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通信制高校だからできる自殺予防対策

この記事は、通信制高校の本部職員・教職員・管理職の方に向けて、自死対策の相談体制づくりを解説する記事です。

ご自身が「死にたい」「消えたい」と感じている方は、本文を読み進める前に、まず安全な場所で一息ついてください。今すぐ逃げ込める場所として、「かくれてしまえばいいのです」をおすすめします。

通信制高校では、不登校経験、体調不良、人間関係の困難など、さまざまな背景を抱えた生徒もいます。
児童生徒の自殺者数が過去最多水準となるなか、学校における自殺予防対策の強化が求めらます。
特に、全日制に比べて定時制・通信制高校の女子生徒の自殺死亡率が約6倍高いというデータもあります。

通信制高校として、自殺予防対策は「知らない」「やっていない」では済まされません。また、登校頻度が生徒によって大きく異なる通信制高校では、教職員が日常的に生徒の変化を把握しにくい構造があります。生徒の変化に気づき、教職員だけで抱え込まず、専門職や外部機関につなぐ体制をあらかじめ整えておく必要があります。

本記事では、通信制高校で整えておきたい自殺予防対策に取り組むべき理由と、未然予防・危機介入・事後対応の3段階に分けた具体的な手順を解説します。

この記事は以下のお悩みを解決します
  • 通信制高校で子どもの心のケアを充実させたい
  • すでに自傷行為をしている生徒への対応に困っている
  • 生徒のメンタルケア対応への教職員の負担を軽くしたい
目次

通信制高校では自殺予防対策に取り組むべき3つの理由

通信制高校で自殺予防に取り組む理由は、大きく3つあります。

  • 全日制に通う高校生に比べ通信制に通う高校生は自殺死亡率が高いという事実がある
  • さまざまな事情を持つ生徒が在籍するという背景がある
  • 適切な対応を怠ると、訴訟や炎上に直結し、学校のイメージ低下リスクがある

事実:定時制・通信制課程では自殺死亡率が高い

高校生の自殺をめぐっては、教育課程によってリスクに差があることが報告されています。

定時制・通信制課程の生徒の自殺死亡率は、全日制課程の生徒と比べて約4.2倍でした。特に女子生徒では差が大きく、2024年の定時制・通信制課程の女子生徒の自殺死亡率は10万人あたり43.3で、全日制課程の女子生徒と比べて6倍を超える差が報告されています。

同じ研究では、定時制・通信制課程の生徒は、精神科の治療歴や自殺未遂歴を持つ割合が高く、自殺の背景として学校に関する問題よりも健康に関する問題が示される割合が高い傾向も示されています。

つまり、学校生活の中で見える困りごとだけを見ていても、リスクの全体像をつかみきれない場合があります。通信制高校では、学習支援だけでなく、生活面、家族関係、医療との接続、卒業後の進路まで含めて状況を見る場面があります。

注意
この数値は「定時制・通信制課程」を合算したものであり、通信制高校単独の数値ではありません。また、集団全体の傾向を示すデータであり、個々の生徒の状態を判断するものではありません。自校に同じリスクがあると断定する根拠ではなく、学校として相談体制を整える必要性を考えるための参考データとして扱う必要があります。

背景:さまざまな事情を持つ生徒が在籍している

通信制高校には、不登校の経験、精神面の不調、発達特性、家庭内の課題、対人関係の困難、進路への不安などを抱える生徒が在籍する場合があります。

学校で見える姿が、その生徒のすべてではありません。

たとえば、課題提出は順調でも家庭内では保護者との対立が強い生徒、スクーリングには参加できても卒業後の進路に強い不安を抱えている生徒、オンラインでは落ち着いて見えても医療や福祉の支援が必要な生徒もいます。

また、通信制高校では在籍年齢の幅が広く、18歳以上の生徒もいます。
実は18歳以上になると児童相談所への相談もできなくなります。
また自治体の教育委員会の相談支援センターも小中学生だけだったり、18歳未満という設定がほとんどです。

年齢や生活状況によっては、児童福祉の枠組みだけでは支援先を整理しきれない場面もあります。
医療、福祉、地域の相談機関、就労支援、保護者支援など、生徒ごとに必要なつなぎ先が異なります。

