お子さんが不登校になると、夏休みの過ごし方に困る保護者さんが多いです。
「学校に行っていないのだから、夏休みも関係ない。家でじっとしてなさい」
「学校に行ってないのに、夏祭りに行くなんておかしい」
「親戚にいろいろ聞かれたくないから、お盆に帰省したくない」
などと考えているご家庭も少なくありません。
しかし、休日は思いっきり遊ぶ方が不登校克服にもつながります。
本記事では、不登校のお子さんの夏休みの過ごし方についてご紹介していきます。
- 不登校の子どもにとって夏休みが大切な理由がわかる
- 不登校の子どもと親子で楽しめる夏休みの過ごし方を知れる
- 夏休み明けの学校復帰に向けての準備と心の準備の仕方がわかる
不登校でも、夏休みは夏休み
私が、カウンセリングや講演会で、夏休みの過ごし方について保護者さんから質問があると、必ずお伝えすることがあります。
夏休み期間中、お子さんには夏休みらしく過ごしてもらいましょう。
夏休み中は夜更かしをして、朝寝坊をして、昼間ダラダラ過ごし、宿題は夏休みが終わる直前に涙目になってやるのが正しい夏休みの過ごし方です。せひ、その生活を実践してください。
この話をすると、保護者さんはとてもビックリされます。
しかし、とても大事なことです。
流れに乗せるなら、流れのない時に
夏休みは、子どもたちに平等に与えられたダラダラしてよい期間です。
普段は毎日学校に通っている子も、不登校の子も、勉強ができる子も、勉強ができない子も、授業がなく自由に過ごしていい時。
この自由な時期に、一緒に自由に過ごすことがとても大事です。
みんなが全速力で走っている時に、合流するのは難しいですが、みんなが休んでいる時に合流して一緒に休むことは比較的に簡単です。
「本当なら、部活動の練習がるし、塾の夏期講習に行っているはずなのに」などと考えてしまうかもしれませんが、そこで焦りは禁物です。
なぜ夏休みは「ダラダラ」してもOKなのか?
不登校のお子さんにとって、学校は大きなストレス源です。
夏休みは、そのストレスから解放され、安心して過ごせる貴重な時間。
「ダラダラ」過ごすことは、決して悪いことではありません。
好きなだけ寝て、好きなものを食べて、好きなことをする。
そんな時間を過ごすことで、お子さんはエネルギーを充電し、自己肯定感を取り戻すことができます。
ダラダラから一歩前進!親子で楽しめる過ごし方10選
夏休みに何をして過ごせばよいかわからない方も多いと思います。
ここでは、オススメできる過ごし方についてインドア系5つ、アウトドア系5つの合計10選を紹介します。
普段は引きこもっているけれど、アウトドア系の提案をしたらすんなり外に出る場合もあります。
反対に、普段はスポーツなどをやっているし外に出かけることが多いけれど、夏の暑さもあり家の中の活動を好む場合もあります。
以下を参考に、
「うちの子はどれなら、できそうかな?」
「どんな提案の仕方なら、本人が興味を持つかな?」
などと、想像しながら見ていただくことをおすすめします。
インドア派へのおすすめ5選
映画鑑賞マラソン
夏休みだからこそできる、親子で映画の世界にどっぷり浸る時間です。
感動的な作品、笑える作品、考えさせられる作品など、様々なジャンルの映画を一緒に見て、感想を語り合いましょう。
ゲーム大会(親子で楽しめるゲーム)
テレビゲーム、ボードゲーム、カードゲームなど、親子で一緒に楽しめるゲームはたくさんあります。
協力プレイで絆を深めたり、対戦プレイで盛り上がったり。
料理教室ごっこ(簡単レシピ動画付き)
普段は作らないような手の込んだ料理やお菓子作りに挑戦してみましょう。
レシピ動画を見ながら一緒に作ることで、料理の楽しさを共有できます。
また、買い出しに行くのも近くのスーパーやコンビニでもいいですが、あまり行ったことのない巨大スーパーやマニアックな食材のある専門店などに行くのもおすすめです。
特に引きこもりがちな生活をしている場合は、買い出し自体が外に出るきっかけになりますし、
「こんなお店もあるんだ」
「こんな商品もあるんだ」
などと、発見にもつながります。
オンライン旅行(バーチャルツアー体験)
旅行に行けなくても、オンラインで世界中の観光地を巡ることができます。
美しい景色や文化に触れ、旅行気分を味わいましょう。
例えば、Googleマップで観光地を回ってみたり、昔行ったことのある旅行先や親戚が住む地域を検索してみるのがおすすめ。
訪問した時との変化を探したり、当時の思い出話をするのもいいですね。
手芸やDIYに挑戦
手芸やDIYは、集中力や創造力を高める効果があります。
初心者でも簡単に作れるキットを使って、一緒に何かを作ってみましょう。
手芸というと、女子に人気のイメージがありますが、男子にもハマります。
夢中で作業をするのはマインドフルネス瞑想にも似た体験になり、頭が活性化するだけではなく、ストレスの解消にも効果的です。
アウトドア派へのおすすめ5選
公園ピクニック
お弁当を持って公園に出かけ、ピクニックを楽しみましょう。自然の中で食べるご飯は格別です。
お弁当を自分で準備するのも楽しいですよね。
近所の自然散策
近所の公園や緑地を散策し、自然観察をしてみましょう。
季節の花や虫を見つけたり、鳥の鳴き声を聞いたりするだけでもいいですね。
また、小学生の場合は、虫取りもいいですね。
「せっかくだから、自由研究でやってみたら?学校に提出するかしないかは、できてから考えればいいから」
といった感じで、少し負荷をかけることもできるでしょう。
図書館探検
図書館で興味のある本を見つけ、読書の世界を広げましょう。
親子で同じ本を読んで、感想を共有するのもおすすめです。
こちらも、自由研究の題材探しや読書感想文を書くなどにつなげることもできるかもしれません。
プチ旅行
近場の温泉や観光地へ、日帰り旅行に出かけましょう。
気分転換になり、リフレッシュできます。
子どもと旅行に行くとなると張り切って、いろいろ詰め込みすぎたり、子どもに満足してもらおうと保護者のみなさんも張り切ってしまうでしょう。
しかし、張り切りすぎて、子どもが疲れて「もう、嫌だ外に出たくない」となるかもしれません。
保護者の方も「ここまでやってあげたのに、文句しか言わない」などとお互いにネガティブな終わり方をしてしまいます。
ここで大事なことは、「もっと行きたいな」と思えるぐらいの短い旅行から始めること。
そうすることで次の行動につながりやすいです。
「なんだ、もう帰るの?つまんない。もっといろいろ遊びたい」と思わせたら、ベストですね!
