この記事は「理由がわからない・本人も説明できない不登校」に関する解説記事です。
いじめ・友人関係・学業など、具体的な原因や理由については、
不登校の原因を7つの視点で解説した記事をご覧ください。
子どもが突然「学校に行きたくない」と言い出したとき、
保護者の皆さんが最も戸惑うのは「理由がわからない場合」でしょう。
いじめがあったわけでもない、
勉強もそれなりにできていた、
学校が嫌いなわけでもないし、
友人関係も問題なさそう。
・・・それなのに、なぜ?
不登校の理由が本人にもわからないことは珍しくありません。
無理に原因を聞き出すより、体調・学校生活・人間関係・発達特性・家庭環境などを順番に整理することが大切です。
この記事でお伝えしたいこと
この記事は私たちが執筆監修を行っています
執筆・編集責任:吉田克彦(合同会社ぜんと代表 公認心理師、精神保健福祉士)
・家族支援25年以上、3000家庭以上の支援実績
・スクールカウンセラー歴20年以上。小学校、中学校、高校(全日制、定時制、通信制)全ての校種で勤務経験あり。
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不登校の理由がわからないことは珍しくない

実は「理由がわからない不登校」は、決して珍しくはありません。
文部科学省のデータでは、不登校経験者に「不登校になったきっかけ」をたずねています。
それによると、
小学生では、「自分でもよくわからない」との回答が25.5%、「特にきっかけがないと思う」との回答が2.2%
中学生では、「自分でもよくわからない」との回答が22.9%、「特にきっかけがないと思う」との回答が1.5%
でした。
その他にも、「身体の不調」が小学生で26.5%、中学生で32.6%ありました。
「身体の不調」も「なぜ身体の不調になったのか」は答えられない場合が多くあります。

「理由がない」「原因不明」に見える5つの理由
子どもが「理由はわからない」「別に何もない」と言うと、戸惑うのも当然です。
しかし、「理由を説明できないこと」と「理由がないこと」は違います。
不登校や登校しぶりでは、本人にも理由がはっきりわからないことがあります。背景には、次のようなことが考えられます。
1. 本人もまだ言葉にできない
学校に行けない理由を、子ども自身がまだ整理できていないことがあります。
「なんとなく嫌」
「行こうとすると体が動かない」
「説明できないけれど苦しい」
このような状態では、理由を聞かれても答えられません。無理に説明させようとすると、子どもが追い詰められてしまうことがあります。
2. 原因が一つではなく、いくつも重なっている
不登校の背景は、一つの原因だけで説明できるとは限りません。
友人関係、先生との相性、学習の負担、睡眠不足、家庭での緊張、発達特性、心身の疲れなどが少しずつ重なっていることがあります。
そのため、本人にも「これが原因」と言い切れない場合があります。
3. 親に言いづらい理由がある
いじめ、先生との関係、友人トラブル、成績への不安などは、子どもにとって親に話しにくいことがあります。
「心配をかけたくない」
「怒られるかもしれない」
「うまく説明できない」
「話してもわかってもらえないかもしれない」
そう感じて、理由を言わないこともあります。
4. 心の負担が身体症状として出ている
腹痛、頭痛、吐き気、だるさ、朝起きられないなど、身体の症状として表れることもあります。
本人は「学校が嫌」とは言わず、「お腹が痛い」「気持ち悪い」と表現することがあります。
この場合も、仮病と決めつけず、症状の出方やタイミングを見ていくことが大切です。
5. 疲れや不安が少しずつ蓄積している
大きな出来事がなくても、疲れや不安が少しずつ積み重なって、ある日学校に行けなくなることがあります。
本人にも「なぜ急に行けなくなったのか」がわからない場合があります。
理由が見えない時ほど、原因を一つに決めつけるより、生活全体を見直すことが大切です。
「学校に行けない」理由を聞く前に知っておきたいこと
理由がわからないと、親はつい問い詰めてしまいがちです。
- どうして行きたくないの?
- 何があったの?
- 本当の理由を言ってほしい
しかしこの段階で多くの子どもは、自分でも理由を整理できていないか、言葉にするエネルギーが残っていない状態です。
このとき必要なのは「原因追及」ではなく、刺激を減らし、安心できる環境を保つことです。
文部科学省の調査でも、不登校の理由として「無気力・不安」が約半数を占めています。
これは「何か一つの出来事」が原因というより、
心のエネルギーが枯渇している状態と考えるほうが自然です。

