夏休みの終わりが近づくと、新学期のことが気になり始めます。
もし新学期の朝、子どもから突然、
「学校に行きたくない」
と言われたら、どうしますか。
休ませたほうがいいのか。少し背中を押したほうがいいのか。理由を聞いたほうがいいのか。
私は公認心理師・精神保健福祉士として、25年以上、不登校に悩むご家族の相談に携わってきました。
その経験からすると、夏休み中に「休ませる」「行かせる」のどちらかを正解と決めておく必要はありません。
同じ「学校に行きたくない」でも、子どもの状態、学校で起きていること、家庭の事情は違うからです。
その代わり、ほんの3分だけ、
「もし夏休み明けの朝、うちの子が『学校に行きたくない』と言ったら?」
と想像してみてください。
自分は何と言いそうか。
本当にその日休んだら、仕事や家事はどうなるか。
用意するのは正解ではなく、「我が家の場合のもしも」です。
この記事でお伝えしたいこと
不登校への初期対応は、「子どもに何と言うか」だけではありません。
学校を休むことになれば、その朝から親の仕事、家事、きょうだい、学校への連絡も同時に動き始めます。
だから夏休み中に決めておきたいのは「正しい対応」ではなく、**「もしそうなったら、我が家はどうなるか」**です。
この記事でいう「3分間」は、3分考えれば正しい判断ができるという意味ではありません。ほんの短い時間でいいので、一度だけ我が家の場合を想像してみよう、という提案です。
「学校に行きたくない」と言われた朝は、親の予定も同時に動く
子どもから突然「学校に行きたくない」と言われたとき、親が考えなければならないのは、子どもの気持ちだけではありません。
特に平日の朝は、いくつものことが同時に起こります。
| 起きること | 親が考えること |
| 子どもが「行きたくない」と言う | 何があった? 本当に休ませていい? |
| 登校時間が近づく | もう時間がない。どうする? |
| 学校への連絡が必要になる | 誰が、いつ連絡する? |
| 親の出勤時間が迫る | 仕事を休める? 遅刻する? |
| 子どもが家に残る | 一人で留守番できる? |
| きょうだいも準備している | こちらの登校準備はどうする? |
「学校に行きたくない」にどう対応するかという判断と、家庭の予定変更が同時に始まります。
だから親も焦ります。
「もう時間ないよ」
「大丈夫。行けば楽しいから」
「今日だけ頑張ってみよう」
「何があったの? いじめ? 先生?」
そんな言葉が出ることがあります。
子どもを困らせたいわけではありません。
心配だから理由を知りたい。できればいつも通り学校へ行ってほしい。それと同時に、自分も仕事へ行かなければならない。
親の側にも事情があります。
当サイトが不登校の子どもを持つ保護者113名を対象に行った調査では、55名が時間的負担が「重くなった」、11名が「とても重くなった」と回答しました。
合わせると58.4%(66/113名)です。
自由記述には、
「朝、登校を渋ると子供と向き合っている間、家事、育児全てが止まってしまうため」
という声もありました。
この調査は、不登校が続いている家庭を対象にしたものです。新学期に一日休むことと同じではありません。
ただ、少なくとも不登校が続く家庭では、過半数の保護者が、不登校後に時間的な負担が重くなったと感じていました。
不登校への初期対応というと、「子どもに何と声をかけるか」に注目しがちです。
しかし実際の朝には、親の仕事、家事、きょうだい、学校への連絡なども同時に動きます。

相談では「子どもに何と言えばよかったのでしょうか」と聞かれることがあります。でも、その朝に仕事へ行く時間が迫っていたり、きょうだいの準備もあったりすれば、親が焦るのも自然です。
子どもへの声かけだけでなく、家族間の協力ができるかどうかもイメージしておきましょう。
夏休み中に考えるのは、3つの「もしも」
細かいことまで決める必要はありません。
むしろ、ざっくりとしたイメージだけ持っておくほうが、実際の状況に合わせて柔軟に考えられます。
想像するのは、次の3つです。
- もし、うちの子が「学校に行きたくない」と言ったら?