スポーツ観戦
お子さんがスポーツなどの興味を持っているのであれば、野球、サッカー、バスケットボールなど、親子で一緒に楽しめるスポーツ観戦に出かけましょう。
応援することで一体感が生まれ、親子の絆が深まります。
夏休みの声掛けのポイント
あらかじめ宣言しておくことが大事
一番大事なことは、「夏休みなんだから、のんびり好きなように過ごしていいよ。夏休み終わる一週間前から生活リズムを変えていこうね」と事前に伝えておくことです。事前に伝えられない場合は、8月の前半ぐらいに伝えれば大丈夫です。
当然ですが、本人に伝わっていないと意味がありません。
本人の目を見て伝えてください。
また、どのようなリアクションをしたかをきちんと見ておきましょう。
もし、本人に伝えることができない場合、まずは子どもとのコミュニケーションを築くことが大事です。
夏休みは来年でも来ますし、冬休みや春休みもあるので、夏休みダラダラ宣言は先送りして構いません。
まずは子どもとのコミュニケーションを意識しましょう。
以下の記事が役に立ちます。
親子の会話がないため子どもが何を考えているかわからない
絶対に裏切らないこと
大事なことは、保護者の言動を一致させること。
「のんびり過ごしていいよ」と言いながら、ダラダラしているお子さんに「こういう時は素直に親のいうことを聞くんだね」などと嫌味を言ってしまったり、
「少しは勉強をしたら?」などと声掛けをしては意味がありません。
「のんびり好きなように過ごしていい」と伝えた以上は、その宣言を保護者さんも守りましょう。
嫌味を言ったり勉強の働きかけは約束が違います。
子どもにルールを守らせたいのなら、子どもとの約束をまずは保護者が守りましょう。
大人が約束を守れないのに、子どもが守れるはずがありません。
1週間前のさらに1週間前に声掛け
「夏休みなんだから、のんびり好きなように過ごしていいよ。夏休み終わる一週間前から生活リズムを変えていこうね」と伝えたのであれば、
夏休みが終わる一週間前のさらに前に、「そろそろだよ」と声をかけていきましょう。
「あと一週間しかないよ」と焦らせたり、「あと一週間したらもう、こういう生活は終わりだからね」などと脅したりすることは逆効果です。
「あと一週間したら、生活を戻していこうね」と優しく声をかければ充分です。
ここで大事なのは「生活を戻しなさい」と押し付けるのではなく「生活を戻していこうね」と一緒に協力するような声かけが大事です。
夏休み残り一週間から
夏休み残り一週間になったところで、生活リズムを整えていくように働きかけましょう。ここでも「生活を戻しなさい」ではなく、一緒に「生活を戻していこう」というスタンスを忘れずに。保護者の方でできることがあれば協力しましょう。
ここでうまくいかなくても大丈夫です。
多くの家庭が、夏休み残り1週間ぐらいから生活を整えようとしますが、うまくいきません。
1週間前から声をかけることによって、残り2~3日のところでやっと本腰を入れて動き始るものです。
夏休み明けの学校復帰に向けて
夏休み明けの学校復帰は、お子さんにとってもお母さんにとっても大きな不安があると思います。
しかし、早めの準備と心の準備をしておくことで、スムーズな学校復帰を目指せます。
具体的なステップ
- 生活リズムを整える: 2週間前から徐々に早寝早起きを心掛け、学校生活のリズムに近づける。
- 学校との連絡: 担任の先生と連絡を取り、夏休み明けの登校について相談する。
- 心の準備: お子さんの不安な気持ちをじっくり聞き、寄り添う。必要に応じてスクールカウンセラーや専門機関に相談する。
不安な時は相談を
一人で抱え込まず、誰かに相談することも大切です。
- スクールカウンセラー: 学校での悩みや不安を相談できます。
- 教育相談センター: 専門の相談員が、不登校に関する様々な相談に対応しています。
- 当サイトのカウンセリングサービス: 専門のカウンセラーがオンラインで相談に乗ります。
まとめ|大切なのは「比較しない」こと
周りの子と比較せず、お子さんのペースに合わせて夏休みを過ごしましょう。
そして、何よりも大切なのは、家族が笑顔でいることです。
保護者さんの笑顔は、お子さんの心の支えになります。
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- 夏休みは不登校の子どもが心身のリズムを整え、自己肯定感を取り戻すための貴重な時間
- 親子で楽しめるインドア・アウトドアの過ごし方を10選紹介
- 夏休み中の声かけは、事前に宣言し、約束を守ることが大切
- 夏休み明けの学校復帰に向けて、生活リズムを整え、学校と連携し、心の準備をする
- 不安な時は、スクールカウンセラーや相談窓口に相談する