【メディア情報】
当記事を元にテレビ愛知「5時スタ」に出演しました(2023年9月1日放映)。
夏休みの終わりが近づくと、
子どもが新学期の話を避けるようになった。
始業日に学校へ行けなかった。
新学期が始まってから、朝になると腹痛や頭痛を訴えている。
学校へ行かせたほうがよいのか。
休ませたら、そのまま不登校になるのではないか。
仕事も休めないが、1人で留守番もさせられない。
家族からは「甘やかしている」と言われる。
どう対応すべきか分からない保護者の方も多くいます。
子どもの状態を見ないまま、当日の朝に登校か欠席かを決めるのは難しいものです。
原因やサイン、最初の対応を知っておくことで、慌てずに状況を整理しやすくなります。
どんなことを考えるべきか、何を想定するか、実際にどのように動くか、
スクールカウンセリング歴25年超の経験から、詳しく解説します。
この記事でお伝えしたいこと
この記事は私たちが執筆監修を行っています
執筆・編集責任:吉田克彦(合同会社ぜんと代表 公認心理師、精神保健福祉士)
・家族支援25年以上、3000家庭以上の支援実績
・スクールカウンセラー歴20年以上。小学校、中学校、高校(全日制、定時制、通信制)全ての校種で勤務経験あり。
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夏休み明けに学校へ行けなくなる主な原因
夏休み明けに学校へ行けない理由は、子どもによって異なります。
本人が理由をはっきり説明できないこともあります。
学校を避けたくなる背景を一つに決めつけるのではなく、どのような負担が重なっているのかを考えます。
文部科学省の調査でも、不登校の子どもについて、学校生活への意欲低下、生活リズムの不調、不安や抑うつ、学業や宿題の問題など、複数の事実や相談が把握されています。
不登校の原因を直接証明する数字ではありませんが、一つの理由では説明できないことが分かります。
生活リズムが崩れて朝起きられない
夏休み中の過ごし方によっては、寝る時刻や起きる時刻が遅くなりやすくなります。
新学期になって急に早起きへ戻そうとしても、朝に起きられないことがあります。
ただし、生活リズムの乱れだけで学校へ行けない状態を説明することはできません。
学校のことを考えると眠れない、翌朝が来るのが不安で夜更かしになるなど、学校への不安が先にある場合もあります。
「夜更かしを直せば学校へ行ける」と決めつけず、眠る時刻、日中の活動、本人が感じている不安を合わせて考えます。

人間関係に不安がある
新学期になると、しばらく会っていなかった友人や先生との関係が再び始まります。
友人とのトラブルやいじめのような明確な出来事がなくても、教室で人に囲まれて過ごすことや、周囲に合わせ続けることが負担になる場合があります。
本人が「友達は嫌ではない」と話していても、集団で一日を過ごすことまで負担がないとは限りません。
誰か一人を原因と決めるより、教室、休み時間、部活動、先生とのやり取りなど、どの場面を不安に感じているのかを聞いていきます。
勉強や宿題への不安が強い
夏休みの宿題が終わっていない。1学期の授業が分からなかった。新学期のテストや提出物が心配。
このような不安が、学校へ行きにくくなるきっかけになることがあります。
宿題が終わっていない場合、子どもは「先生に叱られる」「友達に知られる」と心配しているかもしれません。
宿題をすべて終わらせてから登校させようとするのではなく、提出期限を延ばせないか、量を減らせないかを学校へ相談する方法もあります。
1学期の疲れやつらさが残っている
夏休みに入って学校から離れると、元気になったように見える子どももいます。
しかし、1学期に感じていた負担が解消したとは限りません。授業、人間関係、集団行動などから一時的に離れたことで、つらさが表に出にくくなっていた可能性もあります。
新学期が近づき、学校生活が再び始まると分かったときに、不安や疲れが表面に出ることがあります。
夏休み中に元気だったことと、新学期に学校へ行けないことは、必ずしも矛盾しません。
心身の不調やエネルギー切れがある
「エネルギー切れ」は病名ではありません。学校生活を続けるための余力が少なくなっている状態を表す言葉です。
朝起きられない。何をするにも時間がかかる。以前は楽しめていたことにも向かえない。
このような状態があるときに、気合いや説得だけで動かそうとすると、負担がさらに大きくなることがあります。
腹痛や頭痛、吐き気などがある場合は、学校へ行きたくないための口実と決めず、まず体調不良として扱います。
症状が強い場合や長く続く場合は、医療機関への相談も考えます。

将来・進路への漠然とした不安がある
中学生や高校生では、新学期になると進路や受験について考える機会が増えます。
「この成績で進学できるのか」「将来やりたいことが分からない」「周りだけが先へ進んでいる」といった不安を、うまく言葉にできない場合もあります。
将来への不安が大きいと、目の前の学校生活にも取り組みにくくなります。
すぐに進路を決めさせるより、何を不安に感じているのか、今決める必要があることは何かを学校とも相談します。
夏休み明けに出やすいサイン
子どもの負担は、「学校へ行きたくない」という言葉だけに表れるわけではありません。
睡眠、食欲、体調、行動などに、これまでと違う様子が出ることがあります。厚生労働省も、朝起きられない、睡眠リズムが崩れる、頭痛や腹痛を訴える、元気がなくなる、怒りっぽくなるなどを、家族が気づきやすいサインとして挙げています。
一つ当てはまれば不登校になる、ということではありません。以前にはなかった変化が続いているかを見ます。
朝になると腹痛・頭痛を訴える
平日の朝になると腹痛や頭痛を訴え、休むと少し落ち着くことがあります。