- そのとき、自分は何と言いそうか?
- 本当にその日休んだら、うちの生活はどうなるか?
1分ずつ考えるという意味ではありません。
お風呂に入っているとき、寝る前、通勤中などに、
「うちだったらどうなるかな」
と一度思い浮かべるだけです。
もしも1:「うちの子も言うかもしれない」
1学期まで普通に登校していた。
友達もいる。
夏休みも元気に過ごしている。
それなら、新学期も普通に学校へ行くだろうと思うのは自然です。
それでも、
「うちの子も、学校に行きたくないと言うことはあるかもしれない」
と一度だけ考えてみます。
大人でも連休の終わりに、
「明日、仕事に行きたくないな」
と思うことがあります。
それでも出勤する日もあれば、体調によって休む日もあります。
子どもの「学校に行きたくない」も、その一言だけでは状態は分かりません。
夏休みが終わるのが嫌なのかもしれません。
宿題や勉強が気になっているのかもしれません。
友達や先生とのことで憂うつなのかもしれません。
本人にも、まだ理由がよく分からないこともあります。
今の段階で原因を予想する必要はありません。
また、この記事を読んだからといって、
「学校、大丈夫?」
「行きたくなくなってない?」
と、夏休み中から何度も確認する必要もありません。
想像しておくのは、まず親のほうです。
もしも2:自分は何と言いそうか
次に考えるのは、子どもではなく自分です。
正しい声かけを暗記するのではありません。
焦ったとき、自分はどんな反応をしやすいかを考えてみます。
| 自分の反応 | 出てきそうな言葉 |
| 軽く考える | 「大丈夫だよ。行けば楽しいから」 |
| 急かす | 「もう時間ないよ」「早くして」 |
| 何とか登校させようとする | 「今日だけ頑張ってみよう」 |
| 原因を急いで探す | 「何があったの? いじめ? 先生?」 |
どれかに当てはまったからといって、「悪い親」という話ではありません。
時間に追われると急かしやすい。
心配になると、理由が分かるまで質問したくなる。
何とかしてあげたいと思うほど、すぐ解決策を提案したくなる。
人によって反応は違います。
夏休み中に考えておきたいのは、
「何と言うのが正解か」ではなく、「自分はその場でどうなりそうか」です。
実際に「学校に行きたくない」と言われたあとの対応は、子どもの状態を見ながら考えます。
具体的な声かけや、休ませるかどうかの考え方についてはこちらの記事をご覧ください。


もしも3:本当に休んだら、その日はどうするか
最後に、その日の生活を想像します。
長期の不登校生活まで考える必要はありません。
まずは、
「明日一日、学校を休むことになったら?」
で十分です。
たとえば、次のようなことです。
- 自分は仕事を休めるか
- 遅刻や在宅勤務などはできるか
- 配偶者や祖父母など、頼める人はいるか
- 子どもだけで留守番できるか
- 学校への連絡は誰がするか
- 昼食はどうするか
- きょうだいの登校や送迎に影響しないか
全部決める必要はありません。
「ここは何とかなりそう」
「これは考えたことがなかった」
と分かるだけでも構いません。
仕事との両立が気になる場合はこちらの記事も参考にしてください。


家族で先に決めるのは「正解」ではなく、できること
夫婦や家族で、
「もし新学期に『学校に行きたくない』って言ったら、うちはどうする?」
と一度話してみるのも一つの方法です。
ただし、家族全員で「休ませるべきか」「登校を促すべきか」の意見を一致させる必要はありません。
自分は「一度休ませてもいい」と思っていても、
配偶者は、
「一度休んだら、そのまま行けなくなるのでは?」
と心配するかもしれません。
その場で教育方針まで統一しようとすると、話が大きくなります。
先に共有しておきたいのは、もっと現実的なことです。
| 答えを決めなくてよいこと | 確認しておけること |
