【不登校】親が疲れた・しんどいときの負担の減らし方【心理師解説】

不登校で親が疲れた時の対処法記事タイトル

お子さんが学校に行かなくなってからの、保護者さんの生活は激変します。

朝、起きてくるかどうかを気にする。
欠席の連絡を入れる。
食事を用意する。
学校から電話がかかってくる。
仕事の予定を調整する。
合間にスマートフォンで情報を検索する。
家族に状況を説明する。

一日中、何かを考え続けている。そして、ふと思う。

もう疲れた。正直、しんどい。もしかすると、子どもより私の方が限界かもしれない——。

こう感じている方はとても多くいらっしゃいます。

親が疲れているとき、まず増やしたいのは、新しい努力ではありません。
今抱えている負担の中から、減らせるものを探すことです。

この記事でお伝えしたいこと

吉田 克彦

吉田 克彦

公認心理師
不登校の家族支援25年超

お子さんが学校に行けなくなると、親御さんはさまざまな対応で疲れがたまります。お子さんのことも大事ですが、親御さん自身のケアも同じくらい大切です。
この記事では、保護者の疲れへのケアと負担が増えないようにするポイントについて、不登校支援25年の経験を踏まえて解説します。

この記事は私たちが執筆監修を行っています

執筆・編集責任:吉田克彦(合同会社ぜんと代表 公認心理師、精神保健福祉士)

・家族支援25年以上、3000家庭以上の支援実績
・スクールカウンセラー歴20年以上。小学校、中学校、高校(全日制、定時制、通信制)全ての校種で勤務経験あり。
→詳しいプロフィールはこちら

医学監修:友常祐介(社会医学・産業衛生指導医、労働衛生コンサルタント、医学博士)

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目次

不登校で親が疲れるのは当然のこと

【独自調査】子どもが不登校になると保護者の精神的負担が増える。

当サイトが子どもが不登校になった保護者に独自調査を実施しました。
その結果、保護者の精神的負担が「重くなった」「とても重くなった」と感じるのは合わせて85.8%に達しました。

お子さんの不登校に悩み、あなたが疲れてしまうのは当然です。
決してあなたのこれまでの対応が問題だったわけではなく、自然な反応なのです。
不登校の子どもを支えることは、想像以上に大きな心理的・身体的負担を伴うのです。

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【保護者アンケート】不登校はお金がかかる?経済的負担の実態と5つの対策 お子さんが不登校になることで、保護者のおよそ4割が「経済的負担が重くなった」と感じています。 実際に、どのような負担が増えたのか、また軽くなったと考える人はどんな状況なのか、独自のデータから読み解きます。

「保護者が元気でいること」が最優先

不登校支援において、最も大切なことの一つは「保護者が心身ともに健康でいること」です。
これは決して自己中心的な考えではありません。

保護者が疲弊して余裕がなくなると、無意識のうちに子どもに対してイライラをぶつけたり、焦りから無理な働きかけをしてしまいます。
その結果、子どもとの関係がさらに悪化し、状況が悪循環に陥ることがあります。

一方、保護者が心の余裕を持っていると、子どもの小さな変化に気づき、穏やかに接することがでます。
子どもも保護者の様子を敏感に察知するため、保護者が落ち着いていると子どもも安心して過ごせます。

子どもが不登校になると保護者の心労も増え、疲れるのは自然な反応です。
お子さんの気持ちを安定させるためにも、保護者の気持ちの安定が重要です。

子どもが学校に行かない時に、親を消耗させる5つの負担

「疲れた」とひとことで言っても、その中身はさまざまです。何が自分を消耗させているのかが分からないと、「私は弱いから疲れた」という気持ちだけが残ってしまいます。

ここでは、親にかかる負担を5つに分けて整理してみます。これは学術的に決まった分類ではなく、今の状況を見やすくするための、この記事なりの整理です。

負担の種類具体例
① 実務の負担毎朝の登校対応、欠席連絡、学校とのやりとり、付き添い、食事、送迎、日中の見守り、支援先との連絡
② 判断の負担今日は休ませる? 声をかける? 学校の話をする? 勉強を勧める? 病院へ行く? この対応で合っている?
③ 感情の負担自責、罪悪感、将来への不安、焦り、周囲の目、子どもの反応への一喜一憂、調べるほど募る不安
④ 関係・役割の負担対応が一人に集中する、夫婦で方針が違う、祖父母から責められる、きょうだいへの配慮も一人で担う
⑤ 生活基盤の負担仕事、収入、睡眠、自分の時間、友人関係、趣味、夫婦関係、健康

