この記事では、スクールカウンセラーとして20年以上、のべ3,000人以上のお子さんを見てきた公認心理師の私が、30代・40代のママに向けて、子供がご飯を食べない精神的な原因と具体的な対処法をわかりやすく解説します。
子供がご飯を食べない精神的な原因とは?
「もしかしてうちの子も…」と心当たりのある方もいるのではないでしょうか? お子さんがご飯を食べなくなる背景には、さまざまな精神的な原因が考えられます。
ストレス
学校での人間関係の悩み
クラスで無視されている、仲間はずれにされている、先生に怒られた…学校での出来事は、子供にとって大きなストレスになります。 例えば、部活でレギュラーから外れてから、朝ごはんが喉を通らなくなったり、お昼を一緒に食べていた友達との関係が悪くなって、お昼を食べなくなる子もいます。
勉強のプレッシャー
テストの結果が悪い、受験への不安が大きいなど、勉強に関するプレッシャーも食欲に影響します。
受験を控えてプレッシャーを感じ、夜眠れなくなり、食事もあまりとれなくなることもあります。
家庭環境の変化
引っ越しや家族の病気、両親の不仲など、家庭環境の変化は子供にとって大きなストレスです。 両親が離婚してひとり親家庭になりさらに、その親が夜遅くまで仕事をしているため、一家だんらんの食事ができなくなり、食生活が乱れることなどもあります。
不安
将来への不安
将来の進路や夢に対する不安、社会への適応に対する不安などが食欲に影響を与えることがあります。
自分自身への不安
自分の能力や容姿に対するコンプレックス、自己肯定感の低さなどが食欲不振につながることがあります。 容姿にコンプレックスのあるため、周りの目が気になり、食事の時間が苦痛になるお子さんもいます。
周囲からの期待
親や先生からの期待に応えられないことへのプレッシャー、完璧主義的な性格などが食欲に影響を与えることがあります。 完璧主義のお子さんがテストで100点を取れなかったことにひどく落ち込み、食事も喉を通らなくなりました。
うつ病
「まさかうちの子が…」と思うかもしれませんが、実は子供でもうつ病になることがあります。
- 気分の落ち込み: 「何も楽しくない」「死にたい」など、気分の落ち込みが続く場合は要注意です。
- 興味や関心の喪失: 好きなゲームやスポーツに興味を示さなくなる、友達と遊ぶのを嫌がるなどの変化が見られることがあります。
- 食欲不振: うつ病の症状の一つとして、食欲不振が現れることがあります。
子供のうつ病は早期発見・早期治療が重要です。食欲不振が続く場合は、早めに専門家に相談しましょう。
子どものうつ病に関して、くわしくは、こちらの記事をご覧ください。
→ 不登校と子どものうつ病の関係と対応を正しく理解しよう
その他の精神的な原因
愛情不足
親からの愛情が十分に感じられない、親子のコミュニケーション不足などが食欲不振につながることがあります。
自己肯定感の低さ
自分は価値がない、愛される資格がないと感じていると、食欲不振が起こることがあります。
トラウマ
過去に辛い経験をしたトラウマが、食欲不振を引き起こすことがあります。
精神的な原因で見られるサイン
お子さんにこんなサインはありませんか?
身体的なサイン
- 体重減少: 明らかに体重が減っている場合は、注意が必要です。
- 睡眠障害: 寝つきが悪い、夜中に目が覚める、朝早く目が覚めるなどの症状が見られることがあります。
- 腹痛や頭痛: 特に理由もなく腹痛や頭痛を訴える場合は、精神的なストレスが原因である可能性があります。
精神的なサイン
- イライラ: ささいなことでイライラしたり、怒りっぽくなったりすることがあります。
- 無気力: 何をするのも面倒くさい、何もしたくないという気持ちが強くなります。
- 集中力の低下: 勉強や遊びに集中できなくなります。
保護者ができること
子供がご飯を食べない精神的な原因に気づいたら、保護者は以下の3つのことを心がけましょう。
子供の気持ちに寄り添う
話をじっくり聞く
お子さんの話を否定せずに、じっくりと聞きましょう。「どうしたの?」「何かあった?」と優しく声をかけて、お子さんが安心して話せる雰囲気を作ってください。
否定せずに受け止める
「そんなことで悩んでるの?」「気にしすぎだよ」など、お子さんの気持ちを否定するような言葉は避けましょう。「つらいね」「それは大変だったね」など、共感する言葉を伝えましょう。
共感する
お子さんの気持ちに寄り添い、「つらいね」「悲しいね」など、共感する言葉を伝えましょう。お子さんの気持ちを理解しようと努めることが大切です。
食事環境を整える
楽しい雰囲気を作る
食事の時間を楽しい雰囲気にすることで、食欲を刺激することができます。好きな音楽をかけたり、家族で会話したり、笑顔で食事をするように心がけましょう。
一緒に料理をする
お子さんと一緒に料理をすることで、食への関心を高めることができます。簡単な作業から始め、少しずつできることを増やしていきましょう。
好きなものを用意する
お子さんが好きなものを用意することで、少しでも食べる意欲を引き出すことができます。無理強いはせず、好きなものを少しずつでも食べられるようにサポートしましょう。
専門家に相談する
スクールカウンセラー
学校にスクールカウンセラーがいる場合は、気軽に相談してみましょう。専門的な立場から、お子さんの状況に合わせたアドバイスやサポートを受けることができます。
医療機関(心療内科、精神科など)
専門的なアドバイスや治療を受けることができます。医師に相談することで、適切な診断や治療を受けることができ、お子さんの心のケアにつながります。
カウンセリングルーム(民間の相談機関、教育相談センターなど)
悩みを相談したり、必要な支援を受けたりすることができます。一人で抱え込まずに、専門機関に相談することで、解決の糸口が見つかるかもしれません。
まとめ:あわてず騒がず落ち着いて
子供がご飯を食べない背景には、精神的な原因が隠れていることがあります。保護者は、子供の気持ちに寄り添い、食事環境を整え、必要であれば専門家に相談することが大切です。
子供の心の声に耳を傾け、適切なサポートをしてあげてください。
もし、お子さんのことで悩んでいることがあれば、一人で抱え込まずに、ぜひ専門家に相談してください。
- 子どもがご飯を食べない背景には、ストレス、不安など様々な精神的な原因が考えられる
- 身体的なサイン(体重減少、睡眠障害など)や精神的なサイン(イライラ、無気力など)に注意する
- 保護者は、子どもの気持ちに寄り添い、食事環境を整え、一人で抱え込まず専門家に相談する
- スクールカウンセラー、医療機関、相談窓口など、様々な相談先がある