教職員だけで判断するには負担が大きく、専門職と相談しながら対応方針を組み立てる体制が必要です。

リスク:後手の対応は学校への信頼低下につながる

生徒の自傷行為などが発生した時、事前に対策が準備されていないと、教職員ごとに対応にばらつきが出ます。

たとえば、以下のようなやり取りがあります。

ある教員はすぐに保護者へ連絡し、別の教員は本人との約束を優先して誰にも共有しない。
担任は深刻に受け止めているが、管理職への報告が遅れる。
スクールカウンセラーに相談したいが、次の勤務日まで数日ある。

こうした状態では、生徒支援の質が不安定になります。保護者から見た学校への信頼も揺らぎます。事実関係の確認や記録が不十分なまま対応が進むと、後から説明責任を問われることもあります。

学校がすべてを背負う必要はありません。学校として何を確認し、誰に共有し、どの段階で専門職や外部機関へつなぐのかを事前に決めておくことが、生徒支援の質を保ち、結果的に学校と教職員を守ります。

通信制高校の自殺予防は3段階で整える

自殺予防対策は、未然予防・危機介入・事後対応の3段階で考えると、学校運営に落とし込みやすくなります。

段階呼び方学校で整えること通信制高校での主な取り組み
未然予防プリベンションリスクを早期に拾う土台教職員研修、ニュースレター、相談窓口の周知、カウンセラー配置
危機介入インターベンション危険サインへの初動気づき、傾聴、管理職への共有、保護者連携、専門職への相談
事後対応ポストベンション動揺や影響を広げない備え未遂後の支援、周囲のケア、教職員支援、再発予防の検討

この3つは、順番に取り組むものではありません。平時から同時に備えておくものです。
どの段階でも、教職員個人ではなく、学校の体制として設計することが前提になります。

未然予防は、自殺リスクを学校全体で拾える状態にする

未然予防は、「問題が起きたら対応する」という構えだけでは足りません。「うちの生徒は大丈夫」という前提を外し、リスクを学校全体で拾える状態にしておく必要があります。

通信制高校では、生徒が毎日登校するとは限りません。オンライン中心の生徒、年に数回のスクーリングが主な接点になる生徒、保護者を通して状況を把握する生徒もいます。

そのため、生徒本人・保護者・教職員のどこからでもサインを拾える仕組みを整える必要があります。

教職員に対する研修

教職員研修では、危険なサインの知識だけでなく、声のかけ方、聞き方、共有先、記録の残し方まで扱う必要があります。

教職員が実際に迷うのは、知識そのものより、その場でどう動くかの判断です。

場面教職員が迷いやすい点
生徒が「消えたい」と話したどこまで聞くか、誰に共有するか、保護者へ伝えるか
自傷行為を打ち明けられた本人の秘密を守るべきか、管理職へ共有すべきか
保護者から「家で荒れている」と相談された学校としてどこまで関わるか
SNSの投稿が気になる本人確認、記録、家庭連絡をどう進めるか
登校や課題提出が急に止まった単なる学習遅れとして扱うか、支援につなぐか

研修は一度で終わるものではありません。年度ごと、キャンパスごと、職員の入れ替わりに合わせて繰り返す必要があります。事例検討やコンサルテーションを組み合わせると、実際の場面で使える判断基準に近づきます。

ニュースレターや配布物で相談先を知らせる

ニュースレターや配布物は、生徒や保護者へ相談先を知らせる手段になります。

内容は、重いテーマに限る必要はありません。睡眠、ストレスとの付き合い方、緊張を和らげる方法、気分転換、相談できる窓口、スクールカウンセラーの利用方法など、日常的に読めるテーマにします。

通信制高校では、登校しない生徒にも情報を届ける必要があります。メール、学習管理システム、保護者向け連絡、オンラインホームルーム、スクーリング時の配布など、複数の接点で周知する設計が求められます。

スクールカウンセラーを配置している場合は、勤務日だけでなく、相談方法、対象者、保護者相談の可否、緊急時の連絡ルートまで明示します。相談先があることを知らなければ、生徒も保護者も利用できません。

カウンセラーの配置で教職員の判断を支える

スクールカウンセラーの配置は、生徒が相談できる場を増やすだけでなく、教職員の判断を支える役割もあります。

通信制高校では、教員が生徒の相談を受ける場面が多くあります。ここで分けて考えたいのが、教員が相談の入口になることと、継続的な心理支援を教員自身が担うことです。

教員がカウンセリング的な対応を一人で抱えると、時間外対応が増えます。本人との関係が近くなりすぎ、緊急時の判断まで背負うことにもなります。評価する立場と相談を受ける立場が重なる二重の関係も生じます。

