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この記事で解決でわかること

  • なぜ中学一年生で中1ギャップになるのかがわかる
  • 中1ギャップを軽減するために、本人や家族ができることがわかる。

この記事を書いた人

不登校なんでも相談室管理人の似顔絵

吉田 克彦(公認心理師・精神保健福祉士)

スクールカウンセリング歴25年超、小学校・中学校・高校(全日制・定時制・通信制)でのスクールカウンセラーとしての活動経験あり。東日本大震災の被災地心理支援、業界最大手の化学製品会社の常勤カウンセラーなどを経て、現在は合同会社ぜんと代表。
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中学校に入学したばかりの子どもが、急に学校に行きたがらなくなったり、家に引きこもるようになったりしたことはありませんか?これは「中1ギャップ」と呼ばれる現象で、多くの子どもたちが中学校への進学時に経験する適応の難しさを表しています。新しい環境、勉強の難易度の上昇、友人関係の変化など、様々な要因が重なって、子どもたちは大きなストレスを感じているのです。保護者の皆さんも、子どもの変化に戸惑い、どのように接していいのか分からないことがあるでしょう。でも、安心してください。中1ギャップを乗り越えるための方法があります。本記事では、中1ギャップの原因や兆候、そして保護者ができる具体的な支援策について詳しく解説します。

はじめに

中学校への進学は、子どもたちにとって新たな挑戦の始まりです。この時期は「中1ギャップ」と呼ばれ、多くの変化が子どもたちを待ち受けています。新しい学習環境、社会的期待の変化、そして心理的な成長が一度に訪れます。本記事では、これらの変化にどのように対処し、子どもを支援するかを詳しく解説します。

中1ギャップとは何か?

中1ギャップとは、小学校から中学校に進学する際に、子どもたちが経験する様々な変化やそれに伴うストレスのことを指します。文部科学省の調査によると、中学1年生の約30%が学校生活に不安を感じていることがわかっています。

中1ギャップの原因

1. 学習環境の変化

小学校と比べて、中学校では教科数が増え、学習内容も高度になります。例えば、英語や理科では専門的な用語が導入され、数学では抽象的な概念を理解する必要があります。また、授業スタイルも講義形式になり、自主的な学習が求められます。

2. 社会的な期待の変化

中学生になると、自分で時間管理をし、より多くの責任を負うことが期待されます。部活動や委員会活動など、新しい役割も与えられます。さらに、新しい友人関係の構築も重要になり、コミュニケーション能力が試されます。

3. 心理的な変化

思春期の始まりと共に、自己認識や自己肯定感が大きく変化します。周囲からの評価を気にするようになり、不安や孤独を感じやすくなります。加えて、身体的な成長に伴うホルモンバランスの変化から、感情の起伏が激しくなることもあります。

中1ギャップのサイン

中1ギャップの兆候は子どもによって異なりますが、以下のような変化が見られることがあります。

学業面

  • 成績の急激な低下や、テストの点数が悪化する。
  • 宿題を忘れることが増えたり、提出期限を守れなくなる。
  • 以前は好きだった科目に興味を失う。

行動面

  • これまで積極的に参加していた活動から距離を置く。
  • 家族との会話が減少し、部屋に引きこもる時間が増える。
  • 夜更かしや朝寝坊が多くなる。

情緒面

  • 感情の起伏が激しくなり、些細なことで怒ったり落ち込んだりする。
  • イライラしたり、不安そうな様子が見られる。
  • 集中力が低下し、ぼんやりしていることが多くなる。

保護者ができる具体的な支援策

1. コミュニケーションを大切にする

定期的に子どもと学校生活について話す時間を設けましょう。子どもの感情を否定せず、共感的に耳を傾けることが重要です。カウンセリングのテクニックである「アクティブ・リスニング」を活用し、子どもの気持ちを受け止めるようにしましょう。

2. 学習面のサポート

家庭学習の習慣づけを支援し、集中できる学習環境を整えましょう。子どもの理解度に合わせて、無理のない学習計画を立てることも効果的です。必要に応じて、塾や家庭教師の利用も検討しましょう。

3. 情緒面のサポート

子どもの感情を受け止め、安心感を与えることで、新しい環境への適応を後押しします。子どもの良いところを見つけて褒めたり、小さな目標を設定して達成感を味わえるようにしたりすると良いでしょう。

4. 生活習慣の見直し

規則正しい生活リズムは、心身の健康を保つ上で重要です。十分な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動を心がけるよう、子どもに働きかけましょう。ただし、あまり厳しく管理するのではなく、子ども自身が主体的に取り組めるよう支援することが大切です。

5. 専門家に相談する

中1ギャップの症状が深刻で、家庭での対応だけでは難しい場合は、学校のカウンセラーや専門医に相談することをおすすめします。専門家のアドバイスを受けることで、子どもに合った支援方法を見つけることができます。

専門家のアドバイス

ここでは、カウンセラーとしてこれまで多くの中学1年生の相談に応じてきた経験から、役立つ内容を紹介します。

全部を覚える必要はありませんし、全部をやらなければいけないわけではありません。たくさん紹介するので、その中でやれそうなものを1つでもいいので参考にしてください。防災グッズのようなものです。全部揃えれば理想的ですが、使わない場合がほとんどなので無理に全部を取り組む必要はありません。