不登校の理由がわからない時に、まず確認したい5つの視点
理由がわからない時は、子どもを問い詰めるよりも、周辺情報を整理していく方が役立ちます。
以下の5つの視点から、今のお子さんの状態を確認してみてください。
1. 体調・睡眠・食欲
まずは体の状態を確認します。
気をつけるべきサイン
- 朝になると腹痛・頭痛・吐き気が出る
- 夜眠れない、朝起きられない
- 食欲が落ちている
- 休日は元気だが、学校の前日や朝に崩れる
- 疲れやすい、だるそうにしている
身体症状が続く場合は、心理面だけで考えず、小児科など医療機関への相談も検討します。
2. 友人関係
友人関係の悩みは、子どもが親に話しづらいことがあります。
気になるサイン
- 特定の友達の名前を出さなくなった
- LINEやSNSの後に表情が暗くなる
- 休み時間や給食、班活動を嫌がる
- クラスの話を避ける
- 「別に」「普通」としか言わない
いじめと断定できなくても、学校生活の中で緊張が続いている可能性があります。
3. 先生や学校環境
先生との関係、クラスの雰囲気、学校のルールが負担になっていることもあります。
気になるサイン
- 担任の先生の話題を避ける
- 怒られることを強く怖がる
- 教室に入りづらい
- 音やにおい、人の多さで疲れやすい
- 行事や発表、体育など特定の場面を嫌がる
家庭では見えにくいため、学校での様子を確認することが大切です。
4. 学習・部活・進路の負担
勉強や部活の負担も、理由として言葉にしにくいことがあります。
気になるサイン
- 授業についていけない
- 宿題や提出物がたまっている
- テストや成績への不安が強い
- 部活の人間関係や練習が負担になっている
- 高校生では単位や進路の不安がある
「勉強が嫌」というより、「できない自分を見られるのがつらい」という場合もあります。
5. 発達特性・HSC・不安の強さ
発達特性や感受性の強さ、不安の強さが背景にあることもあります。
気になるサイン
- 音やにおい、人混みに疲れやすい
- 急な予定変更が苦手
- 集団行動が負担になりやすい
- 人の表情や言葉を気にしすぎる
- 失敗や注意を強く怖がる
この場合、「慣れれば大丈夫」と考えるより、その子に合った環境調整を考えることが必要です。
小学生・中学生・高校生で見え方は変わる
小学生の場合|「理由が言えない」は自然な反応
小学生、特に低学年では、学校に行きたくない理由を自分でも整理できず、言葉で説明できないことが少なくありません。
小学生が不登校になる主な理由
- 親から離れるのが怖い(母子分離不安)
- 環境の変化に疲れてしまう
- 刺激に敏感で人間関係や音・匂いなどに耐えられない
さまざまな要因を言葉で表現することができず「なんとなく行きたくない」という感覚として表れます。
この時期に無理に理由を聞こうとすると、子どもはさらに不安を強めてしまいます。
大切なのは、学校に戻すことよりも「家は安全な場所だ」と感じられる状態を保つことです。
小学生の「理由のわからない不登校」をくわしく解説しています。

中学生の場合|理由はあっても「言えない」ことが多い
中学生になると、友人関係、部活、学業、教師との関係などが一気に複雑になります。
また、思春期になり、家族に素直になれず、ついつい反発してしまいます。
理由は「あるけれど言いたくない」
「言葉にするとなんだか違う」
そんな心理状態にある子も少なくありません。
この時期に親が焦って問い詰めると、
「『言いたくない』という気持ちをわかってくれない」
「しつこく聞かれてウザい」
という気持ちが強まり、心を閉ざしてしまいます。
必要なのは、話させることではなく、話せる状態になるまで待つ姿勢です。
「うちの子は、話したくなれば必ず話してくれる」という信頼が、
お子さんの自尊感情や自己肯定感にもプラスに働きます

高校生の場合|将来不安と自己否定が絡みやすい
高校生になると、進路や将来への不安、
「このままでいいのか」という自己否定感が強くなります。
表面上は「特に理由はない」と言っていても、
内側では強いプレッシャーや孤独感を抱えていることもあります。
この段階では、「どうするつもり?」と答えを求めるより、
選択肢が一つではないことを静かに伝える関わりが重要です。

「学校に行きたくない理由がわからない」場合のNG対応
年齢に関係なく、以下の対応は逆効果になりやすいです。
学校に行きたくない理由がわからない時にやってはいけない対応
- 理由をしつこく聞き出そうとする
- 「甘え」「怠け」と決めつける
- 早く学校に戻すことだけを目標にする
- 親の不安をそのままぶつけてしまう
- 「学校に行ったらゲーム買ってあげる」などのモノで釣る
- 「学校に行かないならゲーム没収」など楽しみを奪う
親の焦りは、想像以上に子どもに伝わります。
大事なことは「お子さんが学校に行くか行かないか」ではなく、
「お子さんが素敵な大人になり、幸せな人生を送れるかどうか」のはずです。
「学校に行くか行かないか」は、大人になるための通過点の一つにすぎません。

学校との上手な関わり方
学校やスクールカウンセラーとの連携は重要ですが、「必ず頼らなければならない」わけではありません。
学校側の立場や制度上の制約から、家庭の気持ちとズレが生じることもあります。
無理に合わせようとせず、
「今は情報共有だけ」
「距離を保つ」
という関わり方が必要になる時があります。
担任の先生と話しにくい場合は、スクールカウンセラーや管理職・養護教諭などに相談しましょう。
専門家への相談を考える目安
次のような状態が続く場合、第三者に状況を整理してもらうことも選択肢になります。
専門家に相談した方が良いタイミング
- 家庭内の雰囲気が張り詰めている
- 家族内で子どもに対する意見が異なり対立している。
- 親自身が疲れ切っている
- 仕事などに重大な影響が出ている
- 不安が消えず眠れない
相談は「解決のため」だけでなく、親が安心を取り戻すためでも構いません。

お子さんが相談に参加する必要はありません。一番困っている人が、まずは専門家に相談をしましょう。
そして、自分と家族の人生を左右する大きな問題です。専門家はとことん選びましょう。合わないときは遠慮なく、他の専門家を探しましょう。


おわりに
「学校に行きたくない理由がわからない」場合の対応について解説しました。
火事になったときに、やるべきことは消火(適切な対応)です。
「なぜ火事になったのか」と出火原因追及しても火は消えません。
むしろ、原因探しばかりしていると被害が大きくなってしまいます。
学校に行きたくない理由がわからないときは無理に原因探しをせずに、まずは適切な対応をしましょう。
「適切な対応方法がわからない」場合や、「ついつい原因探しばかりしてしまう」場合には、私たちに初回無料の相談をしてみませんか?一緒に対応方法を考えましょう!
引用参考文献
令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果 2025 文部科学省
更新情報
2024/01/30 新規記事掲載
2026/01/13 最新情報に更新
2026/05/26 最新情報に更新