相談の入口は教職員が担うとしても、心理的な支援や危機対応の判断は、専門職と分担する形が望ましいです。生徒本人への面接だけでなく、教職員へのコンサルテーションも、相談体制の一部として設計しておく必要があります。

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吉田 克彦

吉田 克彦

公認心理師
合同会社ぜんと 代表

教員が一人で「死にたい」という相談を抱えることには、大きな危うさがあります。
役割を分けておくことは、生徒のためであると同時に、教員を守ることでもあります。
誰が相談を受け、誰が判断を支えるのかを平時に決めておくだけで、いざというときの動きが変わります。

危機介入は、気づいた後の初動を決めておく

危機介入では、特別な対応を探すよりも、基本的な対応を外さないことが求められます。

自傷行為、「死にたい」「消えたい」という発言、自殺をほのめかす投稿、急な欠席の増加、身なりや態度の変化などが見られた場合に、教職員個人の判断で完結させない体制が必要です。

厚生労働省が示すゲートキーパーの考え方では、気づき・傾聴・つなぎ・見守りという流れが基本とされています。通信制高校では、この流れを校内の初動フローに落とし込む必要があります。

段階学校での対応例注意点
気づく欠席、連絡の途絶、課題提出の変化、表情、保護者連絡、SNS投稿などを確認する普段との違いを一人で判断しない
聴く心配していることを伝え、本人の話を遮らずに聞く否定、説得、安易な励ましを急がない
つなぐ管理職、支援担当、カウンセラー、保護者、外部機関へ共有する本人の秘密を教職員一人で抱えない
見守る専門職につながった後も、学校との接点を保つ監視ではなく、負担の少ない関わりを続ける

いつもとの違いに気づく

違いに気づくには、その生徒の「いつもの様子」を知っていることが前提になります。
登校頻度の低い生徒ほど、基準となる普段の姿がつかみにくくなります。

通信制高校では、次のような情報を組み合わせて見ることになります。

見るポイント具体例
学習面課題提出が急に止まる、提出内容が荒れる、オンライン授業に入らなくなる
連絡面返信が途絶える、短い返答だけになる、深夜帯の連絡が増える
登校面スクーリングを急に避ける、登校してもすぐ帰りたがる
対人面友人との関係を急に切る、オンライン上のやりとりが変わる
身体面不眠・過眠、過食・拒食、顔色や容姿の変化、
頭痛・腹痛など体調不良の訴えが増える
家庭面保護者から「最近様子がおかしい」との相談がある。
保護者の離婚・再婚など家族構成の変化
文部科学省の「教師が知っておきたい子どもの自殺予防」を、通信制高校の生徒向けにアレンジしたもの

自殺直前のサインとして、これまで関心のあった事柄への興味の喪失、集中困難、成績の急な低下、不安やイライラ、身だしなみへの無関心、不眠・食欲不振・体重減少などの身体的不調、自傷行為、自殺のほのめかしなどが挙げられています(文部科学省教師が知っておきたい 子どもの自殺予防より)。

気になる変化があったときは、担任だけで抱えず、管理職、生徒支援担当、スクールカウンセラーへ共有するルールを決めておきます。
共有の基準があいまいだと、深刻な相談ほど個人対応になりやすくなります。

本人の気持ちを尊重し耳を傾ける

生徒が「死にたい」「消えたい」と話したとき、教職員は不安になり、否定や説得を急ぎたくなることがあります。しかし、最初の反応によっては、生徒がそれ以上話さなくなる場合があります。

避けたい声かけは、次のようなものです。

避けたい声かけ避けたい理由
そんなことを言わないで気持ちを否定されたと受け取られる場合がある
考えすぎだよ苦しさが軽く扱われたように感じる場合がある
頑張れば大丈夫すでに限界に近い生徒には負担になる場合がある
親に心配をかけてはいけない罪悪感を強める場合がある
あなたが変わらないといけない相談したこと自体を後悔させる場合がある

代わりに、次のように伝えます。

伝えたいこと声かけの例
心配している「今の話を聞いて、とても心配しています」
話してくれたことを受け止める「話してくれてありがとうございます」
一人にしない「このことを一人で抱えない形にしたいです」
一緒に考える「安全に過ごすために、誰と一緒に考えるか相談しましょう」

本人が「誰にも言わないでほしい」と話すこともあります。その気持ちは尊重しながらも、自殺の危険が疑われる場合に、教職員一人で抱えることは避けます。本人に対しても、「あなたを守るために、必要な人と一緒に考えたい」と説明することが必要です。

