相談先を探すのか。
どの家庭にも当てはまる一つの正解はありません。
しかも、選んだ対応がよかったかどうかは、すぐには分かりません。
「あの対応でよかったのか」
答え合わせのできない問いが積み重なるだけでも、心は消耗します。
原因を探すほど、自分を責めやすくなる
原因が分かれば解決できる。
そう考えて過去を振り返るほど、「もっと早く気づけばよかった」「あの言い方が悪かった」と、自分を責める材料が増えることがあります。
原因を考えることが役立つ場面はあります。
ただ、原因探しだけで家族が疲れ切ってしまうなら、「なぜ起きたか」だけでなく、「今、何が一番負担になっているか」に目を向ける必要があります。
学校、仕事、家庭の用事が一度に増える
不登校が始まると、欠席連絡、プリントの受け取り、面談、付き添い、日中の見守り、昼食の用意など、それまでなかった用事が増えます。
自由記述には、次のような声がありました。
学校の担任とのやり取りが増え、学校へプリント受け取りや担任との面談のため、仕事を早退して時間を作らなければならないことが増えた。(40代・女性)
子どもの精神ケアに追われて、自分の時間が思うように取れなくなりました。(30代・男性)
時間的負担が増えた66人のうち、11人(16.7%)が、仕事との両立の難しさを明確に書いていました。
仕事を続けるか、休むか、辞めるかまで悩んでいる方はこちらの記事で詳しく解説しています。

登校を急がせた後悔があっても、これからの関わりは変えられる
自由記述には、子どもを無理に起こしたこと、学校へ連れて行ったこと、理由を何度も問い詰めたことへの後悔が書かれていました。
無理に登校させたことを悔やむ声
113人のうち23人(20.4%)が、次のような対応を明確に記述していました。
- 無理に登校させた
- 学校まで連れて行った
- ベッドから起こして行かせた
- 登校するよう強く促した
毎朝無理やりベッドから起こして学校に行くように言ったことで、私や夫に対して心を閉ざしたことです。この結果、しばらく自室に引きこもってしまいました。(30代・女性)
無理に行かせることで、子どもの情緒が不安定になってしまった。(30代・女性)
これは、すべての家庭に同じ経過が起こるという意味ではありません。ただ、回答した保護者自身は、当時の働きかけが子どもに負担をかけたと受け止めていました。
説得や問い詰めを続けたことへの後悔
自由記述を分類すると、41人(36.3%)が、子どもへの強い働きかけを後悔していました。
ここには、登校の無理強いだけでなく、次のような対応も含まれます。
- 登校するよう説得を続けた
- 行けない理由を何度も問い詰めた
- 怒りをぶつけた
- 脅すような言い方をした
- 親の考えや理想を押し付けた
当時の親にも、余裕を失う事情があった
休みが長引けば戻れなくなるのではないか。勉強が遅れるのではないか。
学校からも登校を促されている。自分も仕事へ行かなければならない。
こうした状況が重なれば、登校を優先する判断に傾くことがあります。
当時の事情を振り返るのは、無理な働きかけを正当化するためではありません。
何が親を追い詰めていたのかが分かれば、同じ場面で変えられる部分も見つけやすくなります。
「仕方がなかった」と全部を消してしまう必要も、「取り返しがつかない」と自分を罰し続ける必要もありません。
過去は変えられなくても、次の対応は選べる
親子関係は、一度の失敗だけで決まるものではありません。
その後のやり取りの積み重ねによって、関係は少しずつ変わります。
子どもが学校に行かない時に親がやりがちなNG行為
- 朝にいきなり結論を出そうとしない
- 「なんで」「どうして」と質問を重ねない
過去の対応を悔やみ続けるより、次に同じ場面が来たときの行動を一つ変える。
その積み重ねが、これからの関係を作ります。
子どもが学校に行けない時の避けたい対応はこちらの記事で詳しく解説しています。

親の気持ちを軽くするには、感情と行動を分けて考える
不安や怒りを完全になくす必要はありません。気持ちが湧くことと、その気持ちのまま行動することを分けるだけでも、親子ともに消耗しにくくなります。

