「親以外の誰かに勉強を見てほしい」「同級生の目が気になって、塾にはいけない」。このような悩みから、オンライン家庭教師を検討する保護者は多いです。
しかし、選び方を間違えると、高いお金を払ったのに子どもが心を閉ざし、かえって親子関係も悪化します。家庭教師を導入する際は、提案方法や撤退の想定など、事前の準備が成功の鍵です。
この記事では、不登校の子に家庭教師を導入する具体的な方法を、25年の経験から解説します。
この記事でお伝えしたいこと
中学生の不登校についてはこちらの記事にまとめています!
▶ 中学生の不登校|知っておくべき原因・対応・進路のすべて【心理師解説】
不登校の子への家庭教師導入に失敗する2つのパターン
不登校のお子さんにオンライン家庭教師を紹介する場合、しっかりとステップを踏んで進めないと、失敗します。
失敗すると、ただ「家庭教師の利用をあきらめた」だけではすみません。
家族に対する不信感が増し、勉強に対する苦手意識が強まり、「こんなこともできない」と親も子も自己肯定感も下がります。
つまり、ゼロに戻るのではなく、マイナスになってしまうのです。
ここでは、家庭教師導入に失敗する代表的な2つのパターンを紹介します。
保護者が勝手に話を進める
子供に全く相談なしに「全然勉強しないのだから、家庭教師と勉強ぐらいしなさい」と、
家庭教師を進めるご家庭が多いです。これは絶対に失敗します。
子どもは心の準備もできてない状態で、突然家庭教師が来ても、うまくいくはずがありません。
さらに無理やり家庭教師を充ててきた家族に対して不信が高まり、家族関係も悪化します。
親がやるべきことを家庭教師に期待する
なんとか家庭教師の導入が成功しても、気を付ける点があります。
それは、家族の代わりに家庭教師に本人の気持ちを聞き出させることです。
順調に家庭教師との関係ができると
「高校進学についてどう考えてるか聞いてもらえますか」
「学校に行く気があるかどうか聞いてもらえますか」
などと、家庭教師を代理人にすることがあります。
家庭教師も板挟みで困ってしまいます。
子どもにとっては「家庭教師は、自分の味方ではなく、親の差し金だ」と不信感を抱くことがあります。
その結果、突然家庭教師との関係が悪化したり、お子さんが心を閉ざすことがあります。

もちろん、家庭教師との雑談の中で色んな気持ちを語ります。
これは、子どもが自然と心を開くからであり、無理やり聞き出すのは悪手です。
オンライン家庭教師の子どもへの提案方法
家庭教師を導入する際の2つの失敗例を紹介しました。
オンライン家庭教師を子どもに提案するには、まず、子どもが「勉強をしたい」と思っている、
あるいはすでに勉強をしていて「自分ではわからないから誰かに教えてほしい」と思い始めるのが大事です。
何回試しても良いと伝える
一度の体験授業でうまくいかないと「もう、何をやってもダメだ」と極端に考えることがあります。
この極端な考えはお子さんはもちろん 保護者の方も 陥りがちです。
体験授業を始める前には、「うまくいかなくても気にしなくていいよ」「何人か試して、そのうち1人でも相性の合う先生が見つければいいんじゃない」 といった提案をすることが大事です。
この提案は、遠回りに見えて意外と近道になります。
なぜなら「何回か失敗しても良い」と気が楽になることで、逆に一人目でうまくいく場合がほとんどだからです。
【参考】無料体験ができるオンライン家庭教師サービス10選を準備しました。
一方で、事前に伝えていないと
「この家庭教師と合わなかったらおしまいだ」
「体験授業すらできないのはダメな証拠だ」
「せっかく家庭教師を選んでくれた親に申し訳ない」
などと落ち込むお子さんもとても多いです。。
また、力みすぎて不安が高まってしまい 余計にうまくいかないこともあります。
うまくいかない場合の対応を事前に決めておく
必ず、撤退することを想定して話し合っておきましょう。
もしもうまくいかなくても、撤退を想定しておけば、落ち込みが減ります。
「予想通りだね」「計画通りにちゃんと判断で来たね」と言った声掛けが次に繋がります。
一方で撤退を考えていないと、家庭教師をやめようと思った時に
「あー、もうおしまいだ」などとひどい落ち込みにつながります。