| 休ませるか、登校を促すか | 朝、誰が対応できるか |
| 今後どうなると思うか | 誰が学校へ連絡するか |
| どこまで見守るべきか | 誰が仕事を調整できそうか |
| 家族としての最終方針 | 困ったとき誰に相談できるか |
「私はこう考えている」
「その日は午前中なら対応できる」
「学校への連絡は私がする」
それくらいでも十分です。
家族でゆっくり話す時間がなければ、この記事を送って、
「これ、うちだったらどうする?」
と聞いてみてもよいでしょう。



家族の考え方を完全にそろえなくても大丈夫です。意見が違うことが分かっているだけでも意味があります。
「休ませるか、行かせるか」は夏休み中に決めなくていい
ここまで考えても、
「結局、学校に行きたくないと言われたら休ませるの?」
という疑問は残ると思います。
しかし、それは夏休み中に決めなくて構いません。
同じ「学校に行きたくない」でも、状況は違います。
- 朝から腹痛や頭痛が強く出ている
- 本人は学校へ行きたいが、教室へ入るのが難しい
- 「今日は行きたくない」と言っているが、理由は本人にも分からない
- 少し時間を置くと、自分から「やっぱり行く」と言う
一つの対応を、すべての子どもに当てはめることはできません。
だから「学校に行きたくないと言われたら必ず休ませる」「必ず登校を促す」と先に決めるのではなく、その日の状態を見て考えます。
夏休み中に準備するのは、その判断そのものではありません。
判断する場面が来たとき、自分と家庭がどんな状況になりそうかを一度考えておく。
この記事でお願いしたいのは、そこまでです。
なお、すでに新学期の話をすると強い不安が出る、心や体の不調が続いている、学校の準備を避けるようになったなど、気になる様子がある場合は、「もしも」を考えるだけで終わらせる段階ではありません。
その場合は、夏休み明け「学校へ行けない」原因・前兆・親の対応を心理師が解説で、すでに現れている変化の見方や初期対応を確認してください。
必要に応じて、学校や相談機関、医療機関への相談も考えます。
まとめ:3分間で用意するのは「正解」ではなく「もしも」
新学期の朝、子どもから突然、
「学校に行きたくない」
と言われたら、親も迷います。
しかも考えるのは、子どもの気持ちだけではありません。
仕事。家事。学校への連絡。きょうだい。その日の過ごし方。
家庭全体の予定が一度に動き始めます。
だから夏休み中に、ほんの短い時間だけ考えてみてください。
- うちの子も言うかもしれない
- そのとき自分は何と言いそうか
- 本当に休んだら、うちはどうするか
答えを出す必要はありません。
家族全員の考えをそろえる必要もありません。
一度だけ「我が家の場合」を想像しておく。
それが、この記事でいう「親の3分間」です。
考えてみた結果、
「すでに子どもの様子で気になることがある」
「家族で話しても、どう考えればいいか分からない」
「学校が始まる前に一度相談しておきたい」
という場合は、ぜんとの初回無料相談をご利用ください。
何かを決めてから相談する必要はありません。
今の状況を整理するところから始められます。
アンケート調査概要
第1回 不登校のお子さんを持つ保護者の意識調査
回答者数:113名
調査時期:2023年6月5日~9日
調査対象:不登校の子どもを持つ保護者
調査方法:ウェブにて調査会社に依頼して実施
調査目的:不登校の子どもに対する保護者の対応について実態を把握し、同じような悩みを持つ保護者の参考とするとともに、必要な対策を検討する
実施:当サイト
時間的負担については、「重くなった」55名、「とても重くなった」11名で、計66名(58.4%)でした。
詳細:
不登校の子どもを持つ保護者への緊急アンケート 何が負担か
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更新情報
2026年8月16日 新規記事作成