1.感情と行動を分ける
焦りや怒りが湧くこと自体は、止められません。選べるのは、その気持ちをどのような行動にするかです。
イライラしたら、言葉にする前に一度その場を離れる。すぐに返事をせず、「少し考えてから話す」と伝える。
言いたいことをメモに書き、落ち着いてから読み返す。
「怒ってしまう私はダメだ」ではなく、「今は怒っている。では、どう動くか」と考えます。
2.「私のせいだ」を事実と決めない
「私のせいだ」という考えが浮かぶことと、それが事実であることは別です。
家庭で改善できる部分があるかもしれません。
しかし、「変えられる部分がある」と「不登校の原因はすべて私だ」は同じではありません。
自分を責め始めたら、事実と解釈を分けます。
- 事実:今月、強い口調で登校を促したことがあった
- 解釈:だから不登校はすべて私のせいだ
事実を具体的に見れば、謝る、声かけを減らす、学校との連絡を変えるなど、次の行動を考えられます。
3.「親は笑顔でいなければ」を手放す
親が暗い顔をしたら子どもに悪い。親が変わらなければ子どもも変わらない。そう考えて、無理に明るく振る舞い続けると、親の負担はさらに増えます。
疲れている日は、無理に元気なふりをしなくても構いません。
「今日は少し疲れているから、夕食は簡単にするね」
「今は考えがまとまらないから、あとで話したい」
子どもを責めずに自分の状態を伝えることはできます。
4.将来全部ではなく、今決めることだけを見る
不安が強いと、今日の欠席から高校進学、就職、自立までを一本の線で考えてしまいます。
しかし、将来の多くは今朝決めることではありません。
- 今日決める:欠席連絡、昼食、今日の声かけ
- 今週考える:担任との連絡方法、相談の日程
- 今は決めない:進路全体、数年後の働き方

問いを小さくすると、今使える力を目の前のことに戻せます。
新しい努力を増やすより、今の負担を一つ減らす
疲れているときに、セルフケアや子どもへの対応を新しい宿題にすると、かえって負担が増えます。
今の家庭で動かしやすいことを、一つだけ減らせれば十分です。

学校との連絡方法や回数を調整する
毎朝の欠席連絡がつらいなら、連絡方法や頻度を変えられないか、学校に相談します。
- 電話ではなくアプリやメールにする
- 変化があったときだけ連絡する
- 学校側の窓口を一人にまとめてもらう
- 面談の回数や時間帯を調整する
希望どおりにならない場合もあります。それでも、「何が負担になっているか」を具体的に伝えるところから始められます。
家族内の役割を具体的に分ける
「もっと協力してほしい」だけでは、何をすればよいか伝わらないことがあります。
「学校への連絡はあなた、面談の日程調整は私」
「週に一度は夕食の準備を交代する」
役割を行動単位に分けると、実際の分担につながりやすくなります。
子どもと離れる時間を持つ
子どもを見守ることと、四六時中そばにいることは同じではありません。
短い散歩、買い物、別室で過ごす時間、一人でお茶を飲む時間。安全を確認したうえで少し離れることは、子どもを見捨てることではありません。
親の疲れが強いときの負担の減らし方こちらの記事で詳しく解説しています。

子どもへの声かけに「断れる余地」を残す
提案すること自体が、すぐに無理強いになるわけではありません。
違いは、子どもが断ったあとも説得が続くか、断ると親が不機嫌になるか、別の選択肢があるかです。
「明日、別室へ行ってみる?」
「行かなくてもいいし、今は決めなくてもいいよ」
断る、保留する、途中で帰る余地を残します。
見守る、休ませる、促すの判断に迷うときはこちらの記事でくわしく解説しています。