何事についても、うまくいかないことはあります。
火事にならなくても消火器を準備するように、万が一への備えが大事です。
体験授業で親が必ずチェックすべきポイント
オンライン家庭教師には「プロ講師」と「学生講師」がいますが、不登校支援では経験年数や肩書きよりも、お子さんとの相性が最も重要です。
プロの柔軟な対応力が合う子もいれば、年齢の近い学生との会話に心を開く子もいます。
体験授業では、以下のポイントを確認してください。
子どもの表情の変化(安心しているか)
体験授業で最もチェックすべきは、授業内容ではありません。子どもの表情です。
子どもの表情を見るポイント
授業が終わった後、お子さんの顔を見てください。
- 緊張がほぐれて、少しリラックスした表情をしているか
- 授業中に笑顔が出ているか
- 家庭教師に対して、体を少し前に傾けて話していたか
これらのサインがあれば、相性は良いです。逆に、ずっと緊張した表情のまま、体を引いていた、一言も話さなかった。こうした場合は、どんなに先生の教え方が上手くても、その先生は合いません。
不登校の子にとって、「この人なら安心」と感じられるか。
学力向上を優先しないことが学力向上への第一歩です。
まず信頼関係があって、初めて勉強が成り立ちます。
体験授業の後、お子さんに根掘り葉掘り聞くのはやめましょう。
お子さんによっては保護者に気を使って嫌だと言えない場合があります。
逆にうまくいっていても照れ隠しで嫌だったと答えることもあります。
声をかける場合は、「別のところも体験してみる?それとも、今の先生で続けてみる?」と聞いてください。 すぐに答えられないこともあります。
その場合は「また後で聞くから考えておいてね」と、先送りして構いません。
無理やりに聞き出すのはよくありません。
親への報告・連絡の丁寧さ
授業が終わった後、先生が保護者にどう報告するかも重要なチェックポイントです。
「今日はこの範囲をやりました」だけで終わる家庭教師は、不登校の子には向きません。
不登校生の指導では、親への報告も重要な仕事です。
理想的な報告は、こんな内容です。
「今日は最初少し緊張していましたが、ゲームの話で盛り上がりました。後半はリラックスしていました」
「数学の分数のところでつまずいていたので、次回は小学校の内容に戻って復習します」
「宿題は無理に出さず、様子を見ながら少しずつ増やしていきます」
授業内容だけでなく、子どもの心理状態、今後の方針まで丁寧に説明してくれる先生を選んでください。
また、家庭教師の時間以外でも気軽に相談できる体制があるかも確認しましょう。
「今週は体調が悪くて授業を受けられそうにない」と連絡した時、
「了解です、無理せず次回にしましょう」と柔軟に対応してくれるかどうかが重要です。
業者によっては、毎回指導報告書を書いてくれるところもあります。
失敗しないための家庭教師へ提供する事前情報
家庭教師を申し込む時、多くの保護者が「うちの子は不登校です」としか伝えません。
でも、それでは不十分です。
家庭教師としては、「学校に行っているかどうか」はさほど重要ではありません。
それよりも、お子さんの性格や個性、触れてはいけない話題などの情報を求めています。
お子さんに関する情報の伝え方
まず、なぜ不登校になったのかを簡潔に伝えます。「対人関係のトラブルで」「勉強についていけなくて」など、背景を知ってもらうことで、先生の接し方が変わります。
次に、してほしくないことを明確に伝えます。
家庭教師に伝える例
- 叱らないでほしい
- 「学校は?」「仲のいい友達はいるの?」などの質問はしないでほしい
- 宿題ができなくても責めないでほしい
- 最初は勉強より雑談メインでお願いしたい
こうしたNGリストを作っておくと、先生も対応しやすくなります。
また、子どもの好きなこと、興味のあることも伝えてください。
「ゲームが好きです」「歴史に興味があります」「動物が好きです」
こうした情報があると、先生が話題を見つけやすくなります。
保護者の立場からの要望の伝え方
親としての目標も伝えましょう。「まずは週1回、人と話す練習をしてほしい」「半年後には基礎学力を取り戻したい」「高校受験に向けて準備したい」。目標が明確だと、先生も指導しやすくなります。
契約前に、こうした要望を文書やメールで送っておくことをおすすめします。
口頭で伝えるより、文書で残しておけば、意識されやすいですし、
家庭教師を変えた際にもコピペをすればいいので伝えるのが楽です。
また、月に1回程度5分程度でいいので、保護者と先生が情報共有する時間をを設けてもらうことも有効です。
「最近の様子はどうですか」「次の目標は何にしましょうか」と、方針をすり合わせ、ズレを防ぎます。

ただし、あまり細かいところまで根掘り葉掘り聞かないように。家庭教師に負担になるだけでなく、「家庭教師が親に告げ口をしている」と子どもに不信感を持たせてしまいます。
オンライン家庭教師という資源をいかに活かすか
不登校の子に家庭教師をつける目的は、学力向上だけではありません。むしろ、信頼できる大人との関わりを通じて、自己肯定感を取り戻すことの方が重要です。
オンライン家庭教師選びで最も重要なのは「相性」です。
体験授業でお子さんの表情を観察し、リラックスできる先生を選んでください。
うまくいかないことを前提に、複数試す覚悟で始めましょう。
その姿勢が、かえって成功への近道になります。 まずはお子さんに相談しつつ無料体験に申し込みましょう。
家庭教師を導入する方法を、より具体的に考えたい方は、弊社の初回無料相談で話を聞かせてください。
お子さんの状況にあった提案方法や家庭教師の選び方など、25年の経験を元に一緒に考えましょう。
更新情報
25/11/20 新規記事掲載