心理的な負担が体調に関係している可能性はありますが、痛みそのものが嘘だとは限りません。
昼からゲームや動画を楽しんでいても、朝の体調不良が仮病だったとは決められません。体調が回復した時間帯に、負担の少ない活動ができることはあります。
症状が強い、何度も繰り返す、学校のない日にも続く場合は、かかりつけ医や小児科へ相談してください。
眠れない、起きられない、昼夜逆転する
布団に入っても眠れない。明け方に眠り、昼まで起きられない。休日と平日で生活時間が大きく変わる。
このような睡眠の変化も、子どもの負担を知る手がかりになります。
すぐに早寝早起きへ戻そうとするより、何時ごろ眠れているか、学校のことを考えると眠れなくなるのか、本人も生活時間に困っているのかを聞きます。
イライラする、元気がない、泣きやすい
不安や疲れは、落ち込んだ様子だけに表れるとは限りません。
イライラする、怒りっぽくなる、急に泣く、話しかけても反応が少ないなど、普段とは違う様子が見られることがあります。こうした変化はストレスのサインとして現れる場合があります。
態度だけを注意するのではなく、睡眠や体調、学校で気になっていることがないかを聞きます。
学校の話を避ける、準備で固まる
新学期の予定を話すと別の話題に変える。制服や持ち物を準備しようとすると動けなくなる。宿題を開いても手が止まる。
このような様子があれば、学校に関する何かを負担に感じている可能性があります。
「何が嫌なの」と答えを求め続けるより、「新学期のことで気になっていることはある?」と聞き、話したくないときは無理に聞き出さないようにします。
親がまずやるべき対応
子どもが学校へ行けないと、保護者は今後の欠席や勉強、仕事への影響を一度に考えてしまいます。
まずは、今の状態で無理なくできることを考えます。
無理に登校させない
子どもが強く拒んでいるときに、登校するまで説得する、無理に着替えさせる、車に乗せるといった対応は避けます。
無理に連れて行くのではなく、まず心身の状態を確認します。
そのうえで休むと決めた場合は、「今日は家で休もう」と伝えてください。
登校を唯一の目標にするのではなく、本人が行きたい場合には、遅刻、短時間、別室など、負担の少ない方法を学校と相談できます。
文部科学省も、不登校支援を登校という結果だけを目標にせず、本人の希望を尊重しながら社会的自立につなげる必要があるとしています。
心身に負担が大きいときは、回復を優先する
腹痛や頭痛などの身体症状がある、ほとんど眠れていない、強い疲れが見られる場合は、登校よりも心身の回復を優先します。
休ませれば自然に問題が解決する、という意味ではありません。
まず負担を増やさず、食事や睡眠が取れているか、症状が続いていないかを見ます。
少し落ち着いてから、学校との関わり方や家庭での学習、日中の過ごし方を考えます。
話を聞くときは問い詰めない
理由を知りたいからといって、「どうして行けないの」「誰かに何かされたの」と質問を重ねると、親子のやり取りが苦しくなる場合があります。
本人にも理由が分からなかったり、言葉にするまで時間が必要だったりします。
話し始めたときは、途中で結論を出さずに聞きます。本人が今は話したくない場合は、無理に説明を求めません。
厚生労働省も、子どもの心の不調に気づいたときは、感情的に問い詰めず、落ち着いて話を聞くことを勧めています。
生活リズムは少しずつ整える
昼夜逆転やゲームの時間が気になっても、睡眠、食事、勉強、運動を一度に変えようとしないことです。
最初から学校の時間割と同じ生活へ戻す必要はありません。
食事の時刻を大きくずらさない、起きた後にカーテンを開ける、日中に短時間だけ体を動かすなど、本人と相談できるところから始めます。
厳しいルールを増やすより、本人がどこに困っているのかを聞きながら調整します。
学校と連携する
学校には、欠席の事実だけでなく、本人の体調や希望を伝えます。
本人が学校との接触を負担に感じているなら、電話や家庭訪問の頻度を相談しても構いません。
本人に行きたい気持ちがある場合は、次のような調整を検討できます。
- 遅れて登校する
- 短時間だけ参加する
- 別室や保健室で過ごす
- 苦手な授業や行事を外す
- プリントや課題を家庭で受け取る
担任だけで対応が難しい場合は、養護教諭や学校で利用できるスクールカウンセラーにも相談できます。家庭、学校、必要に応じて医療機関などが連携することは、公的な支援でも勧められています。
まとめ
夏休み明けに学校へ行けなくなる原因は一つではありません。
生活リズム、人間関係、勉強への不安、1学期からの疲れ、心身の不調などが重なっている場合があります。生活リズムだけを直そうとせず、本人が感じている不安と疲れの両方を見ます。
強い身体症状や心身の消耗がある場合は、無理に登校させず、回復を優先してください。
話を聞くときは問い詰めず、本人が話せる範囲を聞きます。
家庭だけで判断するのが難しい場合は、早めに医療機関や相談機関の受信をしましょう。
早い段階から、「休む・聞く・つなぐ」を意識することが、夏休み明けの対応の基本です。
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引用参考文献
- 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」2019年
- 文部科学省「令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果及びこれを踏まえた対応の充実について」
- 厚生労働省「子どものSOSサイン」
- 厚生労働省「困ったときの相談先」
更新情報
2024/01/19 新規記事作成
2026/08/04 記事を全面的に改稿しました。