早めに専門職へつなぐ

危険サインがある場合、早めに専門職へつなぎます。

ここで注意すること、いきなり「カウンセラーに行きなさい」と伝えれば済むわけではないこと。
生徒が抵抗を示すこともあります。
場合によっては、「先生は私に関わりたくないのだ」「邪魔な存在なのだ」といった間違ったメッセージを与えてしまうことがあります。

本人にどう促すかを、まず教職員がカウンセラーに相談することもできます。

危険が切迫している場合は、校内だけで判断せず、保護者、医療機関、救急、警察などにつなぐ判断が必要になることがあります。学校が医療的な判断を抱え込むのではなく、安全確保のために必要な連携先へつなぐことが求められます。

こうした場面ほど、事前の初動フローが教職員を支えます。

専門職につながった後も学校との関係を保つ

専門職や医療機関につながった後も、学校との関係は途切れません。

「相談先につながったから学校の役割は終わり」ではなく、学習量、登校負担、スクーリングの参加方法、単位取得、進路不安、保護者との連絡など、学校だから支えられる領域があります。

通信制高校では、登校再開を急がず、オンライン面談、短時間の連絡、課題量の調整、スクーリングへの段階的参加などを検討できる場合があります。

見守りは、監視ではありません。本人が学校との接点を失わないように、負担の少ない関わり方を設計することです。

事後対応は、影響を広げないために行う

事後対応には、自殺未遂後の対応と、自殺が起きた後の対応があります。

どちらも、本人だけでなく、周囲の生徒、保護者、教職員を支える視点が必要です。

未遂後は「再び起こりうる」前提で支援を組み立てる

自殺未遂があった場合、「助かってよかった」で終わらせることはできません。自殺未遂は、その後のリスクを考えるうえで慎重に扱う必要があるサインです。

学校としては、次の点を整理します。

確認すること学校での扱い
医療につながっているか保護者と確認し、必要に応じて主治医の意見も踏まえる
登校や学習の再開時期本人の状態と安全面を見ながら段階的に考える
校内で誰が情報を持つか必要最小限の共有範囲を決める
担任だけが抱えていないか管理職、支援担当、カウンセラーで支える
保護者支援が必要か家庭内の疲弊や不安にも目を向ける
記録が残っているか対応、判断、連絡内容を整理する

未遂後は、本人だけでなく、関わった教職員の心理的負担も大きくなります。教職員へのコンサルテーションや振り返りの場も、再発予防と支援者支援の両面で必要です。

周囲の生徒や保護者への影響を見落とさない

自殺や重大な未遂が起きた場合、周囲にも動揺が広がります。

通信制高校では、生徒同士の関係が見えにくい場合があります。同じキャンパスに通っていなくても、SNS、オンライン授業、スクーリング、部活動、学習コミュニティでつながっている生徒もいます。

学校は、誰に、いつ、どの範囲で、どのように伝えるかを慎重に判断する必要があります。憶測が広がらないようにしながら、支援が必要な生徒には相談機会を確保します。

保護者への説明も重要です。詳細を伝えすぎることは避けながら、学校として相談体制を整えていること、必要な生徒には個別に支援することを伝えます。

教職員への支援を体制に含める

重大事案では、対応にあたった教職員が強い自責感を抱くことがあります。

「先生のせいではない」と後から言葉をかけるだけでは、負担は軽くなりません。事後対応の中に、教職員へのコンサルテーション、管理職による業務調整、専門職を交えた振り返りを組み込んでおく必要があります。

振り返りは、責任を追及する場ではありません。事実確認、対応の整理、今後の体制改善、支援者支援を分けて扱うことが必要です。

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吉田 克彦

吉田 克彦

公認心理師
合同会社ぜんと 代表

重大事案の後は、生徒や保護者への対応に意識が向きやすくなります。
しかし、対応にあたった教職員も大きな負担を抱えます。
支える側を支える仕組みを、事後対応の中に最初から入れておくことが必要です。

通信制高校で自殺予防対策を機能させる運用ルール

自殺予防対策は、難しいことではありません。
むしろ特別なことをするのではなく、やるべきことはある程度決まっています。

場当たり的な対応ではなく、学校内の初動フローを作る

自殺リスクが疑われる場面では、教職員がその場で判断に迷います。
だからこそ、事前に初動フローを作っておきます。

フローがあることで、対応の質を一定にしやすくなります。
また、学校として説明が必要になった場合にも、何を根拠に判断し、誰がどのように動いたのかを整理しやすくなります。