注意点として、「5つのうち3つ当てはまったら限界」と決めつけないでください。
目的は自分を採点することではなく、「今、自分にはどの負担が集中しているのか」を見つけることです。
5つ全部を同時に解決する必要もありません。

判断の負担

不登校では親が一日に何度も「どうするか」を決め続けます。判断すること自体も、親の負担になります。

すぐ決めなくてよいことを保留する
一度決めた方針を毎朝ゼロから議論し直さない
大きな問題を一度に全部片づけようとしない

——こうした工夫が、判断の負担を減らす方法になる場合があります(あくまで目安)。

感情の負担

「考え方を変えれば楽になる」と単純化しません。自責や不安は、気の持ちようだけの問題ではないからです。

感情そのものを消そうとするより、その感情を強めている現実の負担

——たとえば「毎日親だけが対応している」「正解が分からない」といった状況——
を減らせないか、という角度からも見ていきます。

生活基盤の負担

子どもの不登校が続いている間も、お子さん自身もご家族も皆さん幸せな時間を過ごすべきです。
とくに、親御さんはお子さんのために自分の生活を犠牲にしがちですが、自分の生活も大切にしてください。
「子どもの問題が解決するまで、自分の生活は後回し」になりやすいのですが、後回しが長く続けば、親自身の仕事や健康、人間関係などに別の負担が生じることもあります。

まず、減らせるものがないかを見る

負担が見えてきたら、その中から「減らせるもの」を探します。
ここでも、何かを足すのではなく、引くことから考えます。

引き方には、いくつかの方向があります。

やってもやらなくても同じことは、一旦やめる

今やらなくても、大きな問題にはならないことはやめてみましょう。

たとえば、毎朝続けている登校をめぐる長いやりとりが、親子とも消耗するだけで何も動いていないなら、いったんやめてみる。

やめられないことでも、減らすことができるなら減らす

頻度・時間・量を小さくできることは減らしましょう。

学校への連絡を毎日から週単位にできないか、日中の見守りを少し緩められないか。

自分一人で抱え込まずに、分担する

一人で持っている役割を、ほかの人と分担しましょう。

学校連絡は配偶者に、情報を調べるのは分担して、というように。

「任せるとちゃんとやってくれない」
「相手が不機嫌になってしまう」
「結局自分でやった方が早い」
などという理由から、人に任せられない場合もあります。

でも、長い目で見れば任せることが効果的です。
「自分でやっちゃった方が楽だから」と抱え込まず、少し大変でも家族ができることは任せましょう。

任せることは、相手を信頼している証拠です。
相手に信頼していることが伝わると相手も動きやすくなり、積極的に協力してくれます。

後回しにする

今日決めなくてよい問題。進路や転校の判断など、大きなことほど、今すぐ結論を出さなくてよい場合があります。

これは順番に全部こなすステップではありません。全部を変える必要もありません。今の負担の中に、減らせそうなものがないかを見るだけでも構いません。

なお、こうして負担を減らしていく考え方は、本サイトで補助的な視点としているハームリダクションと重なります。今すぐ不登校そのものをゼロにできなくても、親子や家族に生じている負担を一つずつ減らしていく、という見方です。親の疲れも、「我慢して乗り切るもの」ではなく、減らせる負担として扱えます。

「休む時間がない」ときは、休めない構造を見る

「休息が大切」なのはその通りです。ただ、そもそも、休む時間そのものを取りにくい家庭もあります。そういうとき、「毎日15分休みましょう」と言われても、その15分がどこにもありません。

だからこの記事では、休む努力を増やす前に、なぜ休めないのか、その構造を見ます。

たとえば、こうした点です。日中、ずっと親が見ていなければならない状態になっていないか。学校連絡が一人に集中していないか。仕事の調整が一人だけに偏っていないか。毎朝、同じ話し合いを繰り返していないか。情報収集が止められなくなっていないか。

休めない理由が負担の集中にあるなら、時間の使い方だけでなく、誰が何を担っているか、どの対応を減らせるかを見る必要があります。時間の負担そのものについては不登校で保護者の時間的負担はどう変わるかも参考にしてください。

ちなみに、親が子どもから離れる時間を持つこと——仕事に行く、一人で外出する、趣味の時間を持つ、友人と会う——を、ただちに「子どもを見捨てている」と考える必要はありません。年齢、本人の状態、安全、必要な支援に応じて考える必要はありますが、親が常に子どもの隣にいることだけが支援ではありません。