1つ手に入れれば、それだけ安心が増えて、中1ギャップのリスクが減っていきます。

1. ギャップが生じることを想定しておくこと

① 思い通りに行かないことを覚悟しておく

人は不安になると、多くの場合「心配ないから大丈夫」「気にしすぎだよ、大したことないから」と、「不安に思っていることが起きるわけがない」と考えるものです。しかし、人生は筋書きのないドラマ。どこで何が起きるかわかりません。

「不安に思っていることが起きるわけがない」と考えていると、いざ想定外の出来事が起きると「あぁ、もう終わりだ」「やっぱりだめだ」と絶望を感じてしまうことがあります。

そのため、「いろいろなことが起きる」「予想外の状況になるかもしれない」と思っておくことで、何か不測の事態が起きた時も「あっ、やっぱり起きた」と慌てず対応ができるものです。

② 思い通りに行かなくても何とかなることを理解する

「いろいろなこと」や「予想外の状況」になっても、どうにかできることを考えておくのは大事です。

それは、防災の準備と同じです。災害が発生したとして、もちろん慌てるでしょうし、不安になるでしょうが、何とかするしかないのです。

③ 何とかならない時のSOSの出し方を知っておく

どうしても一人で対応できない場合もあります。そして、一人で対応できたとしても、誰かと一緒だと心強いものです。

そのため、「困った時はこの人に相談する」「つらくなったらこの人と話す」などという準備をしておきましょう。それは、専門家じゃなくても、家族や友人や信頼できる知人で構いません。「この人になら、素直に話せる」「普段はあまり話さないが、いざという時に頼りになる」という人を見つけましょう。

また、保護者の方は、SOSをいつでも受け止められるようにしましょう。
子どもが弱音を吐いた時に「そんなの気にしなくていいよ」「自分で何とかしなさい」「あなたが強くならなきゃいけない」「忙しいからその話はあとにして」などと答えてませんか?それでは、子どもは相談する気になりません。普段からの会話がとても大事です。

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2. ストレス対処法を身につける

① 深呼吸やストレッチなどのリラクゼーション法を取り入れる。

中学校に入り、クラスや部活動など、新しい人間関係が始まります。発表をしたり、特に中学に入ったばかりでは自己紹介なども多いでしょう。緊張するのは当然です。深呼吸やストレッチを覚えることで、緊張をしても和らげることができます。

② 好きな趣味や運動でストレスを発散する。

自分なりの集中できる活動を行うことでストレスが発散できます。

③ 自分の気持ちを言葉や絵で表現する。

会話以外で自分の気持ちを表現することも大事です。誰かとの会話の場合は、相手が必要になりますし、相手の反応よってはつらい思いをするかもしれません。あるいは、伝えた後で「言わなければよかった恥ずかしい」「あんなこと言って、変な人だと思われたに違いない」などと考え込んでしまうことも多くあります。

自分の気持ちを表現であれば、他の人に見せず自分だけで隠しておくこともできますし、後で見返したときに自分自身で新たな発見があるものです。

3. コミュニケーションスキルを磨く

① 自分の考えや感情を、「アイ・メッセージ」で伝える練習をする。

② 相手の話を最後まで聞き、内容を要約して伝え返す。

③ 感謝の気持ちを言葉で表現する習慣をつける。

4. 自己肯定感を高める

① 自分の長所や良いところをリストアップし、意識する。

② 失敗を恐れず、チャレンジする経験を積む。

③ 自分を大切にし、自分の価値を認める。

実際の成功事例

事例1:家族会議で子どもの声に耳を傾ける

A家では、毎週日曜日に家族会議を開き、子どもの学校生活や心情について話し合うことで、ストレスの軽減に成功しました。子どもの話に共感し、理解を示すことで、子どもは安心して自分の気持ちを表現できるようになりました。その結果、家族間のコミュニケーションが深まり、互いの絆が強まりました。

事例2:趣味の活動で新しい友人関係を築く

B君は、サッカークラブに入ることで、中1ギャップの悩みを乗り越えました。同じ趣味を持つ仲間と出会い、すぐに打ち解けることができました。クラブ活動を通して、規律や協調性も身につけました。新しい友人関係が築けたことで、B君は学校生活にも前向きに取り組めるようになりました。

おわりに

中1ギャップは多くの子どもたちが直面する課題ですが、適切な理解とサポートがあれば乗り越えられます。子どもの声に耳を傾け、共感することが何より大切です。そして、子どもが自分らしさを発揮できる居場所づくりも重要です。

保護者の皆さんには、子どもの成長を温かく見守り、時には一歩下がって子どもを信頼することも必要です。中1ギャップを家族全体で乗り越えていく過程で、親子の絆がより一層深まっていくことでしょう。

この記事が、中学生活のスタートに立つ子どもたちとその家族の一助となれば幸いです。

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投稿者プロフィール

吉田 克彦
吉田 克彦公認心理師・精神保健福祉士
不登校・引きこもりの家族相談を行って20年超。
スクールカウンセリングから、東日本大震災の被災地心理支援、企業内カウンセラーなどを経て、現在は合同会社ぜんと の代表。