保護者が後から気づいたこと
アンケートでは、不登校を経験して気づいたことも尋ねました。
自分の考えを押し付けてはいけないと気づいた。(50代・女性)
仕事ばかりしていた自分への反省と、家族の大切さ。(50代・男性)
ほかにも、
「こどもの笑顔や健康を以前より大切に思うようになった」
「家族や自分の生活を見直した」
という回答がありました。
これは、不登校に前向きな意味を見つけなければならないという話ではありません。
今はつらいままでも構いません。時間がたってから経験を振り返った保護者の声として紹介しています。
相談先は、今困っていることに合わせて選ぶ
相談は、子どもを学校へ戻すためだけに使うものではありません。
子どもが学校に行くか行かないか以外の相談内容の例
親自身の気持ちを話す
学校との連絡を減らす
家庭の負担を分ける
地域で使える場所を知る
これらのことも重要な相談内容です。
| 今困っていること | 相談先の例 |
| 学校との連絡や対応 | 担任、学年主任、養護教諭、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー |
| 親自身の不安や疲れ | 自治体の教育相談、精神保健福祉センター、親の会、カウンセリング |
| 学校以外の居場所や制度 | 教育委員会、教育支援センター、自治体の子ども・家庭相談、フリースクール |
| 親子の心身の不調 | かかりつけ医、小児科、心療内科、精神科、地域の相談窓口 |

学校との連絡を調整したい
担任との連絡方法、面談、課題、別室での過ごし方などは、担任だけでなく、学年主任、養護教諭、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーへ相談できる場合があります。
子どもが相談を嫌がるときは、まず保護者だけで話を聞いてもらえないか、学校に尋ねてみてください。
スクールカウンセラーとの関わり方はこちらの記事でくわしく解説しています。

親自身の気持ちを話したい
「解決策よりも、まず話を聞いてほしい」という相談でも構いません。
自治体の教育相談や精神保健福祉センター、親の会、民間のカウンセリングなどがあります。
親自身の気持ちを整えるために相談することも、家庭を支える方法の一つです。
地域の制度や居場所を知りたい
地域によっては、教育相談、教育支援センター、自治体の子ども・家庭相談などを利用できます。
学校外の学びや居場所として、フリースクールが選択肢になる場合もあります。
名称や利用方法は地域によって異なるため、自治体や教育委員会の案内を確認してください。
親子の心身の不調が強いとき
眠れない、食べられない状態が続くときや、自分を傷つける行動・言葉があるときは、家庭だけで抱えず、医療機関や地域の相談窓口につないでください。
親自身に起きている場合も同じです。どこへ相談すればよいか分からないときは、学校、自治体の相談窓口、かかりつけ医などに、相談先を尋ねるところから始められます。

一人で考えても思いつかない場合があります。そのような時はぜひ無料相談をご利用ください。一緒に考えましょう!
まとめ:親自身を守ることも、不登校への対応になる


不登校の子を持つ親に、不安、罪悪感、焦り、怒り、孤独、疲れが生じるのは不思議なことではありません。
保護者113名への調査でも、97名(85.8%)が精神的負担の増加を答えました。
親を疲れさせるのは、気持ちの弱さではありません。
正解のない判断、学校や家庭の用事、仕事との調整、自分の感情を抑えながら家族を支える負担が重なっています。
後悔した対応があっても、これからの関わりは変えられます。すべてを一度に解決するのではなく、学校への連絡を一つ減らす、家族へ役割を一つ渡す、子どもと離れる時間を少し作るなど、今ある負担を一つ減らすところからです。
親自身が誰かに相談することも、不登校への対応の一部です。
一人で考え続けて行き詰まったときは、ぜんとのオンラインカウンセリングも選択肢の一つです。
何かを決める場ではなく、状況を整理するところから始められます。初回のご相談は無料です。
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引用参考文献
- 文部科学省.令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果. 2025.
- 吉田克彦.「できる」ブリーフセラピー.金子書房, 2025.
- 小児心身医学会ガイドライン集改訂第3版 日常診療に活かす7つのガイドライン.小児心身医学会編集,2025.
更新情報
2024/02/01 新規記事掲載
2026/01/05 全体的な記事の修正とデータの更新
2026/02/10 最新データに更新