共働き・核家族・ひとり親・在宅勤務が可能かどうか、お子さんが一人で留守番できる年齢かどうかなど、ご家庭によってさまざまな事情があります。
それぞれのご家庭の問題と、そのご家庭にあった負担軽減策を考える必要があります。「これが正しい」などという正解はありません。

一人で抱えないとは「相談する」だけではない

「一人で抱えないで」と言われることがあります。ただ、これが「誰かに気持ちを聞いてもらいましょう」だけで終わると、具体的に何も変わらないことがあります。

負担を分けるというのは、もう少し具体的に、次のようなことです。

感情を分ける。 つらさや不安を、話して聞いてもらう。

実務を分ける。 学校連絡、送迎、付き添いなどを、ほかの人と分担する。

判断を分ける。 「どうするか」を一人で抱えず、学校・支援者・家族と一緒に整理する。

情報収集を分ける。 親一人がすべてを調べない。

相談とは、気持ちを聞いてもらうことだけでなく、一人で持っている負担を、ほかの人に移したり分けたりする手段でもあります。孤独や、周りに理解者がいないつらさについては不登校の親が感じる孤独とどう向き合うかで詳しく扱っています。

ここで、家族との関係について一つ。夫婦や祖父母と考えが違うと、「全員を説得して同じ考えにしなければ」と思いがちです。でも、その説得自体が新しい負担になります。家族全員を同じ考え方にそろえる必要はありません。最低限、誰が学校連絡をするか、誰が付き添うか、誰が情報を調べるか、誰がきょうだいの対応を担うか——こうした役割を分けることが、負担を減らす方法になる場合があります。あるいは、「子どもの前で避けたい対応」「誰が何を担当するか」「困ったとき誰に相談するか」といった、最低限の運用だけを共有する、という方法もあります。完全に意見を一致させることを、ゴールにしなくて大丈夫です。

なお、きょうだいがいる場合、そのきょうだいに支援役やケア役を背負わせないようにします。

自分を責めてしまうときは、その背景にある負担を見る

「私の育て方が悪かったのでは」「もっと早く気づいていれば」と自分を責めてしまうことがあります。

こうした自責に対して、「その考えは思い込みですよ」「あなたのせいではありません」と言葉で置き換えるだけでは、なかなか楽にならないこともあります。自責の背景に、現実の負担が重なっていることもあるからです。

たとえば、周囲から責任を求められている。毎日、親だけが対応している。何が正解か分からない。子どもの状態がなかなか変わらない。調べる情報によって、言っていることが違う——。こうした状況が、自責を強める背景になっている場合もあります。

ですから、自責の気持ちを直接なくそうとするより、その背景にある負担——対応の集中、正解の見えなさ、孤立——を一つでも減らせないかを見ます。背景が少し軽くなると、気持ちも変わってくることがあります。

仕事・お金・家族関係は、別々に切り分けて考える

不登校が続くと、仕事、収入、家族関係といった大きな問題が、一度に重くのしかかってきます。ただ、これらを一気に解決しようとすると、それ自体が大きな負担になります。

一つずつ切り分けて、必要なところから手をつけるのがおすすめです。仕事との両立や、離職を考えるべきかどうかについては不登校と親の仕事の両立をどう考えるかで、経済的な負担については不登校で保護者の経済的負担はどう変わるかで、それぞれ扱っています。

まとめ

不登校への対応では、実務や判断、心配、仕事との調整など、複数の負担が重なることがあります。疲れていることを、親の弱さや頑張り不足だけで説明する必要はありません。

疲れているとき、セルフケアをもう一つの宿題にしないでください。何かを足す前に、まず今の負担を、実務・判断・感情・関係・生活基盤に分解してみます。その中に、やめられる・減らせる・分けられる・任せられる・後回しにできるものがないかを見ます。全部を変える必要はありません。「負担を減らすこと」まで、新しい宿題にする必要はありません。休めないなら、休む努力を増やす前に、なぜ休めないのかという構造を見ます。一人に集中している役割は、分けられないかを見ます。

そして、親自身の生活も守ってください。それは子どものための手段だからではなく、あなた自身の健康・仕事・人間関係・人生も、守る対象だからです。

親がしんどいからといって、「子どもが学校へ行けば家庭の負担は解決する」と一つの答えに集約しません。
これは、学校へ行かないことを無条件に勧めるという意味でもありません。
子どもの登校の問題と、家庭に集中している負担を分けて考えます。
登校の有無とは別に、減らせる対応や分けられる役割があり、家庭の対応そのものを少しずつ組み直していけます。

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不登校、親子関係、子どもの特性、学校との関わり方など、一人で抱え込みやすい悩みを整理します。

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