教職員任せにせず、専門職との連携を組み込む

ガイドラインやフローを整えても、教職員だけに任せる運用は避ける必要があります。

自殺の背景はさまざまです。学校問題だけでなく、健康問題、家庭環境、対人関係、孤立、SNS上のトラブル、過去の傷つき、医療的な課題などが重なっている場合があります。

教職員がどれだけ丁寧に対応していても、学校だけでは把握しきれない事情が関わることがあります。だからこそ、専門職と平時から連携し、判断を分散できる体制が必要です。

専門職連携は、生徒のためだけではありません。担任、キャンパス長、生徒支援担当を守るためにも必要です。

委託先は「勤務日」ではなく「相談できる体制」で選ぶ

スクールカウンセラーと契約していても、月に数回の勤務日だけしか相談できない場合、危機対応の相談先としては限界があります。

自殺リスク対応では、「次の勤務日に相談する」では間に合わない場面があります。生徒から深刻な発言があった当日、保護者から切迫した連絡が入った日、SNS投稿を確認した直後に、教職員が相談できる体制が必要です。

ただし、「いつでも必ず対応できる」といった過大な約束を求めるのではなく、対応可能な時間帯、連絡方法、不在時の代替体制、緊急時の外部機関連携を契約時に確認しておくことが現実的です。

委託先を検討するときの確認リスト

確認項目見るべき点
資格公認心理師、臨床心理士など専門資格を持つ担当者が関わるか
体制複数名で対応できるか
連絡勤務日以外の相談ルートが明確か
対応時間相談可能な時間帯や返信目安が明示されているか
危機対応自傷、自殺念慮、未遂後、事後対応の相談経験があるか
コンサルテーション生徒面接だけでなく教職員相談に対応できるか
研修教職員研修や事例検討に対応できるか
記録相談内容や助言を学校側で確認できる形にできるか
守秘義務緊急時の情報共有、保護者連絡、外部機関連携の扱いが整理されているか
継続性担当者不在時や退職時の引き継ぎ体制があるか

個人カウンセラーと複数体制のサービスの違い

個人カウンセラーが悪いという話ではありません。信頼できる個人カウンセラーが学校を支える場面もあります。

一方で、通信制高校の運営体制として考えると、複数名で支えるサービスのほうが適している場合があります。

観点個人カウンセラーとの契約複数体制のサービスとの連携
勤務日以外の相談対応できない場合がある相談ルートを確保しやすい
担当者の不在対応が止まりやすい別担当が補える場合がある
生徒との相性一人に限られる相性や相談内容に応じて調整しやすい
教職員相談担当者の稼働に左右されやすいチームで助言を検討しやすい
記録と引き継ぎ個人に依存しやすい組織として管理しやすい
事後対応個人の経験に左右されやすい複数の視点で支援を組み立てやすい

通信制高校では、登校日ではない日に深刻な相談が入ることがあります。本人からの相談だけでなく、保護者から「今夜が心配です」と連絡が来る場合もあります。

そのような場面で、教職員が一人で判断し続ける体制には限界があります。学校として必要なのは、教職員の努力に依存することではなく、相談できる専門職チームを学校運営の中に組み込むことです。

まとめ

通信制高校における自殺予防対策は、特定の教職員の経験や熱意だけで支えるものではありません。

生徒の変化に気づく未然予防、危険サインが見られたときの危機介入、未遂後や自殺後の事後対応を分けて考え、学校としての相談体制を整える必要があります。

特に通信制高校では、登校頻度、学習スタイル、家庭状況、年齢、進路の見通しが生徒によって大きく異なります。どの学校にもそのまま当てはまる唯一の方法はありません。だからこそ、学校の規模、キャンパスの運営形態、生徒層、既存の支援体制に合わせた設計が必要です。

合同会社ぜんとの通信制高校向けオンラインスクールカウンセリングサービスでは、公認心理師を中心とした専門職チームが、生徒・保護者・教職員を支える相談体制づくりを支援しています。

まずは、お気軽にご相談ください。貴校に適したサービスをご提案いたします。

出典・参考資料

更新履歴

2026年6月7日 新規記事掲載

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この記事を書いた人

不登校・引きこもりの家族相談を行って20年超。
スクールカウンセリングから、東日本大震災の被災地心理支援、企業内カウンセラーなどを経て、現在は合同会社ぜんと の代表